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12.レンが足りない
あれから1ヶ月経ち、無事に全てが終わった。
レンから渡された商人達の所持品が決定的な証拠となり、大規模な大捕物となった。
中には取り潰した上位貴族もある。
魔の森の毒草は製法によって麻薬となり、人だけでなく青竜、緑竜も中毒にさせる物だった。
最上位竜の黒竜、白竜に加え、上位竜の赤竜、黄竜には効かない。
何故魔の森の毒草が商人の手に渡ったかというと、森の端に自生する為に昔から時々侵入者はいるらしい。
害がないウォンやキョロ達魔獣には見かけたら廃棄するよう頼んでいても、最近は侵入者が比較的多かったので取りこぼしたそうだ。
それでも商人達には需要と供給が成り立たなかったのだろう。
中毒で手懐けた青竜達が薬切れで暴れるようになり、直接食べて補えるかもしれないと竜笛で誘導。
薬を使えば言う事をきいた為、躾けたつもりになったようだ。
我を失った竜が操れるはずもない。
侵入者に対して魔獣の動きを活発にさせればそれなりの人が餌食になっただろうし、森に討伐隊が入りかねないからできれば森の外の人間で対応して欲しいというのがレン。
母竜が情けで統率を始めた森などいつでも捨てられるし、統率の取れない魔獣が森から溢れてスタンピードでも起こればいいと笑うのが黒竜。
レンの意見を採用するに決まっている。
第4隊が定期的に魔の森の外れを巡回する事になった。
ちなみにレンの小屋まで侵入できる猛者は皆無らしい。
黒竜だけでなく、レンは魔獣に好かれているので魔獣達が自主的に守っているそうだ。
しかし今度の事で魔の森が注目されたのも事実だ。
レンが心配で仕方ない。
というか、レンがたりない!
あれから1ヶ月も会っていない!
忘れられたらどうしてくれる!
黒竜と何かあったら?!
そうだ、騎士辞めよう。
····それも無理だ!
「団長!
休みを下さい!」
もう直談判だ。
団長の執務室に駆け込んだ。
「····珍しいな。
いや、初めてか?
王族の催しよりも騎士団の任務を優先してきたお前が、何があった?
王族関連の話は聞いてないが」
「いえ、休みたいだけです。
自分を見つめ直す時間が欲しいだけです、察して下さい、お願いします」
早口で捲し立てる。
「勢いで押そうとするな。
あの2人に責任を感じているのか?」
「責任は隊長である以上感じていますが、それとはまた違います。
とにかく休みを3日くれ!」
思わず敬語を忘れてしまった。
団長が目を丸くして、やがてため息をついた。
念の為だろうが、盗聴と盗撮防止の結界を張ってくれた。
「グラン、俺にだけは訳を話せ。
第4王子付きの近衛騎士として小さい頃から付き合いのあるベルグルとして聞かせろ。
俺の名に懸けて誓う。
他言しない」
「····番に会いたい」
ベルグルのこんなに驚愕した顔を付き合い20年目にして初めて見た。
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