鎌倉殿の13人




 昨夜、完結した大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。

 脚本家三谷幸喜氏による3作目の大河ドラマでしたが、1話1話の密度が濃く楽しませていただきました。

 何と言うか、この作品に対するスタッフ、キャストの熱の入れ方が凄い。

 三谷幸喜氏が書いた脚本を基に制作されている訳ですけど、一つ一つのシーンの間が長すぎず短すぎず、役者の演技も絶妙で、劇伴の曲も川の音などの効果音も、非常に丁寧に作られていました。

 毎週この極上のエンターテイメントが楽しめたこの一年に感謝です。


 とか言いながら実は録画を取り溜めておいたのを10月後半から一気に見出したんですけども、おかげで見出してからは毎日「鎌倉殿の13人」漬けでした。

 日々の忙しさの合間に、45分くらいどうにか見れる時間を見出だして見進める楽しさよ。


 しかし主要な登場人物だけでも膨大な人数の群像劇でありながら、一人一人の人物に印象的な見せ場を作る三谷幸喜氏の作劇手腕恐るべしですね。

 まあその辺りに関しては「新選組!」と「真田丸」でも存分に発揮されていましたが、今作においては膨大な数の登場人物が粛清され暗殺され討ち取られていく、その一人一人の人間の生き様を限られた尺の中で印象的に描いてくれました。

 もちろん演じる俳優の演技や撮影する監督、スタッフの仕事ぶりの素晴らしさがあってのものですが。

 また、時代考証に専門家が付いているため、アドバイスを上手く脚本に落とし込んで平安後期~鎌倉期の武士の暮らしに匂いを感じる程引き込んでくれました。

 そして緊張と緩和、間の緩急による笑い。

 これが本当に三谷氏は上手いです。

 この数え上げれば何人死んだかわからないドラマを(北条義時が手を下したのは13人ということになってますが、頼朝も無茶苦茶殺してますからね)単なる殺伐とした権力闘争の物語としては終わらせず人間臭い良質なドラマに仕上げたのはこの笑いの要素が多分に含まれていたからこそだと思います。


 最終回は三谷氏が「大河ドラマの主人公の最期としては今までにない」と最終回前に各所で発言していたこともあって、主人公北条義時がどんな最期を迎えるのか、かなりの期待をして視聴しました。

 そして視聴した北条義時の最期。


 あの最期は私は非常に腑に落ちました。


 もし視聴していない方が居たとしたならば申し訳ないので詳しく書きませんが、あの権謀術数の鬼となった北条義時が「嘘を最後までつき通せなかった」のは家族故の安心感だったでしょうし、相手があの行動に及んだ理由も結局は二重の意味での家族への愛情故だったでしょう。

 主人公北条義時の意識が消えると同時に物語も終わる。

 あれで良かった、と本当に感じました。


 そして、本当に演じる俳優の演技が素晴らしかった。


 やはり主人公北条義時の死に様は惨めで、でも救いがありました。

 でも、私が選んだ死に様第1位は源仲章ですけどね。


 しばしロスに浸りそうですが、録画をまだ残していますし、第1話からもう一度見直そうかなーと思っていますが、一つ心残りが。

 これまで録画してきた大河ドラマでは、所々妻が裏番組を録画したために録れていない話があって飛んでいるのです。

 しかも飛んでいる部分が結構重要なところだったりするので悲しみが深すぎです。

「蒼天を衝け!」では渋澤栄一が徳川慶喜に取り立てられる話とパリに派遣されるメンバーに選ばれる話、静岡藩の財政改革に手腕を発揮する話が抜けており、「麒麟が来る」は光秀が越前を去った後信長に禄をもらうようになった話と坂本城を与えられた話、丹波攻略を任される話が抜けてました。

「鎌倉殿の13人」も梶原景時が死ぬ回が抜けています。あの黒幕チックな動きをしていた中村獅童演じる梶原景時がどう滅びに向かったのか、気になるぅ。


 総集編で確認したいと思います。







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