書きたいお話だけ書く
紫暗
書きたいお話だけ書く Part1
登場人物
近江桃花(おうみももか) 小雪の友達(後に出てきます)。猫好き。
緑沢莉希(りょくさわりき) 今回の主役。何かを抱えている?
「子守唄」
「ふぁ〜」と今日何度目かのあくびが2人のいる空間に響いた。
私はあくびの主である緑沢君に「寝不足?」と聞いた。
「うん、実は最近眠れなくて・・・」
「そっか」
私はそれしか言えなかった。
緑沢君の表情がこれ以上触れてこないでと拒絶する様に見えたからだ。
だからといって放っておく私ではない。
私は両腕を広げた。
「何をしているの?」
「何って‥‥、抱っこして寝させてあげよかなと思って」
「誰を?」
「君を」
「僕を!?」
「うん」
「えっと何で?」
少しいや、大分戸惑って見える。
「さっきも言った様に寝かせてあげようかなって」
「ありがとう、気持ちだけ受け取るね」
うわぁー、そう来るかぁ。
「遠慮しなくてもいいって。それに腕疲れてきた」
めちゃくちゃ悩んでるなぁ。
そんなに嫌なのかなぁ。
そうだったら、それはそれでショック。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
おっ、ようやく来てくれた!
緑沢君は私に向かい合う感じで抱きついてくれた。
男子だなって感じ。
細身に見えて意外と筋肉がある。
私は彼の背中をトントンと赤ちゃんをあやす様に叩く。
そして子守唄を歌った。
ももたろうさん ももたろうさん
おこしにつけた きびだんご
ひとつわたしに くださいな
やりましょう やりましょう
これからおにの せいばつに
ついていくなら あげましょう
この歌が私にとっての子守唄だった。
懐かしいなぁ。
幼い頃はよくこうしておばあちゃんに歌ってもらったなぁ。
そういえば、ここからの歌詞覚えてないなぁ。
にしても、緑沢君の顔を見てみたらクマが出来てる。
余り寝れてないのかな。
そうだったら体に悪いし、精神的にも辛いだろうな。
時々、こうやって寝かせてあげよう。
緑沢君が慌てて起きるまで後10分。
終わり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます