第17話 王子達によるベリアルの説得
あの後、私たちは部屋から退出したけど、陛下と私たちの保護者は何やらまだ話し合っているようだった。
アルフレッド殿下も、後は関係無いとばかりに私と一緒にさっさと出てきている。
「今のうちに可愛いドレスも着ておくと良いよ」
とアルフレッド殿下から言われたけど、学園は制服なんだよね。
夏休みが終わって、一か月くらい経った頃。
なんだか、王子達とベリアルの言い争い? というか、説得しようと懸命な王子と我がまま姫? という姿も見慣れてきていた。
ベリアルが学園に残る為の条件、『今までの態度を改め貴族階級に対するマナーの勉強をする』という事は本人にも学園長から伝えられた。
そして今回の騒動の責任を取るという形で、王子達が説得にあたっている。
「ベリアル。君は希少な回復魔法は使えるが、身分は平民なんだ。きちんとしたマナーを勉強して、態度を改めてくれ」
「王子である私たちに、そんなに馴れ馴れしくすると、また危ない目に遭うよ」
「どうしていきなりそんな事言うんですの?」
ベリアルは相変わらずだ。気持ちは分からないでもないけど。
本人が無意識に使っているのであれば、魅了の効果で王子達が自分の事を好きになっていた、なんて思わないだろうから。
だから、王子達……今は、アイザック殿下にベッタリ張り付いている。
…………本当に、魅了から覚めてるんだよね? 王子様?
「本当に、殿下は優純不断でいらっしゃる事。こんな事で国政を任せられるのかしら」
いつの間にか、エミリア様が私の横にいてそう呟いていた。エレン様もその横に付いている。
慌てて挨拶をしようとしていると。
「良いのよ。今のあなたは、アルフレッド殿下の正式な婚約者なのでしょう? わたくし達と対等な立場になられたのだから」
いや、違うでしょう。エレン様ならともかく、エミリア様は次期王妃だもの。
それともアルフレッド殿下も、王太子のスペア扱いになったの?
「エミリア様。わたくし達は、もう教室に参りましょう。せっかくアルフレッド殿下が、あの女性に温情を与えたのですもの。無駄になってしまいますわ。さあ、オリビア様も」
そう促されたので、私も2人の後に続こうと歩き出す。
ベリアルの説得には、期限があるのだけど大丈夫かなぁ。
そう思って、つい後ろ……、王子達とベリアルが揉めている現場を振り返る。
あっ、しまった。ベリアルと目が合ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。