第4話 一人っ子、1人で通院

小学生高学年から、朝から夜まで両親が共働きだったため、赤ちゃんの頃から体の弱かった私は、苦手な夏に、必ず風邪をひいて高熱を出した。



両親共に、仕事を休むわけにもいかず、学校を休んで、テーブルに置かれた病院代と飲み物のお金を持つ。


40℃の熱を出しても、暑い夏に、片道15分の病院までの道を歩いた。



顔見知りの担当医の内科の先生に、診察してもらって、また薬局まで5分とぼとぼ歩く。


薬局では、いつも学校に行って、見ることが出来ない、奥様向けの午前中のテレビ番組が流れていて、それを高熱のだるい体をソファーに預けて、ぼんやり見ていた。


薬をもらって、飲み物を買って、また片道15分の炎天下を歩いて帰ると、当たり前のように誰もいない。


楽しみと言ったら、薬を飲んで、いつもは見ることが出来ない、子供向け番組を見ることくらいだった。


今は、とある事から、嫌いになってしまった雨が、私は当時は好きだった。


午後から聞こえ始める、外にいる子供達の遊ぶ元気な声を雨音が、カーテンのように閉め出して、私を守ってくれたからだ。


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