奴隷っ娘

沼田くん

第1話

(あ~あ、どうしてこんなことになっちゃったんだろう?)

 楓は嘆いた。でも、どうにもならない。縄が、楓の体を締め上げていた。動くと腕に痛みが走った。

「うう」

 痛みが尾をひいた。

 楓一人ではない。彼女の目の前には、同じように縄で縛られた女たちが言葉なくうなだれていた。皆、裸だった。楓も。

「檻に入れろ」

 男の声で、頑丈な檻に女たちが閉じ込められていく。

「ううー!」

 声を張り上げようとするが、猿ぐつわが、それを許さない。頬がくびれるほどにきつい猿ぐつわ。 

 作業が急がれた。薬を嗅がされ、次々と体の力が抜けていく。ぐったりとなって動かない女たち。檻に入れられていった。

 作業が終えると、

「船に積み込め」

 檻の中、眠らされた女たちが目を覚ますとき、船は海の上。女たちは、どこへ運ばれて行くのであろうか。

 その始まりは半年前にあった。 


 楓は、独り暮らしを始めた。二年間の大学寮生活を離れたのだ。アパートを借りた。そして、アルバイトを始めた。

 選んだアルバイトはM女。風俗で働くことだった。

 興味があった、一度、なってみたかった、M女に。

 縄で縛られてみたかった。鞭…打たれてみたかった。いつからだろう?夢のように持ち続けた。独り暮らしを始め、それが可能になった。

 お店に電話をした。面接日時を告げられ、面接を経てM女になった。体験入店を経ることもできたが楓は拒んだ。

 


 

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