第二十五話(うらら視点)

 あれから、事情聴取があったりと一週間が過ぎ……私たちは学校へ行くことになった──。


 放課後──。


「上坂さん」と担任から呼ばれ、私は進路相談室へと行く──。


「そこに座ってください」

「はい」


 めんどくさいなぁ……こっちは中絶するまでに耕平くんを完全に落とさないといけないのに……。

 まさか、桜さんが一瞬でも正気を取り戻しちゃったから……私の計画がめちゃくちゃ。

 また、いつ桜さんが正気を取り戻すかわからないし早いうちに耕平くんを落としちゃわなきゃ。


 すると、担任は私と向かい合うように座り。


「最近、通り魔に会って心がまだ整っていないと思いますが……最近、上坂さんが休んだり、早退するのが多くなっていると思います」

「そうですか」


 仕方がないのに。

 全てはこの子をおろすためなのに。


「ええ、そうです。もうすぐ文化祭で少し緩んでいるのはわかります。ですが、上坂さんは学校の顔なんですよ。もう少し、そこら辺を自覚……」


 こっちのことを何も知らないで……。


 私は長机をバンっと勢いよく叩く。


 ピクリと肩を動かす担任。


 そして、私はパイプ椅子から立ち上がり。


「ちょっと……」


 私は担任を睨みながら──。


「ええ、知っています。勉強ですよね?」


 そう言うと相談室を出ていった──。


 どいつもこいつも、ほんとめんどくさいなぁ……。


 こっちは、耕平くんのことでいっぱいなんだよぉ……。


「ねぇ、なんで後輩くん。君がここにいるの?」


 私の前には虚な目をした、後輩くんが私を待っているかのようにいた。


 こいつ……めんどくさいんだよなぁ。


 すると、後輩くんは私に近づきキスをする。


 気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。


 だから、私は後輩くんの舌を噛んだ。


「うっ──」と私から離れる後輩くん。


 ほんと、気持ち悪いなぁ……。


「ねぇ、なんでいきなりキスしたの?」


 こいつにはもう、桜さんがいるじゃないの……なんで、私にキスするの?


 私は後ろに下がる後輩くんに一歩近づく。


 なんで?


 さらにもう一歩──。


「ねぇ、なんで?」


 その私の言葉に後輩くんは口がピクリと動き──。


「そ、そんなの一つしかないです」

「何、それは?」

「俺はうらら先輩ともう一度したいです……」


 ほんと、めんどくさいなぁ……。


 私は後輩くんの話を無視して、横を通り下駄箱へ向かう──。


 そんなことより、早く耕平くんを落とさなきゃ……。


 私はスマホを取り出して。


『耕平くん。今から会える?』

『うちにいるけど……くる?』

『うん!!』


 少しでも耕平くんとた〜くんさんして、仲を戻さなきゃ……早く、中絶しなきゃ……。


 そして、下駄箱へと着き、革靴へと変えたところで私は後ろを振り返る。


「ねぇ、なんでまだいるの? あなたは桜さんとすればいいの」


 めんどくさい、めんどくさい、めんどくさい。


「うらら先輩と一度したい……」


 またそれ……ほんと、めんどくさい。


「無理よ。あなたは桜さんがいるもの……」


 そう言うと私は昇降口をくぐり、耕平くんの家へ向かった──。


 しかし、その時だった──。


「俺は……うらら先輩が好きなんです」


 そう私の右腕を掴み私を止める後輩くん。


 時間がないのに……めんどくさいなぁ。


「離して……」


 人気がないことをいいことにして……めんどくさい子ね。


「俺はうらら先輩が好きです」


 私は怒鳴るように。


「いいから──っ!! そういうの……」

「でも、俺は……」

「うるさいなぁ……いい? 私は耕平くんに逃げたいの。耕平くんに逃げれば全部終わるから──っ!! だから、あなたも桜さんに逃げなさい。そうすれば、全部終わるから──っ!!」


 そう言うと、後輩くんは私の腕を離す──。


 私は耕平くんの家へと歩き始めた──。



 ピーンポーンと私は耕平くんの家に着くとインターホンを鳴らす。


 すると、スマホに一件のLINEが……。


『ごめん、入ってきて……』




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