第25話 校外学習

いろいろそれまでにあったが――。

何とか校外学習当日となった。


現在俺は現地集合ということで今日の目的地へと向かっていた。


集合場所はこのあと行く焼き物?の施設がある最寄駅である。


知らなかったが。俺たちの住んでいたところ焼き物が有名だったらしい。近くなのに知らないことばかりだよ……うんうん。そういうのが知れるからこういう活動。学習も必要なのかと。ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ思った俺だった。


とりあえず電車に揺られて集合場所の駅までやって来た俺。

まあよくある普通の駅だった。っか最近は高架化された駅多いな。開かずの踏切対策とか言うのだろうか。この駅もでまだ新しい感じがあるので最近高架化されたのだろう。とか思っていたら。


「葛先輩ー。こっちでーす」


すぐに声をかけられた。そして近づくと――。


「おはようございます。葛先輩」

「先輩。おはようございます」

「あ、悪い。待たせたか?」

「大丈夫ですよ」


階段を降りて駅の改札を出るとすぐに古市と吉野が俺を見つけたみたいで声をかけてきた。2人は1つ前の電車?できていたらしい。って、俺ですら一応早くきたんだが……みんな早いな。とか思いながら。1人足りないので聞いてみると……。


「2人ともおはよう。で、問題児讃大は?」

「あー、あれですあれ」

「あれ?」


あれ。と、古市に言われているのは讃大である。ちょっとね。古市の讃大に対する評価にマイナスがあったらしくてね。ちょっとここ数日不機嫌な古市です。はい。古市の機嫌が悪いとこっちにもいろいろ来るから大変なんだよ。讃大何とかしろ。マジで。


まああの揉めに揉めた讃大のところの班決め。グループ決めのあと。讃大が俺たちと一緒。みたいなことになり……ちょっと嫌な視線というか。

横取りとかではなく。先生らが妥協案みたいな感じでこうなり讃大もOKしたみたいな感じだったのに……何故か嘘情報が流れて……俺たちのグループが呼んだみたいな変な噂が流れたらしく……。


陰口いうのがちょくちょくあったからな。讃大は讃大でなんとかやろうとしていたが。今回人数が多すぎて1人ではカバーできなかったていう。容量オーバーだな。讃大がちゃんと話に行ったところは……まあ収まっていったらしいが。何十人と陰口やらを言っている人が居ると嫌でも俺や古市、吉野にはそれが届いて……だから古市の評価がストップ安というの。うん。ガタ落ちという。感じか。


まあいろいろあり讃大と一緒に回りたかった方々からのキツイ視線が同じグループの俺たちに。って俺たちは一度もじゃこっち入るか?とか言ってないんだが……なんか知らないがいつのまにか俺たちが誘ったとかに噂はなっていたみたいだし。ホント嫌だわ。


とりあえずまあなんやかんやで俺たちのところに讃大はなったんだったな。ちなみに各グループの人数は集計時に知っていたが。ほとんどが7.8人だったな。多くて11.12人だったかな?だから讃大の50人以上はずば抜けていたということ。学校も上限を決めないからだよ。ホント。


っか、この数日でまた吉野なんか不登校になるかと思ったが。なんとかまだ学校に来ている。古市が居てくれたからな?ちなみに俺もなんやかんや言われた気がするが……というか聞いた気がするが……気にしてない。面倒だからな。ちょっとは気にしたが……まあ元々他のクラスメイトはほぼ接点なかったし。


と、最近の文句ばかり言っているが現在に戻ってきた方がいいか。


……って、何話していたっけ?あー、あれか。讃大についてか。

えっと讃大はというと……。


「なんであそこ密ってるんだ?」

「来たらあんな感じでした」

「みんなこの伝統工芸の陶芸の方に来たみたいですよ」

「マジかよ。密じゃん。何十人いるんだよ……って結局みんな付いてきたになってないか?」


駅前広場では讃大を囲む会が行われていた。男女数十人が讃大と回りたいからか。陶芸施設の方にわんさか来てしまったらしい。まあ班が違っても行き先が同じなら……だからな。学校の詰めが甘いというか。グループ分けてもこうなるわな。


「……先行くか」


と、俺が言うと。


「お!久遠来たか」


人に揉まれていたはずの讃大が普通にこちらに来た。なんか御付きもたくさんいるんだが……って、なんで気がついちゃったよ。囲まれてたじゃん。またこっちが睨まれるじゃん。


「……なんか朝から人多くね?」

「いや、なんかみんなこの施設らしくてな」

「だろな。まあ来年からは再検討がいるな」

「さっき楓華にも同じこと言われたよ」

「だろな。うん」

「言いました」

「っか、こんな大人数で大丈夫なのか?」


確か事前の説明には数十人も一気に行っても……なレベルの施設だった気がするんだが……って集計した時こんなに選択しているグループあったっけ……?とか俺が思っていると――。


「とりあえず行こう。ちょっと人は多いが」

「じゃ……俺は後ろ歩くわ」

「あ、先輩わたしも」

「夜空ちゃんが行くなら私も後ろで静かに行きたいです」

「そうか?なんか悪いな」


とまあ讃大先頭に間に数十人生徒がいてからの最後尾にちょっと離れて俺たちは施設に向かって歩いていた。


「なんか、予想と違いますね。もっとほのぼのしているかと思ったんですが……」

「わかる。こういう施設なら少人数かと思っていたんだが」

「多い……帰りたい……」

「吉野。ここまで来たんだからまとめて、出席にしろよ。紙書いたらクリアだ。じゃなくてもお前休みまくってるんだから」

「……うー、頑張ります」

「にしてもこの企画はダメですね。ホント考え直してもらわないと」

「まあグループ決めに問題だな。まず他学年はやめた方がいい。するならもう学校側で班決めるとかだろうな」

「ちなみに葛先輩」

「うん?」

「来月にもこのパターンのあるんですよ?」

「は?マジ。なんで?俺知らないんだけどそんな予定あったか?」

「はい……遠足」

「……あ、あー。あったな。予定に。っか、あれ確か……今年は2日間あったような……って、古市たちははじめてだからわからないか。去年を知らないからな」

「あー、多分それ。1泊2日だからです」


うん。副会長さんちゃんと行事予定を把握していた。

さすが。って……今なんて言った?と俺は思いつつ。


「……なんで遠足が泊りがけなんだよ……って、古市。今さ。このパターンって言ったよな?」


もう嫌な予感しかない――まさかのまた――。


「はい。明後日あたりから資料作りがまた……あと、また全学年一緒なのでグループ決めがあります。もちろん今と同じなので人数制限はないかと思います。あっ部屋の都合でホテルは3.4人だったかも……って、来月までに変わればですが……多分ここ以外はうまくいっている可能性があるのでどうなりますかね」


そうか。古市の話を聞いて思い出したが。ここ以外を選んでいる生徒の方が多いんだった。そっちがうまくまわっていたら……か。


「ヤバイ。頭痛くなってきた。って、なんで今年からこんなに変わったんだ?」

「讃大先輩が……ですかね?他学年交流を選挙の時に公約で言ってましたし。まあ私も初めは賛成でしたが。この数日で再検討です。いえ反対の立場ですね。他学年交流も必要ですがやり方は他にもあるかと」

「まあ、何事も経験なのか……っか讃大。何してくれたんだよ。知らないところで……って公約ってことは選挙の時に言ってはいたのか……知らなかった」

「先輩……それ聞いてなかっただけじゃないですか?」


う、うん。吉野に言われたが……多分俺が。というか生徒会の選挙をちゃんと聞いている生徒は果たして何人いたのだろうか……。


「まあ、他の生徒が生徒会に興味がなかったからかと。新入生のわたしなんかが信任投票で当選したんですけどね」

「いやいや古市は力あるって」

「……そうですか?」


うん?なんか古市。嬉しそうな顔したな。なんだよみんな古市を褒めてないのか?こんなに1年生で頑張っているのに。めっちゃすごいと思うんだが……めっちゃ頑張っていると思うぞ?


「あるある。古市は頑張ってるって。ってあれか。興味ない人ばかりで一部に丸投げになった結果か」

「あと、先生らもいろいろ試したいやらで今年は初がいっぱいあるみたいですよ?」

「待て待て、遠足以降もやばくないか?」

「ちょっとまだ先はわかりませんが。やばいですよー。このままいくと。体育祭とかはまあ、今まで通りかと思いますが……またその他イベントは全学年やらに今年は……の可能性はありますね」

「……休みたい」

「私も」


俺と古市が話している横で聞いていた吉野がボソリと言ったが。うん。再度言う。休みたい。


「で。葛先輩」

「なんだ?」

「遠足も一緒のグループになりませんか?」

「は?」

「だから。また他学年で組まないとなんです。で、部屋もグループごとらしいんです」

「ちょっと待て、部屋?つまり……まさかだが男女ミックス?」

「らしいです。おかしいですよねー」

「休む。よし休もう」

「葛先輩休まないでくださいよー。私の居場所がー」

「なんでだよ。なんでおかしなことが現実になってるんだよ」

「だって、わたしは会議で一応言ったんですよ?」

「うん?」

「流石に部屋は男女分けた方が――と」

「っか、普通分かれてないか?それが普通だと思うんだが……」

「その普通が今年度はないと思った方がいいですよ。先生らもなんか新しい風を見たいなことで……ちょっと暴走してますから」

「マジ今年休みたい」

「……私も」

「夜空ちゃんも来てね?だって……知らない人と一緒の部屋で寝るって、嫌じゃないですか?」

「「嫌」」


俺と吉野。ほぼ一緒に答えた。完璧に一致した。

わかった。この学校方針?ミスだ。誰か早急に対応って……まあうん。無理か。


「俺の知らないところでやばいこと起きてるなー」

「……先輩」

「なんだ?吉野」


するとここまでたまにしか会話に入ってこなかった吉野が声をかけてきた。


「溢れてます」

「なにが?」


いきなり吉野は何を言い出したんだ?と思いつつ再度吉野を見ると。


「目的地の施設が」

「へ?」

「ほえ?」


吉野が指差す先を見た俺と古市……うん。なんだあれ?俺たちが目指していた施設。入り口からしてうちの生徒で爆発している……あれか。駅前以外にも讃大ファンが居たのか。


これ――完全にミスだろ。ミス。失敗例だよ。うん。間違いない。

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