人形殺戮国アリアゴール編
第01話 人形になってる…
ふと目を覚ます。
目の前には真っ白な天井があった。
私は確か首を吊って死んだはずだ。人生は終わったはずだった。なのに意識がある。
自殺は失敗したのだろうか?そうだとしたらここは病室だろうか?病院の天井を見ているのだろうか?
そんな考えを巡らせ、自分の上体をゆっくりと起こす。
そこには何もなかった。真っ白な空間が視界に広がっていた。
「え?」
思わず声が出てしまう。
「どこ?ここ?」
自分に何が起こっているのか理解できずに、困惑しているといつの間にか目の前に女性が立っていた。
「やぁやぁ、初めまして
目の前の女性は無邪気に微笑みながらそんなことを言っていた。私はきょとんとしてその言葉を聞き流していた。頭には入ってこなかった。
目の前にいる女性の瞳は青色に輝いて、髪は金髪で腰まで垂れ下がって、顔立ちは整っており、スレンダーな体型で、古代ギリシアに出てくるキトンのような服を着ていた。
白人だろうか?どこの国の出身者なのだろう?アメリカだろうか?
そんなことを考えていると視界が眩む。意識が遠退く感覚がする。
私はまた意識を失った。
また目を覚ます。
今度は真っ白な天井でなかった。目の前は真っ暗だった。
「?」
訳が分からず、とりあえず手を伸ばし明かりがないか探す。しかし、明かりはなかった。その時、私の視界の下で長方形が四分割された光が出現する。
その正体は窓から差し込んだ月明りだった。どうやら夜だったようだ。そこで初めて周りの情報に驚愕する。
「うわ!?人形!?」
そこには棚にびっしりと隙間なく並べられている人形があった。目の前には5段式の棚が2つあり、窓を挟む形で配置されている。
視線を左右に向けると、そこにも人形が並んでいた。どうやら私がいる場所も棚らしい。顔を下に向けるとカウンターがあった。ここは人形屋か何かだろうか?
しかし、一番違和感を覚えたのは視線の高さだ。これではまるで自分も棚にいることになる。それはおかしい。
私は人間だ。人間が5段式の棚の中に座ることなどできるだろうか?できるわけがない。それこそ小物でなければ。
何かがおかしい。そう思い、自分の手に視線を移す。
「あれ?」
どういうことなの?なんで私の手首の関節部分に球体があるの?これじゃあまるで人形じゃない。
思わず身を屈めてしまい、バランスを崩し、地面に落下してしまう。
「いてて・・」
口に出して言ったものの。痛みはない。というよりも痛覚がなかった。
周りを見渡すとそこには長方形の長細い鏡が立て掛けてあった。私は慌てて走り出し、その鏡の前で止まる。
「ど、どういうことなの?どうして?」
自分の姿を確認して驚きと不安で体が固まる。現実を理解できずにその場から動けなかった。
その鏡に映っていたのは…
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