第三十八話 チョコレートコスモス
『はい! 七時になりました〜! こちら、本日はコスモスの名所からお送りしております』
朝の情報番組。七時から各地を巡り天気予報を放送するこのチャンネルを見るのが日課になっている。画面いっぱいにコスモスが咲誇りっている。天気予報のお姉さんは黄色のワンピースに白いカーディガンでコスモスの中の一輪のようだ。
『うわぁ! きれいですね。ピンクに白、それにここにはチョコレート色という黒に近い色合いのコスモスが咲いています。朝から散歩している方もたくさんいらっしゃいますよ! 週末のお出かけにおすすめです〜!』
お姉さんがフリップを出して天気予報を始めたときに、画面の後ろの方でスーツを着た男性とワンピース姿の女性のカップルが小さく映った。情熱的に口付けあっているが撮影陣は誰も気づいていないようでそのまま放送が続いている。
突如、男性が女性の首を絞めた。女性が男性の腕を掴み暴れている。その時カメラマンが気付いたのか画面からカップルが消えた。
『はい。ということで、今日のお天気でした』
スタジオに映像が戻る。
『きれいなコスモスでしたね。今が見頃ですね』
私はテレビを消した。なんだったのだろうか?
数日後にニュースにコスモス畑がしばらく閉鎖されると載っていた。女性が男性に首を絞められて殺されるという殺人事件が発生してしまった為だ。
男性は既婚者であの日は奥さんに出張だと言っていたのに浮気相手と口付けを交わしているところを全国放送で晒されてしまったことでパニックになり激昂したそうだ。
『チョコレートコスモス 花言葉 恋の終わり』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます