音楽教師Mとグランドピアノ
三文の得イズ早起き
第1話 音楽教師M
「お前らー。バカってどういう奴の事を言うか分かるかー?」
高校の音楽教師Mはある日の授業終わり近くなってそう生徒に尋ねた。
「よし、じゃあお前から答えていけ。どういう奴がバカと思うか、はい」
Mは右端最前に座る生徒を指差した。
「ええと、何も考えてずに、悪いことをする人、とか?」
「はい、次。その後ろ」
「え、わかんない、いっつもテスト0点のやつ?」
「はい、次。後ろ」
「うーんと、何も考えてなくてー、ええと、何も考えてないやつ」
「はい、次」
「バカって言う奴がバカでーす」
Aという生徒がおどけてそう言うと、クラス中がちょっとだけ笑った。
「バカって言う奴がバカ? お前、本気でそう思う?」
MがAに真顔でそう言うと、クラスに沈黙が訪れた。
「俺はさ、バカだなって奴にはハッキリ言うんだよ。『お前バカだよ』って。お前の話が事実なら俺がバカって事? それがお前のバカの定義なの?」
MはAを大人気なく問い詰めた。
「バカってのはな」
Mはそう言って皆を見渡した。
「バカってのはな、アメリカを意識してない奴の事だ」
Mはそれだけ言うとその日の授業を終えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます