第2話 突然現れたライバル
「えっ?帰ってきてないんですか?」
学園に着くなり、職員に話しかけていたツムギ。周りには、予想外の出来事が起きて戸惑う生徒達が溢れていた
「ツムギ、どうしたの?」
近くにいた生徒と話終えたナオとカホが、職員との話を終えて、しょんぼりした顔をしているツムギに声をかけた
「レアス、まだ帰ってきてないって……。大丈夫かな?」
「大丈夫じゃないの?一応、私達と同じグループだったんだし。それなりに魔力もあるだろうし」
「でも、この子が来たし……」
ツムギの言葉を聞いて、スカートのポケットに隠れていたララが顔を出し、ふわり浮かんでツムギの肩にちょこんと座った
「そういえば、その子、怪我してたでしょ。早く治療してあげないと」
「そうだった。早く保健室に……」
ナオの言葉に、ララの傷の事を思い出して慌てはじめたツムギ。ララと目が合うと、見つめ合う二人に反応して、ララの隣に同じくらいの大きさの猫のようなものが現れて、ジーっとララを睨んでいる
「さっき先生に聞いたら、この子、ララって名前みたい。ルト、ララと仲良くね」
ツムギがそう言っても、無視して肩に座り続けるリリィに、ちょっとイラついたルトが、ララの頬を引っ張った。ムッとしたララも頬を引っ張って喧嘩が始まり、慌てて止めるツムギとで、騒がしくなり周りの視線を感じつつ、ナオとカホが呆れて見ていると、誰かが騒ぎに気づいてツムギ達のところに近づいてきた
「おや、ツムギ君。この子は……」
髪を腰まで伸ばした男性が、ララとルトがドタバタと動き回っている様子を不思議そうに見つめ、ツムギに声をかけてきた
「あっ、リン先生。この子、私達の所に突然飛んできたんです。確か、レアスの子と思うのですが……」
ツムギの話を聞いて、ルトと睨み合っていたララをつかんで、観察しはじめた
「確かにそうだな。保健室に連れていって職員室に連れてくるように」
「……はい」
ツムギにララを渡してツムギ達から離れていくリン。姿が見えなくなると、ツムギがふぅ。とため息つきながらララを見つめていると、学園のチャイムが鳴り響いた
「帰りのチャイム鳴っちゃったね」
カホがため息混じりに言うと、ツムギの肩に再び乗ったララを見た。頬をつついているルトを止めながら、ナオとカホに話しかけた
「私がこの子を保健室に連れていって、その後、職員室に連れてくよ。二人はもう帰っていいよ」
「いいの?そっちだって疲れてるでしょ」
「うん、ついでに、この傷も治してもらうから」
腕にあった擦り傷をナオとカホに見せると、ツムギの傷を見て困ったように見つめ合う
「そっか……。じゃあ、また明日ね」
ツムギに手を振り帰っていくナオとカホに、ツムギも手を振り見送ると、再び喧嘩をはじめたルトとララをなだめながら、一人保健室へと歩きだした
「リンさん、魔術の報告が来ました」
廊下を歩いているリンに、リンを探していた職員が声をかけてきた
「やはり、レアスのだと思われます。ですが、成績よりもかなり強い魔力ですので、まだ確実とは言えませんが……」
そう言いながら、たくさんの資料をリンに手渡すと、
資料を受け取ったリンが面倒そうに資料を数枚目を通していく
「レアスが見つからない限り、レアスの魔術と思うべきだな。引き続き捜索を続けてくれ」
「わかりました」
リンに、すぐに返された資料を受け取ると、頭を下げると廊下をパタパタと走り去っていた職員の後ろ姿を見て、リンが深いため息をついた
「全く……。面倒な事は起こさないでほしいものだな。明日には、どうにかなるとよいが……」
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