第60話 傷跡
それからしばらく時が過ぎて……。
季節が進んだのかびっくりするくらい一気に暑くなった。
そんな暑い中。俺たちは現在試験中である。
あれだ。夏休み前の試験だな。
まあ多分俺は大丈夫だろう。
今も7割くらいスラスラ解けていたからな。と、自分で思いつつ。見直しをしているところだ。試験時間もあと数分で終わる。
ちなみに……遠足からはすでに1か月ほど経過している。
あの時は大変だった――うん、一時的に吉野がおかしくなったり……古市は足をぐるぐる巻きになったり。
ちなみに2人とも元気は元気だぞ?普通に学校きているしな。
あれから古市は結局痛みが治まらないやらで病院へとなってな……まあ全治1か月くらいか?うん。そんなことを言われたらしく。片足はホントぐるぐる巻きだったな。
どうやらズッコケた時に完全に痛めたらしい。
でもそれがあったからか。翌週からは吉野が毎日古市の送迎をしている。吉野は自分があんなことをしたから……とか思っているらしいが――。
まあ2人が仲良くしてくれているのはいい事だろう。うん。
ちなみに……荷物持ちで俺も巻き込まれているがな。なんでだよ。である。
朝の登校時間は30分くらい早くなるし。帰りもなんか遅くなるしで。
せっかく遠足が終わり――生徒会の仕事が減って讃大からの呼び出しが無くて平和だったこの1か月だったのに……まあうん。結局讃大ではなく。古市に掴まっていたという感じか。
俺の自由な時間何処へである……マジで。
♪♪~
とか試験中に思っていたらチャイムが鳴り試験時間が終わった。
――クラスの雰囲気が一気に変わる。
実質明日からもう夏休みみたいな感じだからな。
学校の行事と言えば……あとはスポーツ大会くらいだからな。
とにかく試験が終わったので俺は机の上を片付けだす。
この後の予定はここ1か月くらい続いている古市の送迎だ。
ちなみにここ数週間。生徒会からの呼び出しはなかったが。讃大、古市は生徒会の仕事があるので――。
古市が生徒会があると……俺は吉野と待機という日々が何日かあった。
なので讃大もあれだな。呼ばなくても俺が来るとか勝手に思っていたかもしれない。
まあ俺には仕事がなかったので……マシな方か。たまに荷物運びはさせられたが――古市がそういうのは出来ないからな。とか最近の事を思っていると……。
「久遠。いいか?」
「……」
久しぶりにそんな声を聞いた気がする。っか噂をすればというやつだな。来なくていいのに……と俺は思いつつ声の方を見ると――。
「この後ちょっといいか?いいよな」
「—―古市の送迎があるんだが?」
「あー、大丈夫大丈夫。すでに楓華には言ってあるからな。なんか今日は病院に行くから吉野さんに付き添ってもらうから大丈夫とか言ってたぞ?」
「—―はい?」
俺全く聞いてないんだが……とか思いつつ。
スマホを確認してみると……1つ前に休み時間にメッセージが来ていた。
「今日は試験の後夜空ちゃんと病院行ってきます。讃大先輩が葛先輩欲しいと言っていたので仕方なくお渡ししておきました」
とか言うメッセージが届いていた。
「……何故に呼ばれる本人が知らないのか」
うん。普通は本人に先に伝えるよな?おかしなことが多いところだよ。ホント。
「まあ逃げられるからな。っか最近の久遠は忙しそうだったからな。朝から楓華の家まで行ってたんだろ?」
「まあ。いろいろあったからな」
「そのいろいろは結局俺聞いてないんだがな」
「まあ話すようなことではないからな」
「でもまあ。久遠が何かに必死っていいじゃないか」
「必死ってことはないんだが……っか俺はなんで呼ばれたんだ?」
「そうそう。スポーツ大会の準備だな」
「……この暑い中。なんでそんなことを――」
ちなみにスポーツ大会も……何故か1年から3年がミックスされているということではじめは進んでいたが――。
……チーム分けがめんどい。
ということで普通にクラス対抗になった。よかったよかった。
まあ1年から3年が混ざったら……もうわけがわからんからな。
ちなみに遠足では、まあいろいろ揉めているところもあったり。ホテルでも何やらかあったとか噂があるし。何より。行事不参加者が多かったらしく。
現在再検討とかになっている。うんうん。そのままこの謎な学年ミックスは廃止。消せ。とか俺は思っている。
「とりあえず、楓華が居ないからな。久遠。頼んだ」
「普通運動部とかがしてくれるんじゃ……」
「いやいや会場準備とかじゃなくて。トーナメント表やらの作成、掲示だな」
「面倒な方だったか……」
と、俺はそれから讃大に連行されて行き――そこそこいい時間まで学校に残ることとなった。まあお昼ご飯は讃大の奢りだったから許す。とか思っていたのだが――が。だ。
まさかの途中で先生に呼ばれたからで讃大が逃走するとは……。
っか。あいつ先生に呼ばれ過ぎなんだよ。何か活き得るんだよ。このパターンめっちゃ知ってるよ。何度も経験したよ。である。
そのおかげで俺は現在室内とグラウンド体育館を回り。先ほど出来た各競技のトーナメント表を張り付けている。
明日も快晴ということで、もう外も付けておこうということになったらしく。まあ……うん。作業が多い。なのに生徒会役員全滅。部外者が1人で作業中である。どういうこっちゃである。
ちなみに先ほど室内はすべて終えて――今は外。
グラウンドやら体育館の外に貼っているのだが……まあそこそこ大きい紙のため1人でやっていると時間がかかる。なので終わるのが遅い時間になったんだよな。うん。
午前中で試験は終えたのに帰るのは通常の6限授業とかが終わる時間になるとは思ってもいなかった。
結局讃大は1度だけ戻って来たが……またすぐに先生が呼びに来て……ということがあり。99%俺が準備をしたという感じになった。
また何か奢ってもらう必要があるな。今度はリッチに。高級なものを――うん。
そして外での作業だったため汗だくの俺。
やっと生徒会室に戻って来たが……うん。着替えようである。ベタベタだ。めっちゃベタベタだ。まるで体育の授業でもしたかのように……。
讃大はまだ戻ってきてないし。ここで着替えてもいいだろう。
うん。本当はこのまま帰ってもいいんだろうが……ホント。マジでベタベタだったからな。ちょっとくらいさっぱりしたいため着替えることにした。
ちなみにすでに衣替えは終わっているため。みんな半袖であるが……俺は……ね。長袖なので。まあ暑い。とにかく暑い。
なので長袖だが着替えはいつも1セット持って来ている。試験の時はいらないかなー。だったんだがな。一応カバンに入りっぱなし……は助かったな。うん。俺ナイスである。
にしてもマジで最近の暑さシャレにならないからなー。朝登校してくるだけで暑し。で教室とかめっちゃ熱いし。エアコンある学校が羨ましい。うん。この学校扇風機しかないからな。職員室とかだけ快適とかずるい。って感じだな。
まあなので、一応着替えを持って来ている。ベタベタのままって嫌だからな。
俺は生徒会室にて長袖のカッターシャツを脱いでしばらく涼む――この時間なら他の生徒は居ないからな。
ちょっと風が気持ちいい。
ってまあ運動部とかなら普通にグラウンドとかで上半身裸とかになっていたがな。さっきも何人か見たよ。
まあどこでも脱げるやつはいいな。俺も脱いでもいいというか。半袖でもいいんだが……傷跡があるんでね。それでなんやからと聞かれるのが面倒だし。
……そういえばだが。最近では古市の送迎をしているからか。一時期変な噂があったな「あの生徒会の副会長。ついに彼氏が――ってなんだあのパッとしない奴」である。パッとしない奴。まあ俺の事なんだろうな。毎朝夕方と一緒に登校……って吉野も一緒だったんだがな。何故か吉野は噂に入ってなかったんだよな。
うん。まあそして何故かそんな噂が広がったからか――。
何度も俺が吉野につねられたという……何故に?だ。地味に痛いし。ホント謎な事ばかりだよ。
「ニヤニヤして変態ですか」
「気持ち悪いです」
とかとかまあめっちゃ言われて……隣に居る古市が笑っている。
そんなことがよくあった気がする。
まあその噂は自然と収まって……いったのだろうか?うん。まあ噂だからな。俺はそんなに気にはしてなかったが……って気にしてなかったからどうなったかもしらない。もしかしたらまだ残っているのかもしれないがな。
そうそうその後はまた別の噂があったな。
余計なことはどんどん入ってくるんだよ。うん「—―オバケとパッとしない奴が本当はくっついているんじゃないか?」とかいう意味の分からん噂が少しあったな。が、これに関しては何故か吉野が何も反応しなかったため……うん。古市の時はめっちゃ気にしていたのにな。
わからん。
あれか。自分の時は触れられたくなかったから何も言わなかった。うん。多分そうだろう。俺も聞きはしたが触れなかったからな。
っかなんで噂好きのやつは本人らに聞こえるように言うのだろうか……謎だ。
でもまあ逆に本人が触れなかったからか。この噂の方が早く消えて行ったかな?まあ試験もあって、ピリピリなムードにもなって来たというのもあるかもだが……うん。試験は赤点とると夏休みがなくなるからな。みんな必死だよ。
っか。2回ともパッとしない奴。と言われていた俺よ。うん。まあいいんだが――。
でも噂とかで吉野がまた……とかにならなくてよかった。
最近は――まあなんやかんやで楽しい生活なのか。
飛びます宣言とかも聞かなくなったしな。
あとオバケだが。最近はちゃんと前髪を留める日が多くなり……ちょっとだけな。でもオバケちゃんとは言えなくなりつつあった。
そうそう。噂と言えば「古市を怒らすと讃大(福神)がやってくる」みたいな噂もあったからな。
足を痛めている古市を讃大も結構気にしていて――用事とかは全部讃大が古市の居る教室とかに出向いていたみたいだからな。
それでそんな噂が広がり……ってそれがあったから。俺と古市の変な噂は消えたというか……薄れたのか。うん、多分そうだろう。あのコンビならお似合いだからな。何も周りは言えないだろう。
と、まあそんなことを俺は思いつつ。
風にあたり。かなり汗もマシになったのでそろそろ替えのシャツをカバンから出そうとした時だった。
――ガチャ。
「お疲れ様でーす。まだ作……ほぇ――」
「……古市さん治ったからっていきなり走るのは――えっ」
俺が振り向くと――生徒会室のドアのところには……。
病院へと行ったはずの古市と吉野が立っていた。
そしてなんかめっちゃ驚いた顔をしている。なんでだ?
――――――――ってそうか。俺上半身裸……の前に背中を2人の方に向けていたか。気が付くのが遅いよ。俺。
と、言うことに気が付いたが……まあうん。
おかしな空気に生徒会室がなったかもしれない。いやなったな。
せっかく。最近まあちょっと古市の怪我というイレギュラーはあったが。
そこそこ平和な日常だったが……今俺を見た2人の周りの雰囲気がおかしい気がする。
そして――吉野が言った。
「……先輩。その背中……どうしたんですか?」
――――あー、これはややこしいことになるかもしれない。どうしようかね。と考える俺。
古市には……腕までは知られているが……これは……だな。
っかまあ、そこそこ知り合いというか。こういうよく会う関係になるといずれはこういうことがあるかもしれない。と俺も思って何か言い訳を考えておくべきだった。
うん。今の俺……何も考えてなかったからな。
どうしようか……こういう時に頭の回転がよく上手に言う人ならどのようにこの状況を乗り越えるのだろうか……。
まあ傷跡を見られたからといって何かあるわけではないが――。
でも今の俺がわかることといえばもしかしたらこの後。俺の言葉次第では、今俺の姿を見ている2人との関係が変わってしまうかもしれないという事か。
……。
……。
……。
ここまでが始まりの話。
そう。まだ始まりの話だったのだ。
俺の周りは……この後まだまだ騒がしくなる。のかもしれない。
が。今の俺にはこの先の事はわからない。って。早く今の状況を何とかしないとか――。
ホントどうしようかね。
ちょっと平和に普通の生活になりつつあったのにな……どうなることか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます