何か出来ないか考える俺
俺がVを始めた頃からマリヤにはストーカーまがいの事が行われていたそうだ。
最初はただ、マリヤ本人へのものだと思って対処はしていたけれど、たまにまったく訳がわからない事が書かれたりして、どうしていいかわからなかった。
別の人と混同されている? そう思っても、相手に聞くわけにもいかず、悩んでいたそうだ。
「私がお兄の配信してるとこ、マリヤに送ったんだ」
いつから知っていたのかナミは面白ネタとして、俺の配信してるところのスクリーンショットを今現在の姿がめちゃくちゃ似てるマリヤに見せようと送ったそうだ。
マリヤはナミに詳細を聞いて俺の配信を見にきたそうだ。その時は、マリヤは俺と知らずに。ナミはマリヤがそんな事になってるとは知らずに。
「マリヤとこの人を間違ってるんやって見てて何となくわかったんよ。ゲームの名前とか訳がわからないとこが一緒やったし、今日はこうだったねって感想も一緒やったから。こう、パズルのピースがカチッと合うみたいに」
「まじでごめん」
俺は頭を机の板の手前まで勢いよくさげる。
「やだなぁ。マリヤのこと覚えてなかったんでしょ」
「ごめん」
男の子だと思ってました。お嫁さん云々もまったく記憶にございません。
「この女の子の中は誰って聞いてマリヤも驚いたよ。まさかイツキ君だったなんて……。すごく楽しそうに配信してて、イキイキしてて」
マリヤが困ったように笑う。
「こんなに楽しそうにしてるのにマリヤの事で邪魔したら悪いなってなってさ、言うに言い出せなくて」
それからも、全然止まらない嫌がらせやストーカー行為。対処しても変わらない。ついにはこちらに避難する事になったそうだ。
「お父さんとお母さんは向こうで仕事があるから……」
俺の頭はついに机に到達する。ゴンといい音がした。
「あのね、イツキ君のせいじゃないし!! というか、イツキ君の方にはそういうのはなかったん?」
「……それなりにあった。でも変なのはブロックで対処してたし」
ネットならそれで終わりなのだ。だけどリアルではそうはいかない。いや、むしろ俺がブロックしたせいで
コンコンとドアを叩く音がする。
「マキちゃん、そろそろご飯食べない?」
もうこんな時間だったのか。
「はーい」
マキちゃんが返事をする。そして、机に手をついて俺たちに告げた。
「配信は止めません。でも、マリヤの危険もほっとけません。だから、皆でマリヤを守りましょう」
俺の彼女、カッコいいっ!! まぶしい!!
「樹君には、負担が多くなってしまうかもしれませんが」
しゅんとする俺の彼女、可愛い!
「俺も何か出来ないか、考えるよ」
俺の彼女のためにっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます