第2話 偽りの性格
偽性格、自分の定められた性格で振舞い点数を稼ぐシステム、だが一度でも当てられれば稼げA、B、C、E全員から注目を浴びてその日全員に当ててもらいたいところだ、だが一日に選べる人数は一人のみ、必ずあたしが選ばれるとも限らなければ当てられるとも限らない。今間違いなくやってはいけない行動は素の自分を出してしまうことである。
ゲームは始まったがあたしは動かなかった、ここは慎重に考えるべきだ。いつものあたしなら動いてたんだろうけど今は時と場が違いすぎるからな。
10時か、12時だ、12時になったらあたしは動く、幸いなことに学校にある時計が大きすぎてテントから顔を出しただけで時計は見える。12時になっても何の変化もない場合、もしかすると食料は自分でどうにかしないといけないのかもしれない、それとも制限時間が餓死するまでなのだろうか?電化製品はマップ上で見た限り、なさそうだ。回答台の前の方、いわゆる外にあるためまずコンセントがないだろう、この学校に入るしかないのか?まさか風呂にも入れないんじゃないだろうな。何もしないのも時間の無駄になってる気がするな、フリースペースに行ってみるか、偽りの性格を演じきれる自信はないけどな。
時間は11時30分過ぎ、フリースペース、殺し合いの道具か?槍や弓、矢などがある、釣り竿があることで理解した、自分たちで狩猟して食材を調達しろと言うことか。だが下手をすれば殺し合いにも発展しそうだ、特に槍は危ない。ルールに殺害禁止など一言も書かれてなかったしな。そうなるとこのゲームの真の目的は…
「あの、ゲーム参加者の方ですか?」
「おう」
じゃない、唐突の声に不意に素が出た。振り向くとあたしより少し年下か?ベージュ色のロングの髪をした少女が立っていた。
「あ、申し遅れました!私は横口未来(よこぐち みらい)です」
軽く自己紹介をしてきたが名前は偽る必要もないし本当なのだろう、だが性格は信じてはいけない。とりあえず友達の性格を参考にしてみる。
「そうなんだ~未来ちゃんなんだね、あたしは空 光だよ♪」
はぁ…性格を偽るって案外疲れるな。
「光さんですね、よろしくお願いします、えーっと、何歳の方で?私は16歳です」
「あ、そうなんだ~あたしは18歳だよ」
「では光先輩ですね」
「そうなるね~ところでどこかな?あたしはDなんだけど」
「私はCですよ」
まずはC、3番目と接触した、偽性格でなければ好印象なのだが…他の本当の性格を隠し持っているということか。
「うわ、すごいですね先輩、釣りとかできそうですね」
「多分食糧とかは自分たちで調達して自分たちで作るんじゃないかな?」
「全員で協力するんですね」
協力してくれるほど甘くはないと思うが、未来のお題は何だ?明るいがしっくりくるな、もちろん今日は様子見でパスを選択するが未来の偽性格、明るいで保留にしておこう。
「あ、もう一人来られましたよ」
後ろを振り向くと黒い傘を差しながら黒いゴシックドレスを着たいかにもお姫様ですアピールしたような格好の黒髪ロングの少女と出会う。
「あら、ごきげんよう、貴方たちは?最初に名乗らせてあげる」
「私は横口未来です、16歳です」
「あたしは空光だよ~18歳だよ、よろしくね」
「そう、わたくしは月山礼(つきやま れい)、14よ、よろしく頼むわね」
態度でかいなこいつ、だがこれも演じているんだろう、わざわざ服装から傘まで用意して。お題はお姫様といったところか?
「物騒なものがたくさんあるわねぇ」
「多分これを使って狩猟するのではとのことですよ、食料のためには仕方がないですよね…」
「ならわたくしのために偽性格を教えてくれてもいいのよ、未来だったかしら?」
「え?」
なかなか攻めに転じてるな礼は、まずは把握しておきたい。
「ところで礼ちゃんはどこかな?あたしはDなんだけどね~」
「あ、私はCですよ」
「教えてほしいの?仕方ないわねぇ、わたくしはAよ」
なるほどな、残るはBとEか。
「ねぇ、この3人でBとEのテントに行ってみない?楽しそうじゃないかしら?」
ほんとに攻めるな、守りという言葉を知らないのか。
「私は良いですけど」
「あたしも良いよー」
「なら決まりね、Bから行くわ」
以外にもこの中では一番年下のAの礼が先陣を切ってくれた。年上として情けない。
Bのテント前
「失礼するわよ?」
一旦三人は待つ。するとテントからBの人間であろう人物が現れた。緊張しているのか顔がこわばっている。茶髪で短髪だ。
「私は横口未来と言います!16歳でCです」
「あ、あんた達二人は?」
「わたくしは月山礼よ、14歳でAね」
「あたしは空光だよ~18歳でDだねー」
「そ、そう、勝手に剝がさないで返してよ」
そういうと生徒証を渡してきた。渡していいのか?と思ったが本来???のところは剥がしてはいけなかったのか。こういう時のために使うんだな、偽性格が明らかになったら剥がすのか、説明不足過ぎるんだよ。そこには琴吹海利(ことぶき かいり)、18歳、女性、偽性格???と表記してあった。
「なら剥がすわね」
「剥がさないで蹴るわよっ」
海利は生徒証を取り上げてテントの中に入ってしまった。
態度を見るに強気か?顔がこわばっていたためどうすればいいのか混乱していたのかもしれない。強気で保留しておこう。
「最後はEに行こうかしらねぇ」
そうだな、と言いたいが下手に話すと素がばれるとりあえず二人についていくことにした。
テントEだ。
「入るわねぇ」
しばらく待つ、しかし反応がない、数分経っても出てこなかったので礼は中を覗いている、足を踏み入れない限りはセーフだからな。
「いなかったわねぇ」
「Eの方どちらにおられるんでしょう?」
「一度フリースペースに戻ってみないかな~?」
「そうしようかしらねぇ」
しかし、Eの人物と遭遇することはなかった。フリースペースにわずかだが駄菓子があった、今日はこれで乗り切るしかないのだろうか。
「このゲームは5人で協力も必要だと思うんですよね、狩猟にしても調理にしても一人と五人では効率が全然違いますから」
「学校には入れないのかな~調理機器がたくさんあるよー」
そうだ、学校には家庭科室がある、あそこでコンロを使えるし何かしら食料もあるかもしれない、回答台の上に立ち、学校の玄関に手をかける、が、玄関は開かないうえに張り紙にこう書かれていた。
・校舎に入った者は即脱落と見なす
あまりにも残酷な張り紙、となると火起こしか、焚火をして魚などを焼かないといけないのか、木から見つけなければ、校舎に入ってはいけないが校庭外に出てはいけないという張り紙はなかった、テントにあったマップに森と川があったな、拠点はフリースペースではなく木が生い茂っている場所が妥当ということか、Eはそれに気づいて一人で狩りに行った?だがあまりにも危なすぎる、それだけ自信があるのだろうか。
今日一日の成果としてはE以外の人物に会えた、E以外の偽の大まかな性格を把握できたといったところか。それにしても腹が減った。あたしの偽性格、最大限に生かさないとな。時は夜、ゴーンと時計から音が鳴った。22時の合図だ。アナウンスでAは回答台に立ってくださいとのこと、この五人以外にも人がいる?校舎の中だろうか?監視役は必要というわけか、不正防止のためにな。ちなみに22時からはテントから出ることを一切禁止、トイレに行くことが許される程度で他のプレイヤーのもとに行くことなどもちろん禁止である。そして出ていいのはこの時、あたしのDは回答台に立ってくださいとのこの合図、この場面だけだろう、向かう、回答台のシステムがどのようになっているのか。
「タッチ式だと?」
あたしが思っていたのはイヤホン越しに言葉で今日はパスなど伝えるものだと思っていたが違った。銀行の引き出し、お預けのように、パス、偽言及、本言及と書かれた三択、パスをタッチ。これで本当によろしいですか?右下には戻るボタン。今日は一日目だはいボタンを選択。回答を終了しました、自身のテントにお戻りください。と書かれている。言われた通りフリースペースを通り抜けながら自身のテントに戻る。
続いてEは回答台に立ってくださいとのこと。Eはいるんだな、てっきりEが本当はいないものだと思っていた。翌日の6時に結果がわかるのか、誰が誰に入れたまではっきりとタブレットでわかるようになっている。このタブレット、充電がきれたらどうなるのだろうか、タイムリミットは充電が切れるまでではないだろうな?
そして問題はプレイヤーEだ、性別から何から何までわからない。Eはどうやって当てに行くつもりなのか。それともプレイヤーから逃げている?偽性格でシークレット、お題なしの可能性はないか、お題なしは一人しかいないからな。明日の6時だ、明日にだいたいどんな人間か運が良ければわかるかもしれねぇ。
翌日
時計の鐘の合図で起こされた。午前6時。タブレットを確認する。まずはあたし、D。
Dはパス、点数0ポイント。
それから全員を見たがパスを選択していたらしい、点数の変動はなしだ。
今日はEにアプローチをかけてみるか、8時、Eテントに向かった。まさかこの時間帯に来るとは思わないだろう。友達の性格を思い出す。
「Eの人いるかな~?」
しばらく経つと
「あ、え…?」
驚いたような声を上げEの人物が顔を出した。予想以上に幼かった。青髪の三つ編みが特徴的だ。
「あたしは空光っていうんだけどお名前は何かな?」
どこか何もないところを見ながらぼけーっとしていたかと思うと慌てて生徒証を見せてくる。
花野アリス(はなの ありす)、13歳、女性、偽性格???
「アリスちゃんっていうんだー、昨日はどこかに行ってたのかな?」
「…え?ちょうちょ!」
ん?不思議な子だ、ちょうちょを追いかけていたら迷子になったのだろうか?
「ちょうちょ綺麗だよね~」
「びみょ~」
……わからない、何を考えてるのかわからない、他のメンバーなら彼女をシークレット枠、お題なしで見るのかもしれないが他の可能性としては不思議な言動くらいか。それにまだ幼い、ルールを把握しているのだろうか、彼女に狩猟は任せないほうがいい、できればAの礼も幼いためBの海利に協力を求めたいところだ。
不思議なEとの空間を抜けBのテントに移動、話しかける。
「海利ちゃん、いるかな~?」
「うるっさいわね蹴るわよ」
「怖いな~」
「そうよね、その怖さがいいのよ」
何言ってんだこいつ、お題はSか?しばらくすると海利が出てきた。
「なんなの、早く言わないと蹴るわよ、殴るわよ」
あからさまに暴力的な表現が多くなってきた、S、強気、暴力、お題はこのうちのどれかでお題なしのシークレット枠はないとみていいだろう。
「じゃあ蹴りにいこっか~」
「は、はぁ?」
「蹴りたいんじゃないの~?」
「あ、当たり前よ」
「食料も用意しないとねー、イノシシとかいるんじゃない?」
「そういうことなら私が囮になってあげるわ」
そこは蹴るんじゃないのか、体力には自信があるってことでいいんだよな?どちらにしてもこの五人の中で最年長はあたしか海利だからな、フリースペースから槍を持ち出し未来にとあることを伝えた後に森に出発した。海利はゾクゾクと震えているが大丈夫なんだろうか?普段のあたしなら大丈夫か?って言えるんだけどなぁ。
気づけば夕方、まったく見つかる気配なし、未来、礼は木々を集めていた、焚火だ。ただ礼は座っているだけでほとんど未来がしている気がする、気づけば狩猟から釣りに変わっていて海利とともに10匹程度釣ってやめることにした、初めから釣りにしておくべきだったな、こんなにいないなんてな。あたし、海利、未来、礼で魚を食べることにした、二匹だけアリスのために残しておき。アリスの大まかな説明も念のため四人にしておく、敵に情報を与える意味なんてないかもしれないが内密にあっていたことがばれればそれもそれでターゲットにされかねない。
「変な子ねぇ、何もしてないアリスって子に食事を渡すのもどうかと思うわ」
お前も座ってただけだろと言いたいところだがここは耐える。
「餓死させて脱落させたらどうかしらねぇ」
むごいことを礼は言い出す。
「それはさすがに…だってこの中じゃ最年少ってことになるし」
未来がアリスのフォローをする。
「じゃあわたくしが最年少だったなら何もしなくてもよかったのかしら?」
「それは…」
この空気はまずいな。
「まあとりあえず食べようよ~もう夜だし早くしないと22時になっちゃうよー」
何とか誤魔化して夕食を終えた。
アリスのテントに駆け寄る。
「アリスちゃんいるかな~?」
「いない!」
「いるね~ご飯持ってきたよ~」
ひょこっと顔を出す。魚を二本見せる。
「お肉だ!」
いや、魚なんだが、どう間違えたんだ?
「ちょうちょのたれ!」
もう何が言いたいのかわからない、変人か?まさかお題がちょうちょじゃないだろうな?
「あげるね~」
「うん、引きちぎるー」
訳の分からない空間から抜け出してホッとする、アリスのお題はちょうちょか?確かに幼い子に性格のお題を出しても理解できないかもしれない、だがちょうちょだった場合矛盾が生じる、あくまで偽性格だ、ちょうちょなんて性格は存在しない。
考えながらテントに戻ると22時の合図だAから時計回りに順番に時計台に立っているころだ。2日目でいろいろ判明するはずだ、そして三日目からは動かなければならない。パスは脱落を意味する。Dの出番が来た。昨日と同じくタッチ式。パスを選択、本当によろしいですか?はいを選択。さて、次はアリスが呼ばれる番か。今日は疲れた、明日の6時の結果に備えて寝るか。
ゴーンと朝の6時、結果が反映される。あたしはD、パスを選択0ポイント、だが、CとEがマイナス一ポイントになっていた。昨日の回答はA、B、C、Dがパス、Eが、あのアリスが遭遇していないはずのCの未来に偽言及、優しいで外していたが確かに未来は優しい印象を受けた。遭遇していたのか?間違えはしたもののCの偽に優しいは×と択が絞られた。よって優しいの類義語も全て×だ。ということは明るいはどうなるのだろうか、主催者のみぞが知るところだ。だが、アリス以外は今夜回答しなければ脱落ということになる、そしてあたしはあることに気づき始めていた。8時過ぎ、未来のテントへ駆け寄る。
「お、おはようございます」
「おはよー、びっくりだね」
すると後ろから礼もやってきた。
「ごきげんよう、未来、貴方実はアリスとかいう子と会っていたのねぇ?」
「私は会ってないよ?」
「なら光がアリスって子と遭遇した時にわたくしたちの情報をばらまいたのかしら?どっちかグルよねぇ?」
「あたしはそんなことしてないけどな~」
「信用できないわねぇ、あくまで敵同士だし特に光は会ってるわけだし」
「じゃあ直接聞きに行こうよー」
賭けだ、これでアリスが嘘をつきあたしから聞いたと言われれば一気に孤立してしまう。
「そうねぇ?行きましょうか」
あたし、未来、礼はアリスのテントに向かう。
「ごきげんよう、失礼するわよ」
……反応がない、礼が開けてみる、アリスの姿はなかった。
昨日のようにアリス除き4人で今度は初めから釣りをして今後のことについて話し始めた。
「なんなのよアリスって子、まるでここにいるみたいじゃない」
海利がそんなことを口にする。
「そんなにあたしや未来ちゃんが信用できないなら今夜は礼ちゃんか海利ちゃんがアリスちゃんに食事持っていったらどうかなぁ?」
「なんでわたくしがそんな面倒くさいことしなければいけないのかしら?海利に任せるわ」
「なんで私なのよ、蹴るわよ」
またまずい空気になったな。
「わかったよ、ならあたしが行くよ~」
「それだけは絶対にダメよ、海利が行きなさい」
「はぁ?あんたが行きなさいよお嬢様気取ってないで」
「行けって言ってるのがわからないの?」
礼が海利をにらみつける。
「こ、今回だけは行ってあげるわ、次はぶん殴るから」
「いい子ねぇ?」
礼に飼いならされたように海利が夕食をアリスに持っていくことになる。あたしが っている限りでは海利とアリスは初対面になる。
今日は昼食と夕食が取れた、アリスには5匹の焼き魚を持っていくことになる。
無事に接触できているといいがな。もう夜だしいるだろ、原則として海利に誰もついていってはいけないってルールもつけられたしな、礼に。
しばらくたって22時、Aの礼から回答が始まる。アリスを除き、今日パスを使えば脱落となる。救済の余地はなく死刑確定である。そして呼ばれたD、あたしの投票である。一番苦しそうな彼女に言及するとしよう。さて、明日の6時が楽しみだ。
訪れる6時、4日目、そろそろ魚だけでは倒れてしまうこの日あたしが偽言及したのはB、琴吹海利である。あたしのポイントは1ポイント。あたしがBの海利に暴力的で言及見事当たったようだ。他のプレイヤーはどうなっているだろうか、まず最初に驚いたのはあのアリスがリセットされているにもかかわらずパスを使っていないことである。
Aの礼はアリスにお題なしで偽言及、結果は外れで両者マイナス一ポイント、同じく昨日会ったであろうBの海利もアリスにお題なしで偽言及、結果は外れでこれも両者マイナス一ポイント、Cの未来はあたしと同じくBの海利に暴力で偽言及、結果は当たりで両者プラス一ポイント、そしてアリスはAの礼にお淑やかで偽言及結果は当たりで両者プラス一ポイント、昨日のアリス、未来のマイナスポイントも合わせて計算した途中結果は
A 0ポイント
B 1ポイント
C 0ポイント
D 1ポイント
E -2ポイント
である
更に偽性格の欄が
A お淑やか
B 暴力的
C ??? 優しい×
D ???
E ??? お題なし×
と更新されている。これでAとBの礼と海利は偽性格で立ち振る舞ってることがバレバレとなった。それでも貫き通すもよし、新たに違う作戦を練るもよし。
アリスがなぜあってもいない人物の性格を把握しているのかは謎しかないがアリスの行動のおかげでわかったことがある。ただし、他のプレイヤーには伝えないでおこう。アリスはもうとっくに気づいていたのか。ポイントでは不利だが二日目からこのゲームはアリスによって支配されていたとはな、あたしとしたことが。今日アリスは礼、未来を言及してくることはないだろう。最大の強敵はアリスである。
あまり三人きりにしたくないが礼、海利、未来には三人でいてもらおう、一番信用できそうな未来に事情を話し、アリス監視に身を置くことにした。3つバレなければいい、出し惜しみなしで普段のあたしを出し切ろう。Eテントの前。
「アリスいるか?」
口調を変えることを辞めた、あたしの偽性格はアリス以外の人間との交渉材料にとって最大の武器となる。
ひょこっとアリスが顔を出した。
「一緒に出掛けるか」
「おぉ~」
「嬉しいのか?」
急にアリスも態度を変えた
「大きく出たね君は、ようやくことが早く進みそうだ」
「なるほどな、それがお前の素って訳か」
「そうなるね、シークレットのお題なしは礼か未来か海利が勝手に当てるだろう、僕のお題を当ててもらうのは難しいものだね」
「あたしたちが戯れてる時はずっとひそかに見てたな?付け回してたんだろうな」
「もちろんだよ、礼との関係をぶち壊そうと思ってね、今頃礼と海利は大喧嘩してるだろうね、偽性格もバレてしまったからね、今から盗撮しに行くところだから邪魔をしないでくれないかな?」
「ならあたしも混ぜてくれるか?」
「急に飛び出されては僕の計画は題なしなんだ」
「あたしは礼とも海利とも未来とも味方じゃねぇぜ?もちろんお前ともな」
「まあいいか、僕の邪魔はしないでくれたまえよ」
「へいへい」
先に焚火の場所に待ち伏せしてたのか、用意周到だな。
「ここからは別行動だ、僕は小さいからね、君と違って、ここにいるのは内緒にしてくれたまえよ?」
「ガキに言われるとムカつくが仕方ねぇ」
アリスとは違う場所からいつもの集会場所を監視する。三人がやってきた、予想通り礼の怒りの鉄槌が海利に制裁を下している。
「絶対に教えたわよねぇ?せっかくお嬢様気分を味わってたにわたしに恨みでもある訳?」
「お、教えてない」
「やめようよ二人とも、たまたま通りかかったとかあるんじゃないかな?」
未来が必死にフォローしている。
「未来も未来で実は会ってるんじゃないの~?光も信用できないしわたしを貶める気?」
黒い傘を捨ておそらく本性がむき出しになっている。
「は、はは、ざまあみろー」
海利は挑発するように礼に罵声を浴びせた。
「海利ぃー、わたしに逆らう気ねぇ?」
あたしはアリスがいるところとは別の方向から現れた。
「おう、何してんだ?」
「…え?」
急な態度の変わりように3人は唖然とする。
「喧嘩してる暇があったら仕事しろ、今日は狩猟行ってくるわ」
3人は目を見合わす。逆に驚かせて喧嘩を鎮める作戦でもあるがやっぱ普通がやりやすいな。
夕方、イノシシを一頭ほどぶっ刺してきた。今回は未来と海利が釣りに行っているらしく礼と二人きりになった。急に礼の強気の態度が一変した。
「ま、まさか貴方がお題なしだったとはね」
「そうとも限らねぇぜ?」
「違ったら未来しかいないじゃない」
「そうなっちまうなぁ」
「二重人格?」
「さぁなんだろうなぁ?」
すると未来と海利が帰ってきた。
「い、イノシシ!?」
「一頭しか無理だったな」
「あ、あんた、じゃくてあなた結構やるわね」
海利はもともとあんたって言わねぇのか、わかりやすくて助かる。
「よし、今日は結構食えるな」
「そうですね」
今日は無理矢理アリスに関しての話題は逸らせたが今日もアリスは仕掛けてくるな、あたしか海利に。あたしがアリスに肉と魚を届けることにした。
「アリス、いるか?」
「肉!って君か、礼が来ると思ったんだがね」
「とりあえず今日は喧嘩は避けたかっただけだ」
「いつまで避けられるかな?今日は肉もあって豪華だね、でも済まないけど今日は君を本言及させてもらうよ」
「あたしか海利だろうなぁ、今度は海利を孤立させるわけだな」
「もちろんその通り、人間関係崩壊こそこのゲームの一番の楽しみだからね」
「可愛い顔して恐ろしいこと言いやがる…」
「ありがとうと言っておくよ」
その言葉を受け取りアリステントから自分のテントへ向かう。
そして訪れる22時、素を出してしまった以上パスしている余裕はない今回は誰に入れるか。手の内を晒すことになるが試してみるか。Aから始まりDに来た、パスの選択肢は捨てた。
翌日
まさかの全員がパスを使っていなかった、そろそろ気づき始めたか?
まずはA、あたしへの偽言及、お題なし、外れだ、そう、あたしの偽性格はお題なしではない。
続いてB、Aの礼に生意気と挑戦状を送り付けるように本言及、正解である。
続いてC、あたしに対して偽言及でギャル、残念だがそんな甘くない、外れだ。
そしてあたしとアリスは今日この日、一斉に手を晒したことになる、偽言及は一つ、しかし本言及は三択あるのだ、ただし一人に対してだ。
Dのあたし、Bの海利に本言及、ドS、ドМ、挑発的、ドSかドМには確信があった、このうちの当たりは一つ、ドМだった。あの礼への挑発的な態度も全ては裏返し、弄られたいということか。
Eはもちろんあたしに本言及、中性的、男喋り、威圧的、そうなのか?と思いつつそのうち一つは当たっていたらしい。あたしは男喋りらしい。さらに追記があった。威圧的はDより威圧的な人物がいるため不正解。
つまり、あたし以上に威圧的な人物がいることになる、しかしドSに対してはその追記がなかったということはドSな人物は存在しない、威圧的な人物はもう絞れたわざわざ当てに行く必要はないだろう、きっとアリスも同じことを思っているはずだ。
途中結果
A -2ポイント
B 3ポイント
C -1ポイント
D -1ポイント
E -3ポイント
偽性格
A お淑やか
B 暴力的
C ??? 優しい×
D ??? ギャル×お題なし×
E ??? お題なし×
本性
A 生意気 ??? ???
B ドМ ??? ???ドS×挑発的×
C ??? ??? ???
D 男喋り ??? ???中性的×威圧的×(他のプレイヤー)
E ??? ??? ???
ポイントではBが圧倒的、しかし偽性格や本性などを含めるとCとEに軍配が上がるがCの偽性格はもう決まったも同然だ。むしろ良くここまで本性を見抜かれずに隠し通したものだ。となるとキーパーソンはシークレット枠のCか?しかし優位性ではポイントを含めなければアリスが圧倒的だ。A、B、そしてあたしは徐々にバレだした。一番手ごわいのはアリスよりも未来なのかもしれない、性格そのものが偽りなのだとしたらお題なしをうまく利用している。自分でも答えがわからないこの二つ、攻めすぎず、守りすぎず、どう生き抜くかがポイントだ。
とあるテントA
ふふふ、へぇ、ドМだったのねぇ、色々と使えそうね
とあるテントB
は、ははは、バレていく…この興奮がたまらない!
とあるテントC
………
とあるテントD
予想通りだがまさかその先はそういう運命になる訳か、このゲームを支配しているのは…
とあるテントE
気づいているかい?そのポイントはただの飾りだということに
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