第23話

……やられた。

見事なまでにオリヴィアに体よく使われ、LAを取られてしまった。

というか、身体能力2倍になってるとはいえ、一人の女子高生を投げ飛ばせる腕力って、どうなってんの。

やばすぎ。

それに、なんでだろう。

出会ってまだ数十分の相手なのに、心を許せる自分がいる。


「へへへっ、やったね!」

オリヴィアは嬉しそうに笑って言うと、私の方を振り返る。

「ナイスアタック、キョーカ」

「……そっちこそ」

差し出されたオリヴィアの手を掴んで、立ち上がる。


「図体によらず、意外とチョロかったね」

オリヴィアは、消滅したモンスターのいた所を見つめながら言う。

「オリヴィアが強かったからそう感じるだけ。それにあの手榴弾何? なんであんなに威力あるわけ?」

「知りたい?」

オリヴィアは、私の質問に嬉しそうに問い返す。

「まー、そのうち教えてあげるよ。これから一緒に旅する仲なんだしさっ」

……そうだった。

そんな約束もしてたっけ。

「ね、助手クン」

「え、助手って何。聞いてないんだけど」

「あぁ、ごめんごめん。キョーカは助手じゃなくて親友だっけ」

「……それなら助手がいい」

「えぇー、どーしよっかなぁー」

オリヴィアは私の反応が面白いのか、揶揄うように話す。


「じゃあ、改めてよろしくね。親友ベストフレンド

「……ん」

「キョーカは照れ屋さんなんだね! 可愛いなぁ」

「は!? ち、違うし!」

「良いの良いの」


少し、いや。かなり癪だが、そういう条件の勝負だったからしょうがない。

こうして私、瀬良俠華に人生初めての友人というものができたのだった。

出会って数十分の親友も、意外と悪くない。

なんて。












(次回更新は1/22です)

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