神ガ形ノ意思ニ背イテ 拾弐話
登場人物名
24歳
熱い正義感と無鉄砲な若さを持つ新人隊員
士官学校卒の元警官であったが、
任務より目先の命を優先することが多く、危険な目に合うことが多い
射撃の腕も上がってきており、実力が伸びてきている
49歳
大雑把でガサツな性格だが実力は確かで引退後の現在も英雄譚が受け継がれている
現在は記者をやっているようだが、身の上話をしないためどこに属しているかは不明
25歳
悲劇のエイプリルフールと呼ばれる猟奇殺人事件を起こした犯人
事件当時は未成年であった為、そして更生の余地ありと判断され
懲役20年の刑罰を課せられ現在服役中
22歳
軍の養成学校を卒業し防衛隊に入隊した
かつて母が属していた
自分の腕に自信をもっており、性格に難がある
23歳
18歳に高校を卒業し、1年間は大学に通っていたが
自らの戦闘センスを押され、養成校に転学
そこで
だが恋愛関係ではなく単なる友情な様子
32歳
大雑把な性格だが、部下を率いる防衛隊の一部隊の隊長。
説明下手でよく
任務中ではかなり頭が回り、戦場をかけている。
昔受けた負傷が今も身体を蝕んでおり
いつ死んでもおかしくない
年齢不詳
マッドサイエンティスト気質な女性
未だ研究結果を世界に公表することなく、自身のみで使っている
現在はなにか新たな兵器を製造することにご執心の様子
19歳
学園を卒業し、何かの目的を以て部隊に所属した。
自分の実力を疑わず、隊員と特に
かなりの実力者で、
Nは→後のキャラ演者が読む
※所々交代があるので注意してください。かなり大変です。
・
突如世界に現れた「
Variant Hunt Army通称
自衛隊や警察組織と違い、独立した権力を持つ
一般人や学園卒業者の中で実力保有者が入隊することができる
・
2000年に突如現れた異形の生命体。
理由や目的は不明だが人類を脅かす存在。
現れた当初は世界でも数十体しか確認されなかったが、年々数を増やしていた。
出現方法も繁殖方法などは不明となっている。
生物が
一部では神の使い等と
・
その素性、人員、目的一切が不明のテロ集団
突如姿を現れては殺戮を行う事から市民から恐れられている
役表
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神ガ形ノ意思ニ背イテ 拾弐話
N→
大きく振りかぶって放たれた一撃を受けて
その勢いのまま壁にぶつかって倒れてしまう。
「グハァアッツ!!!」
「どうした!!もう終わりか!!!」
N→
息を絶え絶えに顔をあげるが
「ぐっ……!!!」
N→
今だに実力差は歴然たるものだ
だが
パワー、スピード、ガードと全体的に目ざましいほどの成長具合を見せており
一般の軍人とは一線を画すほどの成長度合いを誇っていた。
だが
「今のじゃ…全然ダメだ!
反応が全く追いついてない……」
「攻撃を受け止めた後の対応が遅ぇ!
そんなんじゃ次の攻撃を出されたら終ぇだぞ」
「次の攻撃にも対応……」
(こうは言ってるが…
もうこのレベルに着いて来れるとはなかなかやるじゃねぇか…
「……はぁ……はぁ………まだまだいけます!!」
「ガハハハ!!!!じゃあテメェの本気の一撃を出してみな!!」
「はい!!!!!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
N→
走りながら渾身のストレートを繰り出した。
それは
『パワー・フィスト!』
「!!!!」
N→
片足が後ろへ押されるほどの一撃を受けたものの
「なかなかやるじゃねぇか!!
今度は撃ちあいだ!!!
いくぞっ!!!!!」
「はい!!!」
『パワー・フィスト!!!』
『パワー・フィスト!!』
N→
二人のパワー・フィストの撃ちあいにより激しい衝撃音が響きわたる。
その押し合いを制したのは
「ぐわぁぁぁあああっ!!!」
「まだまだ甘ぇな!」
N→
激しく息を切らしている
(予想以上に押してきやがった…
それにこの瞳…ボコしがいがあるじゃねぇか)
「ぐっ………くそ…っ……まだ威力が足りないのか」
「いったん休憩だ」
N→
「ふぅー………いるか?」
「あ…いえ、俺は大丈夫です
どうしても煙がダメだったみたいで…」
「…………ま、やめといた方がいいな」
「まだ…俺は
足元にすら及ばない……
どうしたらいいんだ……」
「………」
N→
煙を出しながら
(……最初こそ弱っちいし頭の固ぇ若造だと思ってたが
なかなかの成長速度をしてやがる
いちいち理解も遅ぇが、その分頭で考えてから行動すっから習得速度は速ぇ
考えすぎるところが長所にもなるとぁな
それに面白い技も持ってやがる
型にとらわれず多種多様な技を持つってのはいずれ強力な武器になんだろ
ったく……おもしれぇ弟子を押し付けてきやがったもんだな)
「今の動き…俺の何が悪かったんでしょうか?」
「そうだな……腰だ腰
殴り方がまだまだ悪ぃんだよ」
「腰……腰?」
「あれだ……上手い事やれ」
「上手い事って…………
そうか……
「なんか言ったか?」
「あ…いえ!なにも!」
(おそらくだが…腰というのは体幹の事を言ってるはずだ
以前
同じところを見極めている……
何度か手合わせをしているけれど…
それこそ…
勝てるイメージが沸かない……
技を極めた
そして完成された極地……
一体これほどの力を得るまでにどれほど戦ったというんだろう……)
N→
2本目のタバコを口にしたところで
「あ、そういや明日だったか?
新しく部隊に入ってくんだろ?」
「はい、そうみたいです」
「どんな奴が入ってくんだろうな」
「つい先日に入隊式があったので
そこから配属してくることになると思います」
「なるほどな……だが、そいつらの教育は俺はやらねぇからな」
「わかってます…それが
N→
1つ目は隊長としての仕事はしないこと
あくまで補佐のみに徹することが条件だという
2つ目は部下の指導はせず
これはあくまで隊長として
自分が引っ張るのは違うと判断しての事らしい。
それらを了承した
「ですが…まだ不安です
俺に隊長が務まるでしょうか…?」
「そればっかりはやってみえねぇとわからねぇよ
俺や
自分が向いてるなんざ思っちゃいねぇが…そういう奴の方が適正があったりもするもんだ
今からうだうだ考えてたってしゃあねぇよ」
「そう…ですね」
「悪いが今日はもう終わりだ
俺はこの後行くとこがあんだよ」
「は、はい!今日もありがとうございました」
「良いって事よ、じゃあな」
N→
その際、とても厳しい目をしていた事に
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
それから少しして
面会の予定をしており、面会室に通されるとそこにはある男が対面に座っている。
「こんにちは、
「……ちっ」
N→
かつて悲劇のエイプリルフールと呼ばれる猟奇殺人を犯した犯人である。
当時未成年であった事、その後の反省の意志が見られたことを踏まえて
懲役20年とされていた。
そして更にここ数年の服役態度も模範囚と呼べるほどのものであり
近日中に仮釈放されることが決まっていたのだ。
あれから11年が経ち
見た目は完全に大人になっていたが
機械的なほど無表情に笑うその顔は
過去事件の際に被っていた仮面のような不気味さを醸し出していた。
「お久しぶりです
今日はどのような御用でしょうか?」
「………」
N→
過去の悪行を許すことができず苛立ちが抑えられない
だが聞くことがあるため冷静にならねばならず
落ち着かせるために無言を貫いていたのだ。
タバコを取ろうとしたが、禁煙であることを思い出してポケットの奥にしまい込む。
「そんなに睨まないでくださいよ」
「…………」
N→
さも今思い出したような表情を取って話を続ける。
「そういえば聞きましたか?
私、仮釈放が決まったそうなんです」
N→
ギチギチと音が鳴る程に手を強く握りしめていた。
「どうやら刑務所内での態度がよかったのでそうなったみたいです
身元引受人も見つかったので―――」
「……テメェ、何が目的だ?」
「…………?
目的ですか?」
「俺への復讐でもしようってか?
もしそうならいつでも相手になってやる
だがそうなったら次こそはぶち殺すぞ」
N→
より一層の殺意を込めて睨む。
「怖い怖い…そんなに怒らないでくださいよ」
「今日来たのはいくつか聞きたいことがあるだけだ
少しでも嘘をついたり答える素振りがなければ話は終わりだ」
「えぇ、わかりました」
「テメェが使ってたマリオネットどうたら…とかいう技
あれを
テメェが考案したって言ってたはずだが…なぜあれを使うやつが他にいる?」
「へぇ…
「知らばっくれんじゃねぇ
テメェが考えた技なんだろ
どう考えてもテメェが教えねぇと使うことはねぇんだよ」
「間違いなく私が考案した技です
……そうですねぇ
確かに人に教えたことはありますが
その人が
という方なのかどうかは知りません」
N→
表情に曇りがなく嘘をついているようには思えない。
かといって真実を口にしているようにも思えないが
今の質問に関して含んだものはないと
「…質問を変えるぞ
誰に教えた?」
「名前は聞いてませんし、顔も見ていません
ただ知りたいと言われたのでお答えしただけですよ
私は元よりこの技を独占しようとは思っていませんから」
N→
その言葉を聞いた
防弾だが激しい一撃を受けて全体にヒビが入った。
だがその一撃を見ても微動だにせず落ち着いた様子で
「どうしました?」
「どうしたもこうしたもあるか!!
テメェが教えた物のせいで奴らの戦力は強化された!
それのせいで人が死んだ事だってある…!!
テメェがテロ行為に助長したと俺が言えばムショ暮らしを長引かせることぐらいでききんだぞ!!」
「そうは言われましても教えただけのものをどう使おうと私は知る由もありませんよ」
「さっき仮釈放って言ったが…まさか
「…
「そうだ…テメェがもしテロリストになるってなら…容赦しねぇからな
忘れんじゃねぇぞ」
「わかりました」
「………俺に復讐する分には好きにしやがれ
だが他のやつに手を出したらわかってんだろうな?」
「心配しないでください
私が貴方やその関係者に復讐をするのではないかと危惧してるんでしょう
ですが、私はそんなつもりは毛頭ありませんよ」
「だとしたら何が目的だ?
テメェのようなクズが心を入れ替えるとは思えねぇ…
何を企んでやがんだ!」
「…信じてもらえませんね」
「当然だ!
テメェが俺の部下たちに何をしたか…忘れたわけじゃねぇだろ!」
「私は11年経って反省をしたんです
信じていただかなくても構いませんが本当に目的なんてありませんよ」
N→
拳を下ろし、部屋から立ち去ろうとする。
だが、扉を開けた瞬間
「ただ…教えた一人
覚えていることがあります
教えた場所はここ…面会室です
時期は…そうですね………1年前ほどでしょうか?」
「なに…?」
N→
最後に
「…厄介な事を言い残しやがって……あのクソガキが………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
次の日、防衛隊本部にて
それほどまでに
そんな隊員たちに目もくれず
今日は二人の入隊者が来るとの事で事前に情報が送られてきていたので
待っている間、それを確認することにした。
「入隊する二人はもう部屋にいるはずです
「俺は見てねぇぞ
そこは隊長としてのお前の仕事だかんな
それについては俺は手を貸さねぇぞ」
「わかりました……」
N→
携帯端末で二人のプロフィールを見る。
二人はつい先日、軍学校を卒業して防衛隊へと入隊した新人隊員である。
養成学校で好成績を収めた2名で
今季入隊者の中でも選りすぐりのエリートであった。
「どんな人達なんだろうか…」
「行ってみなきゃわからねぇだろ
……ふぅ~………よし、いくぞ」
「はい!」
N→
二人は廊下を歩いて部屋の前に立つ。
部屋内からは話し声が聞こえてくる。
どうやら既に二人は中で待機しているようだ。
部屋に入ると二人の隊員が座っており、
「本日より
「同じく
N→
二人は
「えっと…お二人が新しく入隊する人たちですよね
俺は
「よろしくお願いいたします」
「…よろしくお願いします」
N→
まるで話を聞くがない様子を感じた
「ぁ……はい」
「まぁ硬ぇ話は後だ後
一旦座れよ」
「失礼します」
N→
二人は羨望の眼差しを
依然として
「
「あ?誇りだ?」
「えぇ!あの
その部下として勤められるなんて…光栄の極みです!」
「そうは言われてもな
大したことはしてねぇぞ」
「そんな謙遜を…!
母も
「母……?そういや…
まさか…お前?」
「あぁ…そうなんです!
私の母が以前
そして…その戦死した事件
「仇…ねぇ……」
N→
だがそれに気づかない二人は尚も
「自分は養成学校より隊長の英雄譚を聞き感銘を受けておりました
まさかその本人が自分の隊長になるとは思っておらず
これから一層身を引き締めて勤めていく所存です!」
「あぁ…そのことだが言わなきゃならねぇことがあんだ」
「はい?なんでしょうか?」
「俺は…形式上は隊長だが
実際ほとんどやんのはこの
「………え?」
「………へ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
「どういうことですか!
貴方が隊長の代わりだなんて…納得がいきません」
「…えっと……何が納得いかないんでしょうか?」
「貴方の経歴は見ました
大した実績もなく、過去仲間全員を失った経験もあると
その程度の軍人が
「は……恥ですか……」
「噂で聞いていた
尚且つこのような腑抜けた態度とは…こんな人だなんて拍子抜けです」
「言い過ぎだよ…
「だって納得できないでしょ?
せっかく憧れの人が隊長だと思ってたらこんな人だなんて
…拍子抜けで呆れたわ」
「たしかに納得はいかないけどな
一応は俺らより先輩にあたるんだよ」
「そんなことどうでもいいのよ
というわけでハッキリ言いますが、私は貴方の指示に従いません」
「おいおい…」
「それじゃあ休憩なので失礼します!」
「お、おい!」
N→
「
自分らが命を賭けれるほどの何かを見せていただかないと貴方には従えません」
「何かって……何をすればいいんですか?」
「それは自分で考えてください
それでは自分も休憩に入ります」
N→
二人が飛び出ていくのをこっそり見ていた
「……」
「ガハハハ!!ずいぶんハッキリ言われちまったな!!」
N→
悩みに満ちた表情をしたまま俯いていた。
「なかなかに堪えたようだな!
いきなり新人にあんだけ言われちゃ無理もねぇ!!」
「…言い返せませんでした
俺が逆の立場なら…きっと俺みたいなやつに命を賭けれません」
「あいつらの言ってることはわからんでもねぇ
隊長ってのはあいつらの命を預ける相手だからな
神経質にもなんだろ」
「やはり俺は……隊長にはなれないんでしょうか」
N→
「……じゃあ
「っ!!」
N→
その言葉を聞いた
「それは……できません!」
「ならやるっきゃねぇだろ」
「ですが…やると言ってもどうしたらいいんでしょうか…」
「任せとけ!!ガハハハハ!!!
いい作戦があんだ!」
「作戦…?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
「おい、
どこ行くんだよ」
「直談判しにいくのよ
あんなのに着いていくなんて真っ平ゴメンだからね」
「そこはわかるけどさ
上に文句言ったってなにも変わらないだろ」
「じゃあなに?
我慢して命を無駄に賭けろって?」
「我慢しろとは言ってない
俺達は俺達の好きにしたらいいさ
戦果をあげて昇格もしたら流石に文句を聞いてくれるだろ
今の俺たちは新米だからな」
「たしかに一理あるわね
そうしましょうか」
「本当にあの
だがそうじゃないのならさっさと俺たちが上に行けばいいだけだ」
「そうね、ついでに
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
なんの変哲もない公園で遊具の一つも置いておらず人は
ぼんやりと地面を眺めながら考え事をしていると何者かが近づく足音がしてくる。
「なに腑抜けた顔してんのさ、おっさん」
N→
以前より少しだけ身長が伸びている少年はこちらを見て呆れた顔をしている。
「おっさんじゃねぇって言っただろ」
「辛気臭い顔してっから老けて見えんだよ」
「……俺そんな顔してたか?」
「してたよ」
N→
ミハルが隣に座るとバッグからジュースの缶を2本取り出した。
その1本を
「ほら、1本やるよ」
「あぁ…ありがとう」
N→
ジュースを飲んで一息つくとミハルが顔を合わせずに話を振ってきた。
「おっさん、なんかあったの?」
「……なんでお前に言わなきゃいけねぇんだよ」
「いいから言えって
別に相談のるわけじゃねぇから独り言だと思ってさ」
「独り言………そうだな」
N→
ぐるぐると考えが巡りながらもゆっくりと言葉を出していった。
「俺が軍人になったきっかけになった隊長が居たんだが
…最近俺を守るために命を落としてしまった
その人や…他の仲間も全滅して……俺だけ生き残ってしまった
どうして俺が…って毎晩考え続けた
命を絶とうとも思った日もあった
だけど…その人が俺に託した言葉があった
……隊長になってくれ
俺は…そんな言葉を無下にもできなくて
なんとか必死にやろうとしてたんだが…全然ダメでな
今日なんか新人の奴らに言われたんだ
俺に命は賭けれないって………
俺は…その通りだって思ったよ
俺みたいなやつは隊長になんか向いてないんだ」
「ふ~ん、色々あったんだな」
「俺みたいなのじゃ…あの二人を守れない……
そりゃ信用なんか出来ねぇよな」
「……馬鹿だなおっさん」
「ぁ?」
「おっさんが誰も守れねぇってなら…なんで俺は生きてんだよ」
「………」
「言ってただろ
弱くたって守ってみせるって
あの言葉…そっくりそのまま言ってやりゃいいんじゃね」
「弱くたって…守る………
俺そんなこと言ってたのか」
「最初はなんか冴えないおっさんだと思ったけど
俺たちを必死に守ってくれた時のおっさん
かっこよかったよ
でも今のおっさんは…なんかダセェな」
「………」
「あれだけ担架切ってた時のおっさんになれよ
まだ今よりはかっけぇし、強そうだよ」
「っ………ははははは!
ガキんちょの癖によく言うよ」
「そのガキに言われたくなかったらシャキッとしないよおっさん」
「そうだな…」
N→
「いてぇぇえ!!!」
「さっきからおっさんおっさんってうるせぇんだよ!
俺はまだお兄さんの歳だ!」
「いたたた!!なにも殴らなくたっていいだろ!!!」
N→
そんな
口にした事で少しだけ気持ちが軽くなったのか
子供に弱音を吐いた自分に対して呆れたのか
理由はわからないが
ミハルはそんな表情を見るとふっと笑う。
「なんだよ、あん時の顔もできんじゃん」
「色々吹っ切れたよ
ありがとな、ミハル」
「どういたしまして
そろそろ俺は寮に帰らないとだ
じゃあな、おっさん」
N→
ミハルは立ち上がるとそのまま立ち去っていく。
「おい!!おっさんじゃねぇって………
……………………
弱くたって守る…そうだ
何があったって俺は……部下を……仲間を守るだけだ」
N→
「…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
次の日
緊急任務を言い渡され
初出動という事もあり、危険度は新人を含めても対処可能なC-Classが敵であり
尚且つ
市街地に現れた
そのうち2体は既に
逃走し包囲網を抜けた2体の追撃が任務内容であった。
「えっと…まずは…この先にいる民間人の避難を優先させましょう!
まだ避難が行き届いてないとの事なので接敵した際は足止めをしましょう」
「待ってください
自分らの任務は
避難を優先していたら逃げられてしまいますよ!」
「ですが…それでは犠牲者が出てしまう
先にそっちからやりましょう」
「さっさと倒せば被害は増えません
時間が経てば経つほどそのリスクは高くなると思いますけど」
「ですが…!優先順位があります
防衛隊の規則にもあるようにまずは人命救助を―――」
N→
「もういいです
さっきからうだうだと言ってますけれど戦うのが怖いんじゃないですか?」
「なにっ!?」
「
早く倒せばいいだけの事
こっちには
どう考えても早期決着を取るべきじゃないですか?」
「ですが…」
「なら私たちが戦うのであなたは避難をさせててください
「そういうわけで隊長代理さん
後は頼みますよ」
「ちょ……ちょっと待ってください!!」
N→
二人が立ち去ろうとするのを見て
振り返る
「さっきも言いましたよね
信じさせる何かがないと言う事には従わないと」
N→
「早く行くわよ
「りょーかい」
N→
残された
「くそ!!なんでわからないんだ!!」
「さぁ、どうすんだ
「っ………まずは避難を優先させます」
「そう思うならそうしろ
今はお前が隊長だ
俺は部下として指示通りに動いてやる」
「わかりました
それでは避難誘導をお願いします!」
「任せとけ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
1体はクワガタの形状をした
もう1体はバッタの形状をしている
どちらも大きさは3、4メートル程度でC-Class相当の強さである。
少し離れた位置で無線を通して会話しており、作戦を練っていた。
「見つけたぞ
どっちからやる?」
「まずはバッタの方からで
クワガタの方は立ち止まっててこっちに気づてない
その前に素早く片方を潰すわよ」
「どういう攻め方でいく?」
「所持武器からするとまず1体を倒したいわ」
「それじゃあ…これで決めるか」
N→
「そうね…!
ここでサクッと二体とも倒して
「確かにな!あの人もいきなり新人が
「それじゃあ…行くわよ!」
「誘導は任せたぜ」
N→
それに気づいたバッタの
バッタの突進に対して
「動きが単調でやりやすいわね!」
N→
バッタの後ろ側にいるクワガタの方をチラリと見る。
未だこちらには気づいていないようだ。
「作戦通りね
じゃあ…そろそろね!
1・2……3ッ!!」
N→
瞬時に
咄嗟に視界から外れたバッタの
電柱は軽く曲がったがその突進を止める事に成功する
横に回った
「作戦通りだ!」
「トドメは任せるわ!!」
「りょーかい!!
さぁ口を開けな!!化け物さん!!」
N→
バッタの
口をゆっくりと開けた。
それを見計らい
「おらよ!プレゼントだ!!」
N→
少ししてバッタの顔は爆発し、そのまま動きを止めた。
「よし!1体目だ!
次は……」
「
「なッ!!?」
N→
その突撃は
「何だってんだ!?」
「わからないわ!!
けどさっきまであそこにいたはず!!
なんで急に近づいてくるの!?」
N→
そこにはまだクワガタの
だが目の前にも同じ個体がいる。
「え…どういうこと!?同じ個体が二体いた…!?
しかもあの動かないのより少し大きいわよ!」
「ち…ちげぇ……そういう事かよ」
N→
もう1体の
背中には蝉の抜け殻のように穴が空いており
薄く殻のように有色透明な色をしていることに気がつく。
「もしかして…こいつ!
脱皮してたのかよ!!」
「だからサイズが上がった…っての?
嘘でしょ……」
N→
脱皮が終わり、一回り大きく
そして一段階硬くなっていたこの
「これが…C-Classって間違いでしょ!?」
「脱皮したから強化されたんだ!仕方ないだろ!!」
「いいから撃つわよ!!」
「わかってる!!」
N→
だがクワガタの
「嘘だろ…」
「弾丸が効かない…!?これじゃあ…!」
「まずいっ!!」
N→
二人にクワガタの
咄嗟に回避が遅れた二人はそれを眺めるしかなかった。
「おおおお!!」
N→
その瞬間、
二人は転がりながら地面に倒れるがゆっくりと立ち上がり
「
「ありがとうございます!!」
N→
敵を見ながら
「こいつ…Bはあんな
ちょうどいいか」
「隊長!こいつが最後の目標です!倒しましょう!!」
「自分らも援護します!」
「いや、俺はやらねぇ」
「え?」
「な…なにを…?じょ…冗談ですよね?」
「俺は戦わねぇって言ったんだ
それにお前らも手を出すな
あいつの相手は
「
N→
武器を全て外しており、銃やナイフすら持っていなかった。
「な…なんで丸腰で!?
死ぬ気なのか!!?」
「どういうことですか!?
「お前らがあいつを舐めてっからな
教えてやろうと思ってよ
あいつは俺の三番弟子で
過去の奴らの中で一番強ぇ」
「そんな…嘘ですよね
あの人がそんな強いなんて?」
「そうです!経歴を見ましたが大した戦果は…」
「そんなデータだけが強さの全てじゃねぇって事だ
いいから黙って見てろ」
N→
二人はただそれを眺めていた。
そんな3人の前に立ちふさがった
「こいつを俺が倒す………」
N→
「任せとけ!!ガハハハハ!!!
いい作戦があんだ!」
「作戦…?」
「テメェの強さを見せつけりゃいいんだ
B-Classを一人で倒しゃ奴らも見返すだろ」
「俺一人でですか?
でも俺はまだ…B-Classなんて倒した事ないですよ!?」
「あ?今のお前ならその程度いけんだろ
最近実戦をやってねぇから無理もねぇが
今のお前は以前とは比べ物にならねぇ
それを奴らにも見せてやりな
危なかったら手を貸してやっから安心しろ」
「わ…わかりました」
「それと…お前に2つ縛りを付ける
それを踏まえたうえで戦ってみろ」
「条件ですか?」
N→
現在に戻り
(1つ目の縛りは銃火器、爆弾などの使用を禁止
だからすべてを外してきた…素手で倒せってことだろう……
もう1つは……
破装拳、破砕拳の使用禁止
この2つ…
つまり…
N→
ぎゅっと拳を握り締めて目を開く。
「やってみせる!!」
N→
「
「っ!!」
N→
そして懐に忍び込むと一撃、パンチを繰り出した。
「あの体勢から回避を!!?」
「はぁっつ!!!」
N→
先ほどの銃弾でも怯まなかったはずがその重い一撃は外殻に小さなヒビを作った。
「なんて一撃……まるで………」
「
「ガハハ!やるじゃねぇか」
N→
攻撃を最小限の動きで回避して拳を打ち付けていた。
その拳が当たる音は離れた位置にいる3人にも聞こえてくる。
「ここまで音が響くなんて…一体どんな威力で殴っているの!?」
「おかしいだろ…なんだよあの強さ!」
「
「さっきも言ったろ
俺の三番弟子でこの部隊の隊長だ」
「隊長……確かにあれほどの強さならば……」
「俺達じゃ足元にも及ばない……」
N→
次第に
それでも小さな
その焦りからか大ぶりな一撃を放った事でハサミが住宅に引っ掛かり動きが一瞬止まる。
(今だ!!)
N→
そしてそれに合わせて追撃の構えを取った。
その時
「いくぞ……」
「来たか…極地!!」
「はぁっ!!」
N→
発動条件は既に
「お前の極地は性格を現わすようなもんだ
一撃、お前の技の時のみに発動させることができる
ちょうど技を持ってるお前にぁちょうどいいもんじゃねぇか
だが発動時間は技のタイミングのみだ
その短さだけはどうにもならねぇから気を付けろよ」
「…技の間だけ……それは…つまり
終わるまでは発動できるということでしょうか?」
「頭ばっかりで考える利点として
そのキャパシティは高ぇ
多分だができんだろうな」
「それじゃあ…連打にすれば俺の極地時間は伸びますよね?」
「……そうだな
おもしれぇ事考えんじゃねぇか
いいぜ、連打を教えてやる」
N→
そして
「使うならここだ…!」
(
N→
強く両足を地面につき、連打の体勢を取る。
この技はパワー・フィストの応用で
一撃一撃を体勢を保ったまま行う。
ねばり強い体幹を得た事で連打をしても体勢を崩さず
尚且つ単純な威力も上がったことにより強力な技となっていた。
『
N→
マシンガンの連射を思わせるほど素早く激しい連打。
それら全てが
極地発動によって覚醒した的確な部位への攻撃
それによる威力の向上で人が出すものとは思えないほどのとてつもない威力を生み出していた。
外殻を完全に割られ、それでもなお止まらない連打を受け続ける。
「うぉおおおおおおおおおおおおっつ!!!!!」
N→
激しい血しぶきをあげながら断末魔をあげる。
だが
返り血を浴びて緑に染まるまで攻撃をし続けると
「はぁ……はぁ………倒せた………」
「よくやった
すげぇじゃねぇか」
「ありがとうございます!
それに二人とも無事でよかった…」
N→
その言葉を聞いた二人は
「ど…どうしたんですか!?急に!!?」
「すいませんでした!!」
「すみませんでした!!」
「そ…その…えっと
どうしたんですか?」
「まさか…ここまでの強さがあっただなんて……
今までの無礼、深くお詫びします
そして隊長に反論した件
どんな処罰も受ける所存です」
「私もです……
あのような態度を取ったこと申し訳ございませんでした」
「ぁ………っと………」
「ガハハ!言っただろ!こいつは強いってよ!
お前ら二人で戦ったってこいつにぁ勝てねぇぞ」
「はい…間違いなく勝てないと思います」
「いえ…でも二人の言ったこともわかるんです
俺には着いていけないって……
こんなどこの馬の骨ともわからない奴に命を預けるなんて
…難しいと思います
ですが…俺は……隊長になるって
前の師匠に…隊長に誓ったんです
その為に…俺は戦っています
俺はこんな奴ですけど…それでもそんな2人の意志を継ぎたいんです!
弱くても…部下を仲間を守ってみせます
だから俺に着いてきてください!」
「こいつはあらかじめ避難を優先させたろ
実はその後、5体目の
その出現は突然のものだったが迅速な避難誘導で怪我人はいなかった
こういった行いだって間違ってるとは言えねぇぜ
俺ら防衛隊ってのは完璧な対応を求められる
犠牲を出さずにすましてようやく及第点ってとこだ
世間から求められるものは厳しい
だから軍人としちゃ甘い行動に見えたかもしれねぇが
真っ先に人を護ろうとした
それは何よりも人として大事なこった
お前ら、それについてはわかってやれ」
「………」
「………」
N→
二人は黙る。
「この後はどうしたらいいんですか?
……隊長」
「
「!!」
N→
ふっと
「えっと…この後は……どうしたら…」
「なにやってんですか!隊長!」
「私たちだってわかりませんよ
しっかりしてください」
「ガハハハ!!」
N→
そんな
「ふぅーーーー」
N→
そしてニヤッと笑って独り言をつぶやいた。
「
N→
俺の隊長としての第一歩
まだまだ至らないヒヨッコの俺だが
部下を…仲間を守ってみせる
例え弱くても、それでも必ず勝ってみせる
それらすべてを受け止めてみせる
それが俺の戦う理由であり
俺が拳を振るう理由なんだ
これからも戦い続ける
仲間たちの意志
そして
ただ…ひたすらに
神ガ形ノ意思ニ背イテ 拾弐話 完
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血桜ハ還リ咲ク 別章 ミクロさん/kagura @micronears
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