血桜ハ還リ咲ク 別章
ミクロさん/kagura
神ガ形ノ意志ニ背イテ 壱話
登場人物名一覧
32歳
大雑把な性格だが、部下を率いる防衛隊の一部隊の隊長
説明下手でよく
任務中はかなり頭が回り、その力で戦場をかけている
24歳
熱い正義感と無鉄砲な若さを持つ新人隊員
士官学校卒の元警官であったが、
任務より目先の命を優先することが多く、危険な目に合うことが多い
30歳
部隊の中では狙撃を務める事が多く、高い位置からの索敵が得意である
※ナレ多いです
※若い店員、上司 兼任があります
19歳
学園を卒業し、何かの目的を以て部隊に所属した不思議な雰囲気を持つ女性兵士
自分の実力を疑わず、隊員と特に
かなりの実力者で、
※妊婦の女性 兼任があります
27歳
戦闘では弾幕を張ったり、他隊員の立て直しの時間稼ぎや牽制を行う。
※ナレ多いです
※アナウンス、子供 兼任があります
Nは→後のキャラ演者が読む
※所々交代があるので注意してください。かなり大変です。
・
突如世界に現れた「
Variant Hunt Army通称
自衛隊や警察組織と違い、独立した権力を持つ
一般人や兵士育成学園機構卒業者の中で実力保有者が入隊することができる
・
2000年に突如現れた異形の生命体。
理由や目的は不明だが人類を脅かす存在。
現れた当初は世界でも数十体しか確認されなかったが、年々数を増やしている。
出現方法も繁殖方法などは不明となっている。
生物が
一部では神の使い等と
・
その素性、人員、目的一切が不明のテロ集団
突如、姿を現しては殺戮を行う事から市民から恐れられている
役表
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血桜ハ還リ咲ク 別章 壱話
神ガ形ノ意志ニ背イテ
強い者は弱い者を守る
それは力を得た者の責任だ
そんな風に語るヒーロー作品は多い
だがあまりにも強大すぎるものが相手だった時はどうしたらいいのか
逃げる勇気とかそういうものが必要だっていうのか?
目の前にある脅威は俺なんて雑草ごとき眼中にはないのだろう
だが…もう後には引けない
「俺がここで戦わなきゃ誰が戦うって言うんだ!!
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
N→
だが、それもこの化け物を倒すには至らなかった。
振り払われた一撃で身体全体を吹き飛ばされ、その衝撃で血反吐をまき散らす。
「ゴハッ!!!?ぐっ…くそぉぉぉっ!!
こんなところで………死ぬってのかよっつ!!」
N→
化け物は
(こんなところで‥‥俺は、死ぬのか………)
N→
走馬灯が駆け巡る余裕もなく、じっとその様子を眺めるしかなかった。
スローモーションになった世界が終わりを告げる。
突如、連続で鳴り響いた銃撃音と激しく吹き付ける爆風、その衝撃を受け意識が正気へと戻ってきた。
「なっ…!!?いったい……なにが」
N→
化け物から立ち塞がるように目の前にゾロゾロと重装備の兵士たちが駆け寄ってくる。
隊列を作るように並んだ兵士の攻撃を受け、化け物は地に倒れ動かなくなった。
ゆっくりと歩いてきた上官と思わしき兵士は倒れている
「だいぶボロボロだな。大丈夫か?」
ここから俺の数奇な運命が巡り始めたのかもしれない
そんな風に考えていた
昔の俺はどんな大人になりたいと言っていたか思い出してみる
確かその時は皆を守れるような強い人になりたい
そんな風に言っていたな
今の俺はあの頃とくらべーーーーーー
「おーい。勝田くん起きてるかー?」
N→
居眠りをしていた
飛び起きるように立ち上がった
「あ…す、すみません!!勤務中に居眠りを!!」
「暇だからね、気持ちはわかるわ」
「寝ててもいいぞ
勤務ってもやる事といったら指示が来るまで待機だ
な~んもすることねぇんだからよ
今のうちくらいしかゆっくりできねぇぜ」
「ですが…!それでも勤務中です
決していい行いでは……」
「でも、隊長を見てみなさい」
N→
タバコを吸いながら
部屋の一番奥の隊長である
雑誌を顔に乗せていびきをかきながら寝ていた。
「隊長があんなだから、私たちよりまず先に言われるでしょうし大丈夫よ。」
「
「そういえば
「またどこかでサボってるんじゃないの?
彼女がずっとここにいる時ってないじゃない」
「最近の若者は不愛想で困るよな」
「では自分が探してきます!」
N→
「おい…
って行っちまったよ
どうせ勝手に帰ってくるんだから放っておけばいいのにな」
N→
制止する声は
部屋を出て長い廊下を小走り気味に進んでいった。
世界に突如現れた化け物
通称
その脅威から人類を守るため
また、テロリストの鎮圧のため自衛隊から改名され防衛隊と呼ばれる国家組織の軍が設立された。
先の
そして今探しているのは
つい先日、育成機構を卒業し入隊してきた
一般兵士が自由に入れる場所をくまなく探していると前から
「
「あら?…どうかしたの?」
「あまり勝手に出歩かないでください
一応、待機中はいつでも行動できるように備えておくのが規則です」
「お堅い人ね。ちょっとくらいリラックスしたらどう?
することがなかったから射撃訓練をしてたのよ」
「それならばせめて隊長に一言なにか言ってから行ってください」
「えぇ。次から気をつけるわ」
「では戻りましょう」
N→
二人が部屋に戻ろうとしたその時、館内にサイレンの音が鳴り響き
廊下内にアナウンスが入った。
アナウンス (
「緊急通報発令。
B地区にて
出動部隊は
ただちに出動をお願いします」
N→
出動部隊のうち
この制度は館内や任務時の情報
隊員一同は隊を呼称するときはこの英数字の番号で呼び合っている。
「出動ね。じゃあ目的地変更かしら?」
「そういうことになりますね
では急いで出動コンテナへと向かいましょうか
おそらく
N→
二人は急ぎ足で、出動コンテナと呼ばれる兵装車や戦闘機の格納されるコンテナへ向かった。
N→
その頃、
「隊長さんよぉ
さっきは爆睡だったみたいだけど目は覚めたのか?」
「大丈夫だ、それより
「二人共出ていったんです
すぐ来ると思うので待っていましょう」
N→
少しして
「すみません!遅れました」
「来たか。今回の任務はB地区にいる
民間人の避難はまだ完了していないから人口密集地から引き離すらしい」
「わかりました。それで目標の詳細は?」
「詳細か…?詳細なんか言ってたな‥‥まぁでけぇらしい」
「そうなんですね…!それでどれほどの大きさでしょうか?」
「そうだな……今までの中だと大きい方かもな」
「それは、どこの基準で大きい方なんですか!?」
「無線の音質だとよく聞き取れなかったんだ
仕方ねぇだろ」
「私が説明します。
目標は
クラスは未だ不明ですが、現段階の情報から予想する脅威度は
突進攻撃を主に行い民家を破壊しながら移動しているとの事
進行方向は一貫性がなく、予測不能です」
「なるほど…それでは俺たちの隊はどうしたら?」
「至って単純だ、横から叩く!」
「おいおい、隊長…適当なこと言うなって
まるで俺らが撃退するって話みたいじゃねぇか」
「間違ってはないだろ」
「はぁ~説明は私がやりますから少し静かにしていてください」
「す、すまん」
「
民間人の避難が間に合っていない為、ひらけた場所へと誘導したのち
罠を設置する
そして
「まぁ倒せるなら途中で撃破しても構わないそうだが、無理はするなよ
無茶して死んでった奴を何人も見ている
そんな奴らを俺の部下から出したくない」
「は、はい!」
N→
一同は兵装車へと乗り込んだ。
車内にて装備を整えながら発進する。
そのまま数十分の待機の後、目的地付近へと到着した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここからは降りていくぞ」
「ここでですか?まだ少し距離がありますが…?」
「あぁ、そっちの方がいいだろう」
「理由を聞いてもいいですか?」
「あ…あれだ
静かに行った方がいいだろ
そういうことだ」
「え、どういうことですか?」
「ここからでもかなりの黒煙が立ってるのがわかりますよね
不用意に音を立てては、相手に位置を特定させるだけです
だから車から降りたんですよ」
「そういうことですか!ありがとうございます」
「隊長は大雑把にしか言わないからな
分かんない事は俺らに聞け」
「それよりもこれは‥‥!!」
N→
兵装車から降りた一同の視界には衝撃の光景が広がっていた。
壊された民家が黒煙をあげ、辺りには数人の死体が転がっており
もはや元々人だったのかもわからないほど潰され
その衣服の残骸から一般人であることが何とかわかる程
見るに堪えない凄惨な現場だった。
そこには数台のパトカーが放置されており
途中にある検問を突破されていたのが伺える。
「こ、これは‥‥!!またなのか………
あいつらだけ先に逃げたのかっ!!」
「仕方ないさ。こんな化け物を相手にしたら一般人も警官も大差ない」
「ですがっ!!それじゃあなんのために警官なんてものがーーー」
「さっきから聴いてればうるさいわね
どうせ無力な一般人が挑んだところで勝てるわけないじゃない
生き残りが0か1なら
まだ一人でも多く生きてる方がいいんじゃない?」
「な、なんだと!?もう一回言ってみろ!!」
N→
「離してくれない?」
「馬鹿野郎ッ!!俺らの仕事は民間人を守る事じゃないのかよ!!」
「二人とも!!ここで争ってどうするの!?」
「
N→
「いつの間に!?」
「もう一度言うぞ。二人共下がれ」
「わかったわ」
「はい…すみません」
N→
突如、大きな咆哮が辺りに響いた。
けたたましい鳴き声に一同は耳を塞ぐ。
「なんの音ですか!!?」
「これはッ!!?目標の鳴き声ですか!?」
「近いな…」
N→
「気を抜くな。いつ対峙してもおかしくない」
N→
振動のする方向へと二人は物陰に隠れながらゆっくりと向かっていた。
途中、他隊員の姿を発見し、目標を発見したとのサインを確認する。
目標は現在、大通りをゆっくりと歩行しているようで
位置を大まかに伝えられた二人は見晴らしのよい路地で姿を隠していた。
ゆっくりと路地から大通りを覗き込むとその姿を捉える。
「でかいな‥‥」
「あれが…!目標ッ!!」
N→
二人は
全長は数十メートル程の大きさで、
身体に瓦礫と思われる残骸が数か所突き刺さっており、そこから緑色の血を流していた。
「
「あぁ、ばっちりだ。
あいつの行動を見ていたが、おそらく突進を主とした攻撃方法を行う
知性はかなり低いのか突撃しか能がない
証拠に身体がボロボロになってやがるからな
ついでに言うと視界が随分と悪そうだ
旋回するのにいちいち身体ごと動かしてやがるしな」
「定期的に叫んでるようだが、苦しんでいるのか?」
「確証があるわけじゃねぇがそうかもしれないな」
「だそうだ
こいつの誘導は比較的楽そうだ」
「了解しました」
N→
その時、
「あれは?」
N→
双眼鏡で内部を見ると、奥の方で身を潜めていたのが民間人である事が確認できた。
「
「本当か?」
「早くここから離れさせなければ!!」
「待て!迂闊に近づくな
まずは奴を誘導してからだ」
「ですがッ!!このままあの人達に気がついたら真っ先に殺されてしまいます!!」
「そんな事はわかっている!!
だが、ここで俺らが無駄死にするわけにはいかないんだ!!」
N→
激しい怒りを覚えた。
かつて警官だった頃、民間人を避難させるために防衛線を張っていた時の事
急襲してきた
「あんたもかよ‥‥」
「今この場で手をだしたらーーー」
「見損ないましたよ!!俺1人でも助けてみせます」
「ッ!!待て!!
N→
そのまま物陰に隠れ、隙を見ながらゆっくりとコンビニへと近づくように進行していった。
「
あの馬鹿野郎っ!!」
「どうしますか?私たちも動きますか?」
「いや…他の隊と合流しよう
誘導は
「彼はどうするの?まさかこのまま見捨てる?」
「そんなわけがあるか……誰一人として俺の隊員は殺させやしない
あいつも俺の部下だ。お前らを守るのが隊長としての務めだ
必ず救ってみせる」
「私が行ってあげましょうか?
この中で一番隠密行動が得意なの私よね」
「そうだな。単独で合流…できるか?」
「任せて」
「頼んだぞ」
N→
「だけどよ。言い方が悪かったんじゃねぇか?
ありゃ確かに見捨てるって聞こえるぞ
確実に救える為に策を練るってしっかり言ってやればよかったと俺は思うけどな」
「私も同感です。民間人を守りたいって気持ちは全員同じです
それを
「…あれが俺の言い方だ。
あとで説教だな‥‥‥‥無事でいろよ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
その頃、
立ち止まり、付近を確認するように首を動かしている。
「気がついている?
というよりは周りの防衛隊の動向に反応しているのか?」
N→
扉を開けた時の入店音で
中に入ると声を抑えながら、店内に呼びかけをする。
「防衛隊です!生存者はいますか!?」
N→
「大丈夫ですか!?」
若い店員 (
「今のところは‥‥でも、奥にいる方が怪我をしてしまって」
「わかりました‥‥」
N→
足を怪我しているその女性はどうやら妊婦のようで、ここから動けずにいるようだ。
子供 (
「あの!このお姉さんが怪我しちゃって…僕たちなにもできなかったの!」
N→
子供は涙を浮かべながら
その子供と同じ目線に腰を落とし、頭に手をポンっと乗せる。
「よく頑張ったな。この人をここまで守ってくれてありがとう
あとはお兄さんに任せてくれ」
N→
「今からあの化け物を引き付けてここから離れます
そしたら他隊員が助けにくるのでじっとしていてください」
妊婦の女性 (
「あの‥‥主人があの化け物を誘導するって言ってここから出ていったんです!
隠れて…いるかもしれません、結婚する際に作ったペンダントをつけてます…
主人を助けて‥‥ください!」
「わかりました!最善を尽くします」
N→
そして
「一体…何をしているんだ?
なぜ動かない?」
「なんでなのかしらね?」
「うわっつ!!?いつの間に!?」
「さっきのかっこよかったわ
頼れる防衛隊って感じだったわね
あの子、貴方に憧れちゃうわね」
「そこから見ていたんですか?…それよりも
あいつをどうにか誘導するにはどうしたらいいでしょうか?
知恵を貸していただきたいでです」
「そうねぇ。どうしたらいいかしらね
隊長たちの力を借りてみたら?」
「ですが‥‥」
「‥‥貴方よりも彼らの方が知恵も実力も全てが優れているわ
素直に頼りなさい。子供の駄々じゃないのよ
あの人達を救いたいのなら単独で戦わない方がいいわ」
「わかっているんです‥‥
でも、まだ納得ができません」
N→
「
「まずいことになった…もう一体
今隊長と
こっちに合流できるか?」
「こちらで生存者数名を確認しました!
しかし近くにはまだ目標がいます
どうしたら…」
「
少しだけでも攻撃をして、生存者の場所から引き離せ
こっちからはそこはでかい建物で隠れていて援護ができない
そっちは頼んだぞ」
「了解!
「私も隊員よ。当然でしょ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
時は戻り数分前、
少しして
「なぜ足を止めた?
このまま進行ルートを変えられてもだめだな…
誘導できるか試し……」
「隊長、待ってください!なにか音がしませんか?」
N→
二人が耳を澄ますと近い所から風を切るような高い音がしていた。
「この音は…?」
「建物の中からか?」
N→
近くの建物の中を一つずつ覗いていった。
「なに、この
「何か腐ったような
N→
次に覗こうとしたカフェと思わしき建物から物音と先ほどの風の音が聞こえていた。
「ここか?」
「この中から聞こえた気がしましたが‥‥一体なにが?」
N→
ゆっくりと覗き込むと奥に何か物陰が動いているのが見える。
ソレはこちらを振り返るように動き
口元に貪るように男性を咥えたソレは羽音を再び響かせた。
「なんでっ!!?」
「
N→
ソレは突進するように二人へと急速に迫ってきた。
「グハッ!!」
「ガァッ!!」
N→
体当たりを受けた二人は店の外へと吹き飛ばされる。
日の下に晒され、その姿が日光で露わになった。
「なんで‥‥
N→
その異形な姿は4メートル程の大きさの
先から聞こえていた風の音はこの
口に咥えていた男性の死体を吐き捨てると二人へと向き直る。
「っ!!?武器を出せ!!
…俺のはどこいった?」
N→
「しまった!!」
「隊長!!下がって!!」
N→
40発の弾丸を受け、
しかしすぐに体勢を戻すと二人に向き合る。
「絶体絶命か!!?」
N→
「今のうちに装填しろ!!」
「で、でも隊長はどうするんですか?」
「時間を稼ぐッ!」
N→
その間に
バヨネットを持ちながら突撃する
咄嗟に体勢を低くし、回避した
間髪入れずに振り下ろされたもう一つの手の一撃を受け、地面へと叩きつけられてしまった。
「グアッッッツ!!!」
「隊長!!」
N→
もう一度放たれた
「クソォッ!!このままだと」
N→
突如、
三発の着弾音が響くと、二人に通信が入る。
「避けろォォッ!!」
N→
突如、
それを受け、
「今だ隊長ッツ!!」
「助かった!!」
「隊長、これを!!」
N→
急いで立ち上がった
銃口を
そして、引き金に指を重ねる。
「終わりだ化け物!!」
N→
大きな銃声が鳴り響く。
射撃を受けた
それは生き物が死に際に放つ断末魔のようであった。
しばらくすると動きが鈍くなり、そしてゆっくりと止まった。
二人は先ほどの男性の死体を確認し始める。
絶望した表情を浮かべ死亡した男性の首元には写真が入るペンダントをつけているのに気がついた。
ペンダントを開くと、中には男性と妻と思わしき二人の仲睦まじい様子が写っている。
「ほんとうに危なかった…
なぜここに居たんだ?目撃情報はなかった…
いずれにせよ運がよかったな
大丈夫か?
「はい…まだ身体が痛みますが、このまま続行しましょう
次は本来の目標へと向かわないとですから」
「あぁ…そうだ
「さっきアイツらから連絡があったが、今は生存者との距離を離すために囮になっている!」
「先に他の隊と合流してからの方がいいと思いますが…どうしますか?」
「このまま向かう!
無事でいろ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
その頃、
「いきますよ!!」
「えぇいつでも」
N→
二人は銃を取り出し、飛び出した。
「今です!!」
N→
「あまり聞いてなさそうね…
思ったより正面は固くできてる
あれだけ突撃しているもの
普通の弾じゃダメージすら与えられなさそうね」
N→
「来ます!!」
N→
二人はお互いに反対方向へと回避したが、その突進の衝撃と角で薙ぎ払った一撃で辺りの車や、建物の瓦礫を飛ばしていた。
運悪く飛んできた電柱を
「ぐっうぐぁああぁああぁぁああ!!!」
N→
激痛に悶えながらも自身の利き腕が折れている事を
(こんなところで‥‥俺は、死ぬのか………)
N→
ゆっくりと迫る
過去の出来事を走馬灯のように思い返していた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
あれはかつて
「もう全員の避難が完了しているのでしょうか?」
上司 (
「まぁこんだけのサイレンと携帯に連絡が届いてんだ
流石に逃げてるだろーよ」
N→
パトカー数台を並べて置き、民間人が走りながら逃げてくるのを誘導していたが
警官数名は民間人への説明や対応に追われていた。
そんな時、目前からゆっくりと化け物が姿を現す。
熊のような見た目をした
車にすら追いつく速度で迫ってきていた。
上司 (
「そんなぁあ!!なんでここにィぃぃ!!?
たすけぇてえぇええ!!」
「先輩ッ!俺たちで時間を稼ぎましょう!
拳銃の使用はーーーー」
上司 (
「はぁっ!!!?ふ、ふざけんじゃねぇ!
死にてぇのか!?馬鹿がっ!!
囮なんて勝手にやってやがれぇ!」
N→
上司は
避難中の民間人が居るのを物ともせずパトカーで走り去っていった。
「そ、そんなっ!!」
N→
数人の新人警官は拳銃を発砲しようと構えたが
一瞬で、大きな手に捕まれると握り潰され、ゴミを投げ捨てるように死体は放り投げられてしまう。
「くそぉぉお!!」
N→
「警官は民間人を守るのが仕事じゃないのか!!
くそったれ!!」
N→
パトカーに乗ったまま熊の
「少しでも時間を稼ぐんだ!!!」
N→
そのまま止まることなく、全速で突進していったが
「なっ!!!!?」
N→
パトカーは瓦礫を受け、斜めに逸れて転倒する。
ドアが開き
「ぐぅっがぁっつ!!ち、ちくしょうっ!!」
N→
「このっ!!化けものッがぁッ!!」
N→
六発の銃弾を放つ。その全ては確実に命中していた。
しかし、
そのまま
「俺がここで戦わなきゃ誰が戦うって言うんだ!!
うおおぉぉおぉぉぉおおぉぉぉぉっ!!!」
N→
だが、これもこの化け物を倒すには至らなかった。
薙ぎ払われた腕に直撃し吹き飛ばされ、身体が宙に浮かんだ。
重力の赴くままに地面へと叩き付けられると血反吐を吐く。
「ゴハッ!!!?ごほっ……ごほっ……
ぐっ…くそぉっ!!
こんなところで………死ぬってのかよっつ!!」
N→
「あ‥‥あぁ‥‥‥‥
こんなところで‥‥俺は、死ぬのか………」
(そうだ。あの時もそんな風に考えていた
世界は残酷だ。誰も助けになんて来ない
みんな自分の事だけしか考えていない
なんて…クソみたいな世の中なんだ…)
N→
走馬灯が駆け巡る余裕もなく、じっとその様子を眺めるしかなかった。
突如連続で鳴り響いた銃撃音とけたたましい爆発音、そしてその衝撃を受け目を覚ました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「
N→
突如
後ろを振り返ると
「
「こいつは……強めの
よく耐えた!!」
「…はいっ!!死に損ないました‥‥」
「ふざけんな。俺の隊から死者を出す気はない!!」
「隊長!
6時に25メートル下がってください!」
「
「は、はい!」
N→
二人は急いで後ろへと下がっていく。
走りながら振りかえるとこちらに向けて
「振り返るな!走れ!!」
N→
二人との距離がじりじりと詰まっていく。
「隊長!俺が
先に行ってください!!!」
「さっきも言ったろ!!
俺の隊から死者は出さない!!
お前も俺の隊の一員だ!!守ってみせる!!
死んでいい命なんてないんだ!!」
「くっ‥‥!!でもこのままだとっ!!」
「あと少しだ!!迷わず走れぇえ!」
N→
二人のほぼ真後ろまで
あと数秒で二人は轢き殺されてしまう。
その瞬間 無線が入る
「隊長!目標地点到達です!!伏せてっ!!」
「わかった!!」
「な、なにを!?」
N→
突如、
その爆発に合わせ道路が崩落し、落とし穴のようになり
同時に槍のように先端の尖ったアンカーが近くの建物から数本飛び出し
そしてその身体へと電撃がバリバリと音を立てながら一気に流れる。
数秒の間もがいていたがすぐに動きが止まった。
完全に絶命したようだ。
「な…これは何が‥‥起こって?」
「間に合った‥‥か」
N→
爆発の衝撃を受けて倒れている二人へと
「隊長!
「あぁ…大丈夫だ」
「
「そういえば‥‥姿が見えません!
もしかしたら!!」
N→
通信が入る音が一同の小型通信機から鳴った。
「こちら
突進を回避したときに衝撃で気を失ってたわ
間に合わなくてごめんなさいね
それでそっちはどう?」
「無事ならばいい…すぐに合流できるか?」
「えぇ。すぐに向かうわ」
N→
通信が切れてからしばらくの無言の後、
「すごい‥‥あんな化け物を倒すなんて」
「これが防衛隊の力だ‥‥お前の所属する軍の力だ
すごいだろ?」
「目標は沈黙。素体は流用できそうだ
これから解析に入るだろう‥‥
あと、兵装車と救急車が来るまで待機だってよ
隊長、お疲れだな
今日は思いっきりいっぱいやるか?」
「最近、禁酒‥‥してたんだがな
健康診断にも引っかかっちまう‥‥
だが、こんな日は飲まなきゃやってられねぇな
「はい。ご一緒させていただきます
その前に‥‥
勝手な行動をしてすいませんでした」
「俺らは奴らを倒すためにここに居る
そんな俺らが全滅したらそれこそ終わりだ
この命には民間人とはまた違う重さがある
俺らは民間人を守るためにまず真っ先に生きなければならない
お前にだってわかってるはずだ…
無謀なことをしてみろ
そのたった一つの行動で犠牲者が出たらそれこそ後悔するぞ」
「はい…俺が…間違ってたんですね」
「だが、お前のそういうところはお前の優しさであり強さでもある…
それは人として大事なことであり
俺が捨てなければならなかったものだ
今回はお前のおかげでこの罠に引き入れる事ができた
よくやった」
「ッ!!」
N→
彼の中で悔しさや感謝の気持ちが溢れていた。
そんな
「ふーっ…無事でよかったぜ
まさか二体も魔怪が居るなんてな
発見が遅れるのはかなり致命的だ‥‥
他にもいないか確認しておかないとな」
N→
ゆっくりと付近を確認していると少し離れたところに黒いローブを着た人間を視界の端で一瞬だけ捉える。
「…ん?民間人か?」
N→
その黒いローブを追うように
「
「え、えぇ‥‥多分逃げ遅れた民間人よ
気にしなくてよさそう」
「そうか…わかった
悪いんだが生存者の確認に行ってもらえないか?
そこから近いんだろ?」
「‥‥言いづらいんだけど聞いてもらえる?」
「どうした?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
時は少し戻り十分前
飛んできた鋭利な瓦礫を腕に受け、切れた箇所からは血が流れており
傷口を包帯で止血し、そっと
「これは…あっちは任せるしかないわね
こっちは…どうしようかしら」
N→
その瞬間、叫び声が辺りに聴こえてきた。
「この音は…?」
N→
二丁拳銃を構えながら裏路地を進んでいくと、店の中で
「まさか…?他にもいた!?」
N→
口元から子供の半身を吐き捨て、
「ここで倒さないと、か‥‥めんどうね」
N→
周りは5~6メートル程の細い路地で
「単調な動きね」
N→
空中で浮かびながら脇にあるホルスターから二丁拳銃を取り出す。
そして
「横に上手く動けないのね
なら、これは避けられなさそう」
『
N→
上部を人指し指で、下部を薬指で高速で押すと
銃口から弾が機関銃のように乱射された。
撃ちながらも袖から高速で取り出したマガジンを再装填し
乱射を途切れる事なく続ける。
着地した
「‥‥こいつが隊長と戦ってたやつと同一個体?」
N→
「…あそこを通って?」
N→
コンビニの前に着いた
中に入ろうとした時、背後から物音がしたのに気がつく。
「…誰!?」
N→
振り返ると視界に黒いローブを着た男を捉えた。
すぐに後を追いかけたが、路地を曲がると見失ってしまう。
「今のは何者…?」
N→
そこに
「そんなわけ‥‥ないわよね」
N→
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
N→
そして現在、
「隊長はあぁ言うけど、
心配してるのよ。言い方は
許してあげて?」
「わかっています」
「あの人は皆を守ろうと必死に戦ってる
私はそんな隊長だからこそ、信じて着いていけるのよ」
「‥‥信じて‥‥‥‥ですか」
「あれが生存者のいるっていう‥‥え?なに、この臭い!!?」
N→
コンビニの付近には強烈な臭いが漂っていた。
胸騒ぎを抑えながら店内を覗いた二人の視界には衝撃の光景が広がっていた。
先ほどまで閉まっていた扉は強力な突撃によって破壊され
店内にはまるでペンキを乱雑に塗りたくったように
血とバラバラな肉片が商品の残骸と混ざるように散らばっている。
店員と思わしき男の身体はありもしない方角へとぐにゃりと曲げられ
白髪の髪型で察する事しかできないほど潰れた生首が転がっていた。
そして地面にはまるでなめしたように平らに潰された妊婦の女性だったものが倒れてる。
その近くには瓦礫や棚に潰されるように子供二人の半身が見えていた。
「そ、そんな‥‥どうして」
「‥‥ひど…い‥‥‥」
N→
当然だが息をしているものはいない。
「
「どうして‥‥どうしてなんだぁああああ!!
ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
N→
拳を思い切り地面へと叩きつけ、嘆き叫んだ。
世界の残酷さを己の無力さを
そして、絶望に満ちた
N→
2015年、世界中に突如現れた人類の天敵 通称
その侵略により日本の人口は3分の2近く
人類は長らく絶滅の危機に
からくも避難した人類は東京を中心として関東中枢一帯に高く強固な
2030年、国は自衛隊を解散し
新たに
民間人から出た強者を雇う
国からの指示で動く軍として彼ら兵士は戦う
例え身を引き裂かれようとも戦い続ける
いつか人類が救われると根拠もなく信じて……ただひたすらに
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(こんなところで‥‥俺は、死ぬのか………)
N→
走馬灯など駆け巡る余裕もなく、じっとその様子を眺めるしかなかった。
突如、連続で鳴り響いた銃撃音とけたたましい爆発音、そしてその衝撃を受け意識が正気へと戻る。
「なっ!!?いったい…なにが!?」
N→
目の前に立ち塞がるようにゾロゾロと重装備の兵士たちが走ってきた。
その手を掴み、立ち上がった
「だいぶボロボロだな。大丈夫か?」
「貴方たちは…?」
「俺らは防衛隊だ。助けにきた」
「あの化け物を‥‥倒した」
「一人で立ち向かうなんて根性あるじゃねぇか
そんな警官が今時いるんだな
覚えておくよ
さぁ、避難しろ」
「あの‥‥俺を
俺を防衛隊に入れてください!」
「……一時の正義感で命を張るんじゃねぇよ
こうやって戦い続けていたら当然死人が出る
お前がその一人になる可能性だってあるんだ」
「それでも‥‥!入りたいんです
俺は市民を守るために警官になりました!
しかし、化け物を前にしたら…
俺の今までの訓練なんて…無駄でした
もう……誰も死なせたくないんです!!」
「フッ‥‥覚悟があるのはわかった
じゃあ、まずは転職からだな
俺は
「はい!!
俺は
「
ここから俺の数奇な運命が巡り始めたのかもしれない
そんな風に考えていた
昔の俺はどんな大人になりたいと言っていたか思い出してみる。
確かその時は皆を守れるような強い人になりたい
そんな風に言っていたな
今の俺はあの頃と比べて強くなったのだろうか?
まだ何も分からない
だがその答えがいつかわかるまで俺は進み続ける
ただひたすらに
神ガ形ノ意志ニ背イテ 壱話 完
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多分そうじゃないとこの台本は演じれないです
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