「"詩人(しにん)"に口なし」というけれど!

ふるなる

シュガーカラー & ビターパレット

 そっと──


 甘い色はほろ苦い板の上で。

 さようなら、ほろ苦い思い出

 見て見ぬ振りして生きていこうが

 過去は必ず現れて私を脅す

 「辛い」という言葉で言い表す

 そんな稚拙な単語で的を射るなんて

 「無理だった」と反省しては

 「無駄」な時間を過ごしていく


 甘い甘い青春の鶴

 このままもし風に吹かれて

 そのまま空を飛び続けられたのなら

 楽しいこと

 嬉しいこと

 それはすぐに終わること

 土台はほろ苦い人生という折り紙

 誰だって

 いつだって

 それはいつか終わること

 無様に吹き飛ばされた破られた折り鶴

 そっと──

 手を伸ばした。



 ずっと──


 つらからい青春の世界

 このまま続くと思っていた

 この世は幸せに包まれていると

 悲しいこと

 苦しいこと

 楽しいことより多いのよ

 誰だって

 あなただって

 命の紙は細くて小さくて

 すぐさま心灰に変われば、その糸

 きっと──

 自ら切って。



 私だって打ち砕かれた

 命の紙をぐちゃぐちゃにしてやりたくて

 誰もかれも気にしなくて

 と思ってた時期がありました

 あなたはもう打ち砕かれた

 命の紙をキリキリと切り刻んだ

 誰もかれも間に合わなかった

 遠巻きに助け舟を出すことすら遅かった



 甘い色はほろ苦い板の上で。

 こんにちは、ほろ苦い思い出

 見てみぬ振りして生きていこうが

 過去は必ず現れては脅す

 「楽しい」ということも

 「苦しい」ということも

 全てを引っ括めて胸の中で渦巻いてく

 無視したいという願い叶わず

 無理だということを悟った


 もしも──


 暗い暗い永遠の思い出

 このまま過去に囚われてしまうのか

 そのまま死の崖から落ちるのか

 楽しいこと

 悲しいこと

 辛いこと

 何も無いこと

 今でも私は憶えている

 空に漂うあなたの代わりに

 誰だって

 いつだって

 未来は何も分からない

 あなたが自らの鶴を消すなんて

 なんて言っても何も変わらないけどね

 そっと──

 私は鶴を空へと飛ばした。


────────


「 シュガーサマー&ビターライフ 」

アルファポリス

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