第六十三話 ブラックベリー
ある夏の日の放課後。
よく晴れた日で、四時を過ぎても燦々と陽がさしていた。
下校時に
芽依はお下がりの汚れたしわくちゃの服を着ている。
「これは、園芸クラブのブラックベリーなんだから食べちゃだめだよ」
「あ、わっ! ごめんなさい。美味しそうだったからつい……」
芽依はいつもお下がりの汚れた服を着て、ランドセルも文房具もなんでもお下がり。
それをからかったり虐めたりするような奴はいない。そういう奴はいないが、皆自然と芽依とは距離を取っていた。
「そうでしょ。私が作ったの!」
「すごいね!」
「今日のクラブ活動で摘むんだ。つまみ食いじゃないなら食べても良いよ」
「え? 本当に?」
芽依がいくつかブラックベリーを摘み取って茉莉に渡した。
「ありがとう!」
「なんで、私がブラックベリーを育てたと思う?」
「甘酸っぱくて美味しい! ……え? なんでって……? 食べたかったから?」
「そうねぇ。それも一理あるわね」
「不正解?」
「正解は皆には、わからないかもね」
『ブラックベリー 花言葉 孤独・嫉妬心』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます