異世界転生は最早有名なジャンルだが、この作品は異世界というより異界だ。
現代日本とほぼ変わらない世界の相違点は、少し古風で、少し治安が悪く、何より名状しがたい怪異と隣合わせであること。そこで暮らすひとびとは怪異に対抗すべく強かで殺伐としていて暴力に余念がない。
異界というのは本来怖くて得体の知れないものだと思い知らせてくれる。
ホラーとしてしっかり怖いのに解決手段はあっけらかんとした暴力という湿度と乾燥の配分もいい。
迷い込んだ男子高校生・工藤の反応で正当派なホラーとして、バット片手に怪異を殴り倒していく鉄砲玉・カガの強かさで乾燥したバイオレンスものとして、両方楽しめる。
ふたりの今後も楽しみだ。