第8話

大鷲座の年、6の月 土の日


昨日の大夜会は予想外の事が起こった。

まず、アリアがいた。挨拶ついでに一曲踊った。

手は小さくて柔らかく、良い匂いがして……一瞬頭がクラクラした。


あの大きくて綺麗な青い瞳に、思考が全部読み取られてしまっているようで……僕は確かに、息をするのを忘れてしまっていた。

長い金髪は動きの邪魔にならないよう、肩口で纏められて、ステップの度に左右に揺れる。

同い年位の奴は、皆、彼女に見惚れていたと思う。



踊り終わって、少し休んでいると、色々な話が聞こえてくる。

父も母も挨拶と会談で忙しく動き回っているため、自分も挨拶がてら人の少ない所を目指そう。

そうした所で、話し声が聞こえてきた。


どこか、人が近づくことを憚るような、小さな声で


王室の御用商人と、隣の領の領主が、何かを話し合っていたんだ。


かすかに漏れ聞こえた言葉は


第1皇子



混乱


南方の異民族


なにか良からぬことが起こるような、そんな感じがした

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