神ガ形ノ意思ニ背イテ 拾弐話

登場人物名


勝田 信二かつたしんじ

24歳

熱い正義感と無鉄砲な若さを持つ新人隊員

士官学校卒の元警官であったが、魔怪まかいの襲撃の際に同僚たちの不甲斐なさに失望し、単身挑むも死にかけそこを榊原さかきばらに助けられる

任務より目先の命を優先することが多く、危険な目に合うことが多い

中井なかいから教わった破装拳はそうけんを扱い

射撃の腕も上がってきており、実力が伸びてきている




街田 茂まちだしげる

49歳

榊原さかきばらの師匠

大雑把でガサツな性格だが実力は確かで引退後の現在も英雄譚が受け継がれている

現在は記者をやっているようだが、身の上話をしないためどこに属しているかは不明




鷹篠 新羅たかじょうしんら

25歳

悲劇のエイプリルフールと呼ばれる猟奇殺人事件を起こした犯人

事件当時は未成年であった為、そして更生の余地ありと判断され

懲役20年の刑罰を課せられ現在服役中




西原 利佳にしはらりか

22歳

西原 麻衣にしはらまいの娘

軍の養成学校を卒業し防衛隊に入隊した

かつて母が属していた街田 茂まちだしげるを仇を討った恩人と崇め、尊敬している

自分の腕に自信をもっており、性格に難がある




直史なおふみ

23歳

18歳に高校を卒業し、1年間は大学に通っていたが

自らの戦闘センスを押され、養成校に転学

そこで利佳りかと出会い、卒業後は同期として防衛隊に入隊する

利佳りかとは仲がよくプライベートでも遊ぶ仲

だが恋愛関係ではなく単なる友情な様子

魔怪まかい襲撃のせいで過去の経歴が不明のため苗字がない




榊原 義弘さかきばらよしひろ

32歳

大雑把な性格だが、部下を率いる防衛隊の一部隊の隊長。

説明下手でよく橘花たちばなに訂正される

勝田かつたを気に入り、傍に置いて色々指導している。

任務中ではかなり頭が回り、戦場をかけている。

筑波つくばとはかなり長い付き合いらしい

昔受けた負傷が今も身体を蝕んでおり

いつ死んでもおかしくない




筑波 柊つくばひいらぎ

年齢不詳

マッドサイエンティスト気質な女性

魔怪まかいの研究に人生を捧げており、クローンとなり長年研究を続けている

未だ研究結果を世界に公表することなく、自身のみで使っている

現在はなにか新たな兵器を製造することにご執心の様子




東郷 椎菜とうごうしいな

19歳

学園を卒業し、何かの目的を以て部隊に所属した。

自分の実力を疑わず、隊員と特に須加すが勝田かつたとは反りが合わない事が多く、独断で行動することが多い。

かなりの実力者で、榊原さかきばら管轄の部隊で個人戦力は群を抜いて高い。






Nは→後のキャラ演者が読む

※所々交代があるので注意してください。かなり大変です。






VHAぶいえいちえー

突如世界に現れた「魔怪まかい」と呼ばれる怪物を駆除するために設立された軍

Variant Hunt Army通称VHAぶいえいちえーと呼ばれる軍は

自衛隊や警察組織と違い、独立した権力を持つ

一般人や学園卒業者の中で実力保有者が入隊することができる

VHAぶいえいちえー兵を総称して兵員と呼ばれている




魔怪まかいについて

2000年に突如現れた異形の生命体。

理由や目的は不明だが人類を脅かす存在。

現れた当初は世界でも数十体しか確認されなかったが、年々数を増やしていた。

出現方法も繁殖方法などは不明となっている。

魔怪まかいの姿形は現存した生物に類似している為

生物が魔怪まかいに変異した説や妖怪や幽霊といった類である説だったり

一部では神の使い等と吹聴ふいちょうしている宗教までいる。




CARDIEDカディドとは

その素性、人員、目的一切が不明のテロ集団

突如姿を現れては殺戮を行う事から市民から恐れられている






役表


勝田 信二かつたしんじ♂:

街田 茂まちだしげる♂:

西原 利佳にしはらりか♀:

直史なおふみ♂:

鷹篠 新羅たかじょうしんら新藤 海晴しんどうみはる 不問:






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神ガ形ノ意思ニ背イテ 拾弐話






N→直史なおふみ

街田 茂まちだしげる勝田 信二かつたしんじは防衛隊本部にあるトレーニングルームにて格闘訓練を行っていた。

街田まちだの激しい攻撃を上手く耐えているが

大きく振りかぶって放たれた一撃を受けて勝田かつたは吹き飛ばされる。

その勢いのまま壁にぶつかって倒れてしまう。



勝田 信二かつたしんじ

「グハァアッツ!!!」



街田 茂まちだしげる

「どうした!!もう終わりか!!!」



N→直史なおふみ

息を絶え絶えに顔をあげるが街田まちだは息一つ切らしていなかった。



勝田 信二かつたしんじ

「ぐっ……!!!」



N→直史なおふみ

勝田かつたは激痛に耐えながらゆっくりと立ち上がる。

今だに実力差は歴然たるものだ

だが勝田かつたも無意味に殴られているわけではない。


街田まちだの激しいトレーニングを経て

勝田かつたの実力は格段に上がっていたのだ。

パワー、スピード、ガードと全体的に目ざましいほどの成長具合を見せており

一般の軍人とは一線を画すほどの成長度合いを誇っていた。

だが剛鬼ごうきほどの相手であれば成長を実感しづらいのも仕方がない事である。



勝田 信二かつたしんじ

「今のじゃ…全然ダメだ!

反応が全く追いついてない……」



街田 茂まちだしげる

「攻撃を受け止めた後の対応が遅ぇ!

そんなんじゃ次の攻撃を出されたら終ぇだぞ」



勝田 信二かつたしんじ

「次の攻撃にも対応……」



街田 茂まちだしげる

(こうは言ってるが…

もうこのレベルに着いて来れるとはなかなかやるじゃねぇか…

義弘よしひろ正樹まさきでもこんな早くにぁ着いてこれてなかったろうな)



勝田 信二かつたしんじ

「……はぁ……はぁ………まだまだいけます!!」



街田 茂まちだしげる

「ガハハハ!!!!じゃあテメェの本気の一撃を出してみな!!」



勝田 信二かつたしんじ

「はい!!!!!

うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」



N→直史なおふみ

勝田かつたは走りながら街田まちだに向けて大きく拳を振りかざす。

走りながら渾身のストレートを繰り出した。

それは街田まちだ榊原さかきばらの使用する技の一つである。



勝田 信二かつたしんじ

『パワー・フィスト!』



街田 茂まちだしげる

「!!!!」



N→直史なおふみ

街田まちだはその一撃を片手で受け止めた。

片足が後ろへ押されるほどの一撃を受けたものの街田まちだは怯む様子がない。



街田 茂まちだしげる

「なかなかやるじゃねぇか!!

今度は撃ちあいだ!!!

いくぞっ!!!!!」



勝田 信二かつたしんじ

「はい!!!」



街田 茂まちだしげる

『パワー・フィスト!!!』



勝田 信二かつたしんじ

『パワー・フィスト!!』



N→直史なおふみ

二人のパワー・フィストの撃ちあいにより激しい衝撃音が響きわたる。

その押し合いを制したのは街田まちだ勝田かつたはその拳を正面から受けて、吹き飛ばされた。



勝田 信二かつたしんじ

「ぐわぁぁぁあああっ!!!」



街田 茂まちだしげる

「まだまだ甘ぇな!」



N→直史なおふみ

街田まちだ勝田かつたに手を差し出す。

勝田かつたはその手を取って座り込むと息を整え始める。

激しく息を切らしている勝田かつただったが瞳の奥に消えぬ闘志を見てふっと笑う。



街田 茂まちだしげる

(予想以上に押してきやがった…

それにこの瞳…ボコしがいがあるじゃねぇか)



勝田 信二かつたしんじ

「ぐっ………くそ…っ……まだ威力が足りないのか」



街田 茂まちだしげる

「いったん休憩だ」



N→直史なおふみ

街田まちだは地面にあぐらをかいて座り、ポケットから煙草を取り出して吸い始める。



街田 茂まちだしげる

「ふぅー………いるか?」



勝田 信二かつたしんじ

「あ…いえ、俺は大丈夫です

どうしても煙がダメだったみたいで…」



街田 茂まちだしげる

「…………ま、やめといた方がいいな」



勝田 信二かつたしんじ

「まだ…俺は街田まちださんのレベルに追いつくどころか

足元にすら及ばない……

どうしたらいいんだ……」



街田 茂まちだしげる

「………」



N→直史なおふみ

煙を出しながら街田まちだ勝田かつたについて分析し出した。



街田 茂まちだしげる

(……最初こそ弱っちいし頭の固ぇ若造だと思ってたが

なかなかの成長速度をしてやがる

いちいち理解も遅ぇが、その分頭で考えてから行動すっから習得速度は速ぇ

考えすぎるところが長所にもなるとぁな

それに面白い技も持ってやがる

型にとらわれず多種多様な技を持つってのはいずれ強力な武器になんだろ

ったく……おもしれぇ弟子を押し付けてきやがったもんだな)



勝田 信二かつたしんじ

「今の動き…俺の何が悪かったんでしょうか?」



街田 茂まちだしげる

「そうだな……腰だ腰

殴り方がまだまだ悪ぃんだよ」



勝田 信二かつたしんじ

「腰……腰?」



街田 茂まちだしげる

「あれだ……上手い事やれ」



勝田 信二かつたしんじ

「上手い事って…………

そうか……榊原さかきばらさんの説明能力の低さは街田まちださんから………」



街田 茂まちだしげる

「なんか言ったか?」



勝田 信二かつたしんじ

「あ…いえ!なにも!」



勝田 信二かつたしんじ

(おそらくだが…腰というのは体幹の事を言ってるはずだ

以前須加すがさんにも体幹を鍛えろと言われてたが…流石は師弟だ

同じところを見極めている……

何度か手合わせをしているけれど…榊原さかきばらさんや須加すがさんとは一つも二つもレベルが違う……

それこそ…中井なかいさんを相手にしているようだ

勝てるイメージが沸かない……

技を極めた中井なかいさんとは違って

街田まちださんの圧倒的なパワーと耐久

そして完成された極地……

一体これほどの力を得るまでにどれほど戦ったというんだろう……)



N→直史なおふみ

2本目のタバコを口にしたところで街田まちだは明日のことを思い出す。



街田 茂まちだしげる

「あ、そういや明日だったか?

新しく部隊に入ってくんだろ?」



勝田 信二かつたしんじ

「はい、そうみたいです」



街田 茂まちだしげる

「どんな奴が入ってくんだろうな」



勝田 信二かつたしんじ

「つい先日に入隊式があったので

そこから配属してくることになると思います」



街田 茂まちだしげる

「なるほどな……だが、そいつらの教育は俺はやらねぇからな」



勝田 信二かつたしんじ

「わかってます…それが街田まちださんが戻った条件ですしね」



N→直史なおふみ

街田まちだは再び軍に戻る際に2つの条件を提示していた。

1つ目は隊長としての仕事はしないこと

勝田かつたに教え終わったらまた軍を辞めると決めているため

あくまで補佐のみに徹することが条件だという

2つ目は部下の指導はせず勝田かつたのみにしか言わないこと

これはあくまで隊長として勝田かつたが就任するためのものであり

自分が引っ張るのは違うと判断しての事らしい。

それらを了承した勝田かつたはそれに反論することはなかった。



勝田 信二かつたしんじ

「ですが…まだ不安です

俺に隊長が務まるでしょうか…?」



街田 茂まちだしげる

「そればっかりはやってみえねぇとわからねぇよ

俺や義弘よしひろだってそうだった

自分が向いてるなんざ思っちゃいねぇが…そういう奴の方が適正があったりもするもんだ

今からうだうだ考えてたってしゃあねぇよ」



勝田 信二かつたしんじ

「そう…ですね」



街田 茂まちだしげる

「悪いが今日はもう終わりだ

俺はこの後行くとこがあんだよ」



勝田 信二かつたしんじ

「は、はい!今日もありがとうございました」



勝田 信二かつたしんじ

「良いって事よ、じゃあな」



N→直史なおふみ

街田まちだはトレーニングルームから立ち去っていった。

その際、とても厳しい目をしていた事に勝田かつたは気がつかなかった。






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N→西原 利佳にしはらりか

それから少しして

街田まちだは刑務所に足を運んでいた。

面会の予定をしており、面会室に通されるとそこにはある男が対面に座っている。

街田まちだは勢いよく席に座るとギロリとその男を睨む。



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「こんにちは、街田まちださん」



街田 茂まちだしげる

「……ちっ」



N→西原 利佳にしはらりか

鷹篠 新羅たかじょうしんら

かつて悲劇のエイプリルフールと呼ばれる猟奇殺人を犯した犯人である。

鷹篠たかじょう街田まちだに倒され、逮捕されたが

当時未成年であった事、その後の反省の意志が見られたことを踏まえて

懲役20年とされていた。

そして更にここ数年の服役態度も模範囚と呼べるほどのものであり

近日中に仮釈放されることが決まっていたのだ。


あれから11年が経ち

見た目は完全に大人になっていたが

機械的なほど無表情に笑うその顔は

過去事件の際に被っていた仮面のような不気味さを醸し出していた。



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「お久しぶりです

今日はどのような御用でしょうか?」



街田 茂まちだしげる

「………」



N→西原 利佳にしはらりか

街田まちだは返事をせずただ睨み続けた。

過去の悪行を許すことができず苛立ちが抑えられない

だが聞くことがあるため冷静にならねばならず

落ち着かせるために無言を貫いていたのだ。

タバコを取ろうとしたが、禁煙であることを思い出してポケットの奥にしまい込む。



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「そんなに睨まないでくださいよ」



街田 茂まちだしげる

「…………」



N→西原 利佳にしはらりか

鷹篠たかじょうはわざとらしく

さも今思い出したような表情を取って話を続ける。



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「そういえば聞きましたか?

私、仮釈放が決まったそうなんです」



N→西原 利佳にしはらりか

街田まちだの反応はなく無言を貫いているが

ギチギチと音が鳴る程に手を強く握りしめていた。



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「どうやら刑務所内での態度がよかったのでそうなったみたいです

身元引受人も見つかったので―――」



街田 茂まちだしげる

「……テメェ、何が目的だ?」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「…………?

目的ですか?」



街田 茂まちだしげる

「俺への復讐でもしようってか?

もしそうならいつでも相手になってやる

だがそうなったら次こそはぶち殺すぞ」



N→西原 利佳にしはらりか

より一層の殺意を込めて睨む。

鷹篠たかじょうはそんな視線には物怖じもせず口角を上げて笑った。



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「怖い怖い…そんなに怒らないでくださいよ」



街田 茂まちだしげる

「今日来たのはいくつか聞きたいことがあるだけだ

少しでも嘘をついたり答える素振りがなければ話は終わりだ」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「えぇ、わかりました」



街田 茂まちだしげる

「テメェが使ってたマリオネットどうたら…とかいう技

あれをCARDIEDカディドの奴らが使ってるという報告があった

テメェが考案したって言ってたはずだが…なぜあれを使うやつが他にいる?」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「へぇ…CARDIEDカディドという方が使ってるんですね?」



街田 茂まちだしげる

「知らばっくれんじゃねぇ

テメェが考えた技なんだろ

どう考えてもテメェが教えねぇと使うことはねぇんだよ」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「間違いなく私が考案した技です

……そうですねぇ

確かに人に教えたことはありますが

その人がCARDIEDカディド…?

という方なのかどうかは知りません」



N→西原 利佳にしはらりか

鷹篠たかじょうの顔を注視する。

表情に曇りがなく嘘をついているようには思えない。

かといって真実を口にしているようにも思えないが

今の質問に関して含んだものはないと街田まちだは予想した。



街田 茂まちだしげる

「…質問を変えるぞ

誰に教えた?」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「名前は聞いてませんし、顔も見ていません

ただ知りたいと言われたのでお答えしただけですよ

私は元よりこの技を独占しようとは思っていませんから」



N→西原 利佳にしはらりか

その言葉を聞いた街田まちだは立ち上がり防弾ガラスを殴りつける。

防弾だが激しい一撃を受けて全体にヒビが入った。

だがその一撃を見ても微動だにせず落ち着いた様子で鷹篠たかじょうは首をかしげる。



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「どうしました?」



街田 茂まちだしげる

「どうしたもこうしたもあるか!!

テメェが教えた物のせいで奴らの戦力は強化された!

それのせいで人が死んだ事だってある…!!

テメェがテロ行為に助長したと俺が言えばムショ暮らしを長引かせることぐらいでききんだぞ!!」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「そうは言われましても教えただけのものをどう使おうと私は知る由もありませんよ」



街田 茂まちだしげる

「さっき仮釈放って言ったが…まさかCARDIEDカディドに入るつもりじゃないだろうな?」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「…CARDIEDカディドに?」



街田 茂まちだしげる

「そうだ…テメェがもしテロリストになるってなら…容赦しねぇからな

忘れんじゃねぇぞ」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「わかりました」



街田 茂まちだしげる

「………俺に復讐する分には好きにしやがれ

だが他のやつに手を出したらわかってんだろうな?」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「心配しないでください

私が貴方やその関係者に復讐をするのではないかと危惧してるんでしょう

ですが、私はそんなつもりは毛頭ありませんよ」



街田 茂まちだしげる

「だとしたら何が目的だ?

テメェのようなクズが心を入れ替えるとは思えねぇ…

何を企んでやがんだ!」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「…信じてもらえませんね」



街田 茂まちだしげる

「当然だ!

テメェが俺の部下たちに何をしたか…忘れたわけじゃねぇだろ!」



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「私は11年経って反省をしたんです

信じていただかなくても構いませんが本当に目的なんてありませんよ」



N→西原 利佳にしはらりか

街田まちだはその言葉を聞きながらも激しい殺意を込めて睨んでいたが

拳を下ろし、部屋から立ち去ろうとする。

だが、扉を開けた瞬間

鷹篠たかじょう街田まちだにだけ聞こえるような声量でぼそっと呟く。



鷹篠 新羅たかじょうしんら

「ただ…教えた一人

覚えていることがあります

教えた場所はここ…面会室です

時期は…そうですね………1年前ほどでしょうか?」



街田 茂まちだしげる

「なに…?」



N→西原 利佳にしはらりか

街田まちだが振り返ると鷹篠たかじょうは刑務官に連れられて部屋から出るところだった。

最後に街田まちだと目が合うとニコリと笑う。



街田 茂まちだしげる

「…厄介な事を言い残しやがって……あのクソガキが………」







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N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

次の日、防衛隊本部にて

勝田かつた街田まちだは廊下を歩いていた。

街田まちだが通ると他隊員が敬礼をしながら優先して道を避けている。

それほどまでに街田まちだが今なお尊敬されていることが伝わってきていた。


そんな隊員たちに目もくれず街田まちだは喫煙所に入るとタバコを吸い始める。

勝田かつたは一緒に中に入ると携帯端末を開く。

今日は二人の入隊者が来るとの事で事前に情報が送られてきていたので

待っている間、それを確認することにした。



勝田 信二かつたしんじ

「入隊する二人はもう部屋にいるはずです

街田まちださんは事前の資料って読みましたか?」



街田 茂まちだしげる

「俺は見てねぇぞ

そこは隊長としてのお前の仕事だかんな

それについては俺は手を貸さねぇぞ」



勝田 信二かつたしんじ

「わかりました……」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

携帯端末で二人のプロフィールを見る。

二人はつい先日、軍学校を卒業して防衛隊へと入隊した新人隊員である。

養成学校で好成績を収めた2名で

今季入隊者の中でも選りすぐりのエリートであった。

勝田かつたとは年齢もほとんど離れていないため勝田かつたはどういった対応を取ればいいか悩んでいた。



勝田 信二かつたしんじ

「どんな人達なんだろうか…」



街田 茂まちだしげる

「行ってみなきゃわからねぇだろ

……ふぅ~………よし、いくぞ」



勝田 信二かつたしんじ

「はい!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

街田まちだはタバコの火を消し終わると喫煙所から出る。

二人は廊下を歩いて部屋の前に立つ。

部屋内からは話し声が聞こえてくる。

どうやら既に二人は中で待機しているようだ。

部屋に入ると二人の隊員が座っており、街田まちだの顔を見るとさっと立ち上がり敬礼をした。



西原 利佳にしはらりか

「本日より街田まちだ隊に配属となりました

西原 利佳にしはらりかです」



直史なおふみ

「同じく直史なおふみです」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

二人は勝田かつたには目もくれず街田まちだにのみ敬礼を向けていた。



勝田 信二かつたしんじ

「えっと…お二人が新しく入隊する人たちですよね

俺は勝田 信二かつたしんじで―――」



直史なおふみ

「よろしくお願いいたします」



西原 利佳にしはらりか

「…よろしくお願いします」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

勝田かつたが言い終わる前に言葉を被せるようにさらりと返事をした。

まるで話を聞くがない様子を感じた勝田かつたは困惑してしまう。



勝田 信二かつたしんじ

「ぁ……はい」



街田 茂まちだしげる

「まぁ硬ぇ話は後だ後

一旦座れよ」



西原 利佳にしはらりか直史なおふみ

「失礼します」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

街田まちだが座るのを見て二人は礼をしてから座った。

二人は羨望の眼差しを街田まちだに向け続けており

依然として勝田かつたには目をくれない。



西原 利佳にしはらりか

街田まちだ隊長、私たちは隊長の隊員となれることを誇りに思います」



街田 茂まちだしげる

「あ?誇りだ?」



西原 利佳にしはらりか

「えぇ!あの剛鬼ごうきと呼ばれるほどの英雄が再び軍に戻ってきて

その部下として勤められるなんて…光栄の極みです!」



街田 茂まちだしげる

「そうは言われてもな

大したことはしてねぇぞ」



西原 利佳にしはらりか

「そんな謙遜を…!

母も街田まちだ隊長を信頼していたと聞いています」



街田 茂まちだしげる

「母……?そういや…西原にしはらって言ったか?

まさか…お前?」



西原 利佳にしはらりか

「あぁ…そうなんです!

私の母が以前街田まちだ隊長の部下だったとお聞きしました!

そして…その戦死した事件

街田まちだ隊長が仇を討ったと聞いております!」



街田 茂まちだしげる

「仇…ねぇ……」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

街田まちだはその言葉を聞いて少しだけ表情が曇る。

だがそれに気づかない二人は尚も街田まちだへ賞賛をし続けた。



直史なおふみ

「自分は養成学校より隊長の英雄譚を聞き感銘を受けておりました

まさかその本人が自分の隊長になるとは思っておらず

これから一層身を引き締めて勤めていく所存です!」



街田 茂まちだしげる

「あぁ…そのことだが言わなきゃならねぇことがあんだ」



西原 利佳にしはらりか

「はい?なんでしょうか?」



街田 茂まちだしげる

「俺は…形式上は隊長だが

実際ほとんどやんのはこの勝田かつただ」



直史なおふみ

「………え?」



西原 利佳にしはらりか

「………へ?」







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N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

街田まちだが休憩になると喫煙所に歩いて行った。。

西原にしはら直史なおふみはそのタイミングを見計らっていたようで

勝田かつたに近づくと話しかけてくる。

西原にしはらがバンと机を叩きつけ抗議の姿勢を取った。



西原 利佳にしはらりか

「どういうことですか!

貴方が隊長の代わりだなんて…納得がいきません」



勝田 信二かつたしんじ

「…えっと……何が納得いかないんでしょうか?」



西原 利佳にしはらりか

「貴方の経歴は見ました

大した実績もなく、過去仲間全員を失った経験もあると

その程度の軍人が街田まちださんに成り代わろうだなんて…恥を知るべきではありませんか?」



勝田 信二かつたしんじ

「は……恥ですか……」



西原 利佳にしはらりか

「噂で聞いていた街田まちだ隊長の弟子というのが一体どんな人なのかと思って…経歴を見てみたらこんな経歴で

尚且つこのような腑抜けた態度とは…こんな人だなんて拍子抜けです」



直史なおふみ

「言い過ぎだよ…利佳りか



西原 利佳にしはらりか

「だって納得できないでしょ?

せっかく憧れの人が隊長だと思ってたらこんな人だなんて

…拍子抜けで呆れたわ」



直史なおふみ

「たしかに納得はいかないけどな

一応は俺らより先輩にあたるんだよ」



西原 利佳にしはらりか

「そんなことどうでもいいのよ

というわけでハッキリ言いますが、私は貴方の指示に従いません」



直史なおふみ

「おいおい…」



西原 利佳にしはらりか

「それじゃあ休憩なので失礼します!」



勝田 信二かつたしんじ

「お、おい!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

西原にしはらは勢いよく扉を開けて出ていってしまう。



直史なおふみ

利佳りかの言い方は悪いですが自分も同じような考えです

自分らが命を賭けれるほどの何かを見せていただかないと貴方には従えません」



勝田 信二かつたしんじ

「何かって……何をすればいいんですか?」



直史なおふみ

「それは自分で考えてください

それでは自分も休憩に入ります」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

直史なおふみも部屋を出ていってしまう。

二人が飛び出ていくのをこっそり見ていた街田まちだはうなだれる勝田かつたに近づいた。



勝田 信二かつたしんじ

「……」



街田 茂まちだしげる

「ガハハハ!!ずいぶんハッキリ言われちまったな!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

街田まちだはバンバンと強く肩を叩くが

悩みに満ちた表情をしたまま俯いていた。



街田 茂まちだしげる

「なかなかに堪えたようだな!

いきなり新人にあんだけ言われちゃ無理もねぇ!!」



勝田 信二かつたしんじ

「…言い返せませんでした

俺が逆の立場なら…きっと俺みたいなやつに命を賭けれません」



街田 茂まちだしげる

「あいつらの言ってることはわからんでもねぇ

隊長ってのはあいつらの命を預ける相手だからな

神経質にもなんだろ」



勝田 信二かつたしんじ

「やはり俺は……隊長にはなれないんでしょうか」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

街田まちだはそれを聞いて少しの間黙りこくる。



街田 茂まちだしげる

「……じゃあ義弘よしひろの意志を捨てるか?」



勝田 信二かつたしんじ

「っ!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

その言葉を聞いた勝田かつたはぎゅっと拳を握り締める。



勝田 信二かつたしんじ

「それは……できません!」



街田 茂まちだしげる

「ならやるっきゃねぇだろ」



勝田 信二かつたしんじ

「ですが…やると言ってもどうしたらいいんでしょうか…」



街田 茂まちだしげる

「任せとけ!!ガハハハハ!!!

いい作戦があんだ!」



勝田 信二かつたしんじ

「作戦…?」
















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N→街田 茂まちだしげる

直史なおふみはどこかへ歩いて行く西原にしはらを追いかけていた。



直史なおふみ

「おい、利佳りか

どこ行くんだよ」



西原 利佳にしはらりか

「直談判しにいくのよ

あんなのに着いていくなんて真っ平ゴメンだからね」



直史なおふみ

「そこはわかるけどさ

上に文句言ったってなにも変わらないだろ」



西原 利佳にしはらりか

「じゃあなに?

我慢して命を無駄に賭けろって?」



直史なおふみ

「我慢しろとは言ってない

俺達は俺達の好きにしたらいいさ

戦果をあげて昇格もしたら流石に文句を聞いてくれるだろ

今の俺たちは新米だからな」



西原 利佳にしはらりか

「たしかに一理あるわね

そうしましょうか」



直史なおふみ

「本当にあの勝田かつたって人が優秀なら文句はない

だがそうじゃないのならさっさと俺たちが上に行けばいいだけだ」



西原 利佳にしはらりか

「そうね、ついでに街田まちだ隊長に認めてもらえるかもしれないもんね」






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N→西原 利佳にしはらりか

勝田かつたは家の近くにある公園のベンチに座っていた。

なんの変哲もない公園で遊具の一つも置いておらず人は勝田かつたしかいない。

ぼんやりと地面を眺めながら考え事をしていると何者かが近づく足音がしてくる。



新藤 海晴しんどうみはる

「なに腑抜けた顔してんのさ、おっさん」



N→西原 利佳にしはらりか

勝田かつたが顔を上げるとそこにはミハルが立っていた。

以前より少しだけ身長が伸びている少年はこちらを見て呆れた顔をしている。



勝田 信二かつたしんじ

「おっさんじゃねぇって言っただろ」



新藤 海晴しんどうみはる

「辛気臭い顔してっから老けて見えんだよ」



勝田 信二かつたしんじ

「……俺そんな顔してたか?」



新藤 海晴しんどうみはる

「してたよ」



N→西原 利佳にしはらりか

ミハルが隣に座るとバッグからジュースの缶を2本取り出した。

その1本を勝田かつたに差し出した。



新藤 海晴しんどうみはる

「ほら、1本やるよ」



勝田 信二かつたしんじ

「あぁ…ありがとう」



N→西原 利佳にしはらりか

ジュースを飲んで一息つくとミハルが顔を合わせずに話を振ってきた。



新藤 海晴しんどうみはる

「おっさん、なんかあったの?」



勝田 信二かつたしんじ

「……なんでお前に言わなきゃいけねぇんだよ」



新藤 海晴しんどうみはる

「いいから言えって

別に相談のるわけじゃねぇから独り言だと思ってさ」



勝田 信二かつたしんじ

「独り言………そうだな」



N→西原 利佳にしはらりか

勝田かつたは俯きながら最近の出来事を思い返す。

ぐるぐると考えが巡りながらもゆっくりと言葉を出していった。



勝田 信二かつたしんじ

「俺が軍人になったきっかけになった隊長が居たんだが

…最近俺を守るために命を落としてしまった

その人や…他の仲間も全滅して……俺だけ生き残ってしまった

どうして俺が…って毎晩考え続けた

命を絶とうとも思った日もあった

だけど…その人が俺に託した言葉があった

……隊長になってくれ

俺は…そんな言葉を無下にもできなくて

なんとか必死にやろうとしてたんだが…全然ダメでな

今日なんか新人の奴らに言われたんだ

俺に命は賭けれないって………

俺は…その通りだって思ったよ

俺みたいなやつは隊長になんか向いてないんだ」



新藤 海晴しんどうみはる

「ふ~ん、色々あったんだな」



勝田 信二かつたしんじ

「俺みたいなのじゃ…あの二人を守れない……

そりゃ信用なんか出来ねぇよな」



新藤 海晴しんどうみはる

「……馬鹿だなおっさん」



勝田 信二かつたしんじ

「ぁ?」



新藤 海晴しんどうみはる

「おっさんが誰も守れねぇってなら…なんで俺は生きてんだよ」



勝田 信二かつたしんじ

「………」



新藤 海晴しんどうみはる

「言ってただろ

弱くたって守ってみせるって

あの言葉…そっくりそのまま言ってやりゃいいんじゃね」



勝田 信二かつたしんじ

「弱くたって…守る………

俺そんなこと言ってたのか」



新藤 海晴しんどうみはる

「最初はなんか冴えないおっさんだと思ったけど

俺たちを必死に守ってくれた時のおっさん

かっこよかったよ

でも今のおっさんは…なんかダセェな」



勝田 信二かつたしんじ

「………」



新藤 海晴しんどうみはる

「あれだけ担架切ってた時のおっさんになれよ

まだ今よりはかっけぇし、強そうだよ」



勝田 信二かつたしんじ

「っ………ははははは!

ガキんちょの癖によく言うよ」



新藤 海晴しんどうみはる

「そのガキに言われたくなかったらシャキッとしないよおっさん」



勝田 信二かつたしんじ

「そうだな…」



N→西原 利佳にしはらりか

勝田かつたは立ち上がるといきなりミハルに対して拳骨をした。



新藤 海晴しんどうみはる

「いてぇぇえ!!!」



勝田 信二かつたしんじ

「さっきからおっさんおっさんってうるせぇんだよ!

俺はまだお兄さんの歳だ!」



新藤 海晴しんどうみはる

「いたたた!!なにも殴らなくたっていいだろ!!!」



N→西原 利佳にしはらりか

そんな勝田かつたの顔は少しだけ緩んでいた。

口にした事で少しだけ気持ちが軽くなったのか

子供に弱音を吐いた自分に対して呆れたのか

理由はわからないが勝田かつたの顔に決意が再び宿っていた。

ミハルはそんな表情を見るとふっと笑う。



新藤 海晴しんどうみはる

「なんだよ、あん時の顔もできんじゃん」



勝田 信二かつたしんじ

「色々吹っ切れたよ

ありがとな、ミハル」



新藤 海晴しんどうみはる

「どういたしまして

そろそろ俺は寮に帰らないとだ

じゃあな、おっさん」



N→西原 利佳にしはらりか

ミハルは立ち上がるとそのまま立ち去っていく。



勝田 信二かつたしんじ

「おい!!おっさんじゃねぇって………

……………………

弱くたって守る…そうだ

何があったって俺は……部下を……仲間を守るだけだ」



N→西原 利佳にしはらりか

勝田かつたはぐっと拳で左胸を叩く。



勝田 信二かつたしんじ

「…榊原さかきばらさん、俺やってみせますよ」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

次の日

緊急任務を言い渡され街田まちだ隊は出動していた。

初出動という事もあり、危険度は新人を含めても対処可能なC-Classが敵であり

尚且つ街田まちだもいるとの事で急遽命令が出されたのだ。


市街地に現れた魔怪まかいは4体

そのうち2体は既にV.H.A.ぶいえいちえーが撃破しており

逃走し包囲網を抜けた2体の追撃が任務内容であった。



勝田 信二かつたしんじ

「えっと…まずは…この先にいる民間人の避難を優先させましょう!

まだ避難が行き届いてないとの事なので接敵した際は足止めをしましょう」



直史なおふみ

「待ってください

自分らの任務は魔怪まかいの撃破です

避難を優先していたら逃げられてしまいますよ!」



勝田 信二かつたしんじ

「ですが…それでは犠牲者が出てしまう

先にそっちからやりましょう」



直史なおふみ

「さっさと倒せば被害は増えません

時間が経てば経つほどそのリスクは高くなると思いますけど」



勝田 信二かつたしんじ

「ですが…!優先順位があります

防衛隊の規則にもあるようにまずは人命救助を―――」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

西原にしはらが怒りをぶつけるように足元にあった瓦礫を蹴飛ばす。



西原 利佳にしはらりか

「もういいです

さっきからうだうだと言ってますけれど戦うのが怖いんじゃないですか?」



勝田 信二かつたしんじ

「なにっ!?」



西原 利佳にしはらりか

直史なおふみの言う通り

早く倒せばいいだけの事

こっちには街田まちださんだっています

どう考えても早期決着を取るべきじゃないですか?」



勝田 信二かつたしんじ

「ですが…」



西原 利佳にしはらりか

「なら私たちが戦うのであなたは避難をさせててください

直史なおふみいくわよ」



直史なおふみ

「そういうわけで隊長代理さん

後は頼みますよ」



勝田 信二かつたしんじ

「ちょ……ちょっと待ってください!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

二人が立ち去ろうとするのを見て勝田かつた直史なおふみの肩を掴む。

振り返る直史なおふみの視線は軽蔑的でその瞳に勝田かつたは物怖じしてしまう。



直史なおふみ

「さっきも言いましたよね

信じさせる何かがないと言う事には従わないと」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

直史なおふみは肩を振って手を離させる。



西原 利佳にしはらりか

「早く行くわよ直史なおふみ



直史なおふみ

「りょーかい」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

西原にしはら直史なおふみは二人で魔怪まかいのいる方へと走っていってしまった。

残された勝田かつたは護送車を強く殴りつける。



勝田 信二かつたしんじ

「くそ!!なんでわからないんだ!!」



街田 茂まちだしげる

「さぁ、どうすんだ勝田かつた



勝田 信二かつたしんじ

「っ………まずは避難を優先させます」



街田 茂まちだしげる

「そう思うならそうしろ

今はお前が隊長だ

俺は部下として指示通りに動いてやる」



勝田 信二かつたしんじ

「わかりました

それでは避難誘導をお願いします!」



街田 茂まちだしげる

「任せとけ」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

西原にしはら直史なおふみの二人は魔怪まかいを発見していた。

1体はクワガタの形状をした魔怪まかいであり止まったまま動く様子がない。

もう1体はバッタの形状をしている魔怪まかい

どちらも大きさは3、4メートル程度でC-Class相当の強さである。

少し離れた位置で無線を通して会話しており、作戦を練っていた。



直史なおふみ

「見つけたぞ

どっちからやる?」



西原 利佳にしはらりか

「まずはバッタの方からで

クワガタの方は立ち止まっててこっちに気づてない

その前に素早く片方を潰すわよ」



直史なおふみ

「どういう攻め方でいく?」



西原 利佳にしはらりか

「所持武器からするとまず1体を倒したいわ」



直史なおふみ

「それじゃあ…これで決めるか」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

直史なおふみは手榴弾の持ち手に指をかけてクルクルと回しながら見せる。



西原 利佳にしはらりか

「そうね…!

ここでサクッと二体とも倒して街田まちだ隊長を驚かせましょう」



直史なおふみ

「確かにな!あの人もいきなり新人が魔怪まかいを倒したとなりゃ驚くんじゃねぇか?」



西原 利佳にしはらりか

「それじゃあ…行くわよ!」



直史なおふみ

「誘導は任せたぜ」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

西原にしはらが瓦礫の影から飛び出しバッタの魔怪まかいの顔の近くを駆け回った。

それに気づいたバッタの魔怪まかいは素早い移動で西原にしはらを標的とし、追いかけてくる。

バッタの突進に対して西原にしはらは小刻みに左右にステップ移動しながら翻弄するように誘導していた。



西原 利佳にしはらりか

「動きが単調でやりやすいわね!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

バッタの後ろ側にいるクワガタの方をチラリと見る。

未だこちらには気づいていないようだ。



西原 利佳にしはらりか

「作戦通りね

じゃあ…そろそろね!

1・2……3ッ!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

瞬時に西原にしはらが横に側転で回避する。

咄嗟に視界から外れたバッタの魔怪まかいは困惑から突進を止めずに走り続けて、電柱に正面からぶつかった。

電柱は軽く曲がったがその突進を止める事に成功する

横に回った西原にしはらと飛び出してきた直史なおふみは同時に顎部分に向けてマシンガンを連射した。



直史なおふみ

「作戦通りだ!」



西原 利佳にしはらりか

「トドメは任せるわ!!」



直史なおふみ

「りょーかい!!

さぁ口を開けな!!化け物さん!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

バッタの魔怪まかいは顎部分の関節を銃弾で撃ち抜かれ

口をゆっくりと開けた。

それを見計らい直史なおふみが走って顔に近づくと口の中に手榴弾を同時に3つピンを抜き放り込んだ。



直史なおふみ

「おらよ!プレゼントだ!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

直史なおふみは飛び下がって瓦礫の影に隠れる。

少ししてバッタの顔は爆発し、そのまま動きを止めた。



直史なおふみ

「よし!1体目だ!

次は……」



西原 利佳にしはらりか

直史なおふみッ!!避けて!!」



直史なおふみ

「なッ!!?」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

直史なおふみが上を見上げるとクワガタの魔怪まかいが急接近してきていた。

その突撃は直史なおふみを狙っており咄嗟に回避したものの銃が瓦礫に当たり破損してしまった。



直史なおふみ

「何だってんだ!?」



西原 利佳にしはらりか

「わからないわ!!

けどさっきまであそこにいたはず!!

なんで急に近づいてくるの!?」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

西原にしはらが元々クワガタの魔怪まかいが居た方向を見る。

そこにはまだクワガタの魔怪まかいの姿がある

だが目の前にも同じ個体がいる。



西原 利佳にしはらりか

「え…どういうこと!?同じ個体が二体いた…!?

しかもあの動かないのより少し大きいわよ!」



直史なおふみ

「ち…ちげぇ……そういう事かよ」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

もう1体の魔怪まかいが止まっているのを注視して気がついた。

背中には蝉の抜け殻のように穴が空いており

薄く殻のように有色透明な色をしていることに気がつく。



直史なおふみ

「もしかして…こいつ!

脱皮してたのかよ!!」



西原 利佳にしはらりか

「だからサイズが上がった…っての?

嘘でしょ……」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

西原にしはらが確認していたのは脱皮した後の抜け殻であった。

脱皮が終わり、一回り大きく

そして一段階硬くなっていたこの魔怪まかいの脅威クラスはB-Classまで上がっていた。



西原 利佳にしはらりか

「これが…C-Classって間違いでしょ!?」



直史なおふみ

「脱皮したから強化されたんだ!仕方ないだろ!!」



西原 利佳にしはらりか

「いいから撃つわよ!!」



直史なおふみ

「わかってる!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

直史なおふみは拳銃を取り出し、西原にしはらのマシンガンと共に一斉に連射する。

だがクワガタの魔怪まかいは瞬時に回避され、弾丸は固い部位に当たってしまい完全に弾かれている。



直史なおふみ

「嘘だろ…」



西原 利佳にしはらりか

「弾丸が効かない…!?これじゃあ…!」



直史なおふみ

「まずいっ!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

二人にクワガタの魔怪まかいが接近し、ハサミで振り払うように攻撃をしかける。

咄嗟に回避が遅れた二人はそれを眺めるしかなかった。



街田 茂まちだしげる

「おおおお!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

その瞬間、直史なおふみ西原にしはら街田まちだに掴まれると持ち上げられて遠くに投げられる。

二人は転がりながら地面に倒れるがゆっくりと立ち上がり街田まちだが来たことに希望の瞳に変わった。



直史なおふみ

街田まちだ隊長!!」



西原 利佳にしはらりか

「ありがとうございます!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

敵を見ながら街田まちだは何かを考え込んでいる。



街田 茂まちだしげる

「こいつ…Bはあんな

ちょうどいいか」



西原 利佳にしはらりか

「隊長!こいつが最後の目標です!倒しましょう!!」



直史なおふみ

「自分らも援護します!」



街田 茂まちだしげる

「いや、俺はやらねぇ」



直史なおふみ

「え?」



西原 利佳にしはらりか

「な…なにを…?じょ…冗談ですよね?」



街田 茂まちだしげる

「俺は戦わねぇって言ったんだ

それにお前らも手を出すな

あいつの相手は勝田かつたがやる」



直史なおふみ

勝田かつた…って?あの人が?」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

勝田かつたが後ろからゆっくりと歩いてくる。

武器を全て外しており、銃やナイフすら持っていなかった。



直史なおふみ

「な…なんで丸腰で!?

死ぬ気なのか!!?」



西原 利佳にしはらりか

「どういうことですか!?街田まちだ隊長!!」



街田 茂まちだしげる

「お前らがあいつを舐めてっからな

教えてやろうと思ってよ

あいつは俺の三番弟子で

過去の奴らの中で一番強ぇ」



西原 利佳にしはらりか

「そんな…嘘ですよね

あの人がそんな強いなんて?」



直史なおふみ

「そうです!経歴を見ましたが大した戦果は…」



街田 茂まちだしげる

「そんなデータだけが強さの全てじゃねぇって事だ

いいから黙って見てろ」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

街田まちだ勝田かつたを指さす。

二人はただそれを眺めていた。

そんな3人の前に立ちふさがった勝田かつたは拳を構え、魔怪まかいに向き合った。



勝田 信二かつたしんじ

「こいつを俺が倒す………」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

勝田かつたは昨日の街田まちだとの話を思い返していた。



街田 茂まちだしげる

「任せとけ!!ガハハハハ!!!

いい作戦があんだ!」



勝田 信二かつたしんじ

「作戦…?」



街田 茂まちだしげる

「テメェの強さを見せつけりゃいいんだ

B-Classを一人で倒しゃ奴らも見返すだろ」



勝田 信二かつたしんじ

「俺一人でですか?

でも俺はまだ…B-Classなんて倒した事ないですよ!?」



街田 茂まちだしげる

「あ?今のお前ならその程度いけんだろ

最近実戦をやってねぇから無理もねぇが

今のお前は以前とは比べ物にならねぇ

それを奴らにも見せてやりな

危なかったら手を貸してやっから安心しろ」



勝田 信二かつたしんじ

「わ…わかりました」



街田 茂まちだしげる

「それと…お前に2つ縛りを付ける

それを踏まえたうえで戦ってみろ」



勝田 信二かつたしんじ

「条件ですか?」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

現在に戻り

勝田かつたは目を閉じながら言われた縛りを思い出していた。



勝田 信二かつたしんじ

(1つ目の縛りは銃火器、爆弾などの使用を禁止

だからすべてを外してきた…素手で倒せってことだろう……

もう1つは……

破装拳、破砕拳の使用禁止

この2つ…中井なかいさんから教わった技を使用禁止

つまり…街田まちださんとの修行の技のみで戦えという事)



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

ぎゅっと拳を握り締めて目を開く。



勝田 信二かつたしんじ

「やってみせる!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

勝田かつた魔怪まかいに正面から突っ込んでいった。



直史なおふみ

魔怪まかい相手に素手なんて…無茶だ!!!」



勝田 信二かつたしんじ

「っ!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

魔怪まかいのハサミを振り払う攻撃を勝田かつたは上体を反らして回避する。

そして懐に忍び込むと一撃、パンチを繰り出した。



直史なおふみ

「あの体勢から回避を!!?」



勝田 信二かつたしんじ

「はぁっつ!!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

魔怪まかいはその一撃を受けて怯んだ。

先ほどの銃弾でも怯まなかったはずがその重い一撃は外殻に小さなヒビを作った。



西原 利佳にしはらりか

「なんて一撃……まるで………」



直史なおふみ

街田まちだ隊長の…伝説そのものだ……」



街田 茂まちだしげる

「ガハハ!やるじゃねぇか」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

勝田かつた魔怪まかいの動き全てを見切り

攻撃を最小限の動きで回避して拳を打ち付けていた。

その拳が当たる音は離れた位置にいる3人にも聞こえてくる。



西原 利佳にしはらりか

「ここまで音が響くなんて…一体どんな威力で殴っているの!?」



直史なおふみ

「おかしいだろ…なんだよあの強さ!」



西原 利佳にしはらりか

街田まちだ隊長…あの人は一体何者なんですか?」



街田 茂まちだしげる

「さっきも言ったろ

俺の三番弟子でこの部隊の隊長だ」



西原 利佳にしはらりか

「隊長……確かにあれほどの強さならば……」



直史なおふみ

「俺達じゃ足元にも及ばない……」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

次第に魔怪まかいも焦りだしたのか動きを早くするが

それでも小さな勝田かつたを捉える事はできなかった。

その焦りからか大ぶりな一撃を放った事でハサミが住宅に引っ掛かり動きが一瞬止まる。



勝田 信二かつたしんじ

(今だ!!)



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

勝田かつたはアッパ―を繰り出し魔怪まかいを怯ませる。

そしてそれに合わせて追撃の構えを取った。

その時勝田かつたの様子が変わる。



勝田 信二かつたしんじ

「いくぞ……」



街田 茂まちだしげる

「来たか…極地!!」



勝田 信二かつたしんじ

「はぁっ!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

勝田かつたは極地を発動させた。

勝田かつたのものは未完成の極地。

発動条件は既に街田まちだが解き明かしていた。



街田 茂まちだしげる

「お前の極地は性格を現わすようなもんだ

一撃、お前の技の時のみに発動させることができる

ちょうど技を持ってるお前にぁちょうどいいもんじゃねぇか

だが発動時間は技のタイミングのみだ

その短さだけはどうにもならねぇから気を付けろよ」



勝田 信二かつたしんじ

「…技の間だけ……それは…つまり

終わるまでは発動できるということでしょうか?」



街田 茂まちだしげる

「頭ばっかりで考える利点として

そのキャパシティは高ぇ

多分だができんだろうな」



勝田 信二かつたしんじ

「それじゃあ…連打にすれば俺の極地時間は伸びますよね?」



街田 茂まちだしげる

「……そうだな

おもしれぇ事考えんじゃねぇか

いいぜ、連打を教えてやる」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

そして勝田かつたはその連打を習得し、自らの技として昇華させた。



勝田 信二かつたしんじ

「使うならここだ…!」



勝田 信二かつたしんじ

(東郷とうごうさん…技の名前……使わせてもらいます)



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

強く両足を地面につき、連打の体勢を取る。

この技はパワー・フィストの応用で

一撃一撃を体勢を保ったまま行う。

街田まちだによるトレーニングで拳の振り方を矯正し

ねばり強い体幹を得た事で連打をしても体勢を崩さず

尚且つ単純な威力も上がったことにより強力な技となっていた。



勝田 信二かつたしんじ

超拳乱打ファイター・ガトリングッッッ!!!!!!』



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

マシンガンの連射を思わせるほど素早く激しい連打。

それら全てが魔怪まかいに命中し

極地発動によって覚醒した的確な部位への攻撃

それによる威力の向上で人が出すものとは思えないほどのとてつもない威力を生み出していた。

魔怪まかいを追い詰めていく。

魔怪まかいはそんな連打になすすべもなくダメージを喰らい続け

外殻を完全に割られ、それでもなお止まらない連打を受け続ける。



勝田 信二かつたしんじ

「うぉおおおおおおおおおおおおっつ!!!!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

激しい血しぶきをあげながら断末魔をあげる。

だが勝田かつたは完全に動かなくなるまで連打を止めない。

返り血を浴びて緑に染まるまで攻撃をし続けると魔怪まかいは絶命した。



勝田 信二かつたしんじ

「はぁ……はぁ………倒せた………」



街田 茂まちだしげる

「よくやった

すげぇじゃねぇか」



勝田 信二かつたしんじ

「ありがとうございます!

それに二人とも無事でよかった…」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

その言葉を聞いた二人は勝田かつたに向かって深く頭を下げる。



勝田 信二かつたしんじ

「ど…どうしたんですか!?急に!!?」



直史なおふみ

「すいませんでした!!」



西原 利佳にしはらりか

「すみませんでした!!」



勝田 信二かつたしんじ

「そ…その…えっと

どうしたんですか?」



直史なおふみ

「まさか…ここまでの強さがあっただなんて……

今までの無礼、深くお詫びします

そして隊長に反論した件

どんな処罰も受ける所存です」



西原 利佳にしはらりか

「私もです……

あのような態度を取ったこと申し訳ございませんでした」



勝田 信二かつたしんじ

「ぁ………っと………」



街田 茂まちだしげる

「ガハハ!言っただろ!こいつは強いってよ!

お前ら二人で戦ったってこいつにぁ勝てねぇぞ」



直史なおふみ

「はい…間違いなく勝てないと思います」



勝田 信二かつたしんじ

「いえ…でも二人の言ったこともわかるんです

俺には着いていけないって……

こんなどこの馬の骨ともわからない奴に命を預けるなんて

…難しいと思います

ですが…俺は……隊長になるって

前の師匠に…隊長に誓ったんです

その為に…俺は戦っています

街田まちださんのような絶対的な強さはありませんし

榊原さかきばらさんのような部下を惹きつけるカリスマのようなものもありません

俺はこんな奴ですけど…それでもそんな2人の意志を継ぎたいんです!

弱くても…部下を仲間を守ってみせます

だから俺に着いてきてください!」



街田 茂まちだしげる

「こいつはあらかじめ避難を優先させたろ

実はその後、5体目の魔怪まかいが出現した

その出現は突然のものだったが迅速な避難誘導で怪我人はいなかった

こういった行いだって間違ってるとは言えねぇぜ

俺ら防衛隊ってのは完璧な対応を求められる

犠牲を出さずにすましてようやく及第点ってとこだ

世間から求められるものは厳しい

だから軍人としちゃ甘い行動に見えたかもしれねぇが

真っ先に人を護ろうとした

それは何よりも人として大事なこった

お前ら、それについてはわかってやれ」



直史なおふみ

「………」



西原 利佳にしはらりか

「………」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

二人は黙る。

勝田かつたは少しだけ顔を落とすがすぐに直史なおふみが口を開いた。



直史なおふみ

「この後はどうしたらいいんですか?

……隊長」



西原 利佳にしはらりか

勝田かつた隊長、指示をください」



勝田 信二かつたしんじ

「!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

勝田かつたに近づいて指示を仰ぐ二人。

ふっと勝田かつたは困った顔をする。



勝田 信二かつたしんじ

「えっと…この後は……どうしたら…」



直史なおふみ

「なにやってんですか!隊長!」



西原 利佳にしはらりか

「私たちだってわかりませんよ

しっかりしてください」



街田 茂まちだしげる

「ガハハハ!!」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

そんな勝田かつたを見て街田まちだは笑いながら煙草を吸い始める。



街田 茂まちだしげる

「ふぅーーーー」



N→鷹篠 新羅たかじょうしんら

街田まちだは空を眺める。

そしてニヤッと笑って独り言をつぶやいた。



街田 茂まちだしげる

義弘よしひろ…お前の弟子が隊長になったぜ」



N→勝田 信二かつたしんじ

俺の隊長としての第一歩

まだまだ至らないヒヨッコの俺だが

部下を…仲間を守ってみせる

例え弱くても、それでも必ず勝ってみせる

榊原さかきばらさんの教え、誓い、願い

それらすべてを受け止めてみせる

それが俺の戦う理由であり

俺が拳を振るう理由なんだ

これからも戦い続ける

仲間たちの意志

榊原さかきばらさんだけじゃない

須加すがさんも橘花たちばなさんも

そして東郷とうごうさんの想いを俺は胸に秘めて戦い続ける

ただ…ひたすらに











神ガ形ノ意思ニ背イテ 拾弐話 完

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この台本はアドリブを入れる事を前提として書いています

なので演者様方の判断で挟んで頂いて構いません

是非素晴らしい演技にアクセントをつけてください

しかし作風に合わないものはご遠慮ください



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作者はあまり好ましくは思っていませんがある程度ならば可とします

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・特殊なものについて

台本を演じる際に読み込まないで演じる行為や

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特殊な行為をするものは認めていません

流石に読み込んで普通に演技してください

多分そうじゃないとこの台本は演じれないです



二次創作等、商権利用問題のある場合、質問や不明点ございましたら

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血桜ハ還リ咲ク 別章 ミクロさん/kagura @micronears

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