魔法の呪文

アオヤ

イタズラ、そして・・・

「キャ~ オバケ!」


オフィスのワンフロア中に悲鳴が響き渡る。

何事か?と一瞬周囲がザワつくが、いつも大袈裟な行動をしている彼女の行動はもはや“オオカミ少年化”していて・・・

「またか・・・」

と周囲は呆れ返っていた。


高木瑠美はデスクに放り投げたスマホを恐る恐る覗きこむ。

隣りのディスクの青木遥も一緒になってのぞき込んだ。


「なんだ〜!? 瑠美の寝顔じゃない!なんだか口開けて寝てるから・・・ まるで魂が抜けてるみたい!」


放り投げたスマホのホーム画面には口を開けて寝ている瑠美の顔が・・・


「彼のイタズラ?フフフ面白い彼だね!でも、自分の寝顔観て“オバケ”って笑える!」


瑠美はオフィスの対角線上に居る俺の事をキリッと睨みつけたが・・・

俺はオフィスの片隅で事の成行きを見守りながら、黙々と自分の仕事をこなしていった。


昼休みに俺のスマホにLINEが・・・

“帰ったら・・・ 覚えておきなさい!”

俺は平静を装って自分の仕事をこなしていった。


定時で帰宅すると・・・ 

瑠美が先に帰宅して部屋でエクササイズをしていた。

そう!俺と瑠美は会社には内緒で同棲していた。

「お帰り〜!もう、しんじらんな〜い!本当にオバケだと思ったんだから・・・」


「ゴメン、ゴメン!まさかあんな事になるとは思わなかったんだよ。」


「みんなに散々笑われたんだからね!」


「ところで、何やってるの?」


「見れば分かるでしょう?ヨガよ!今、ある動物のポーズをしてるの!分かるでしょ?」


「ウン、ウン?ミーアキャット?」


「違う、フラミンゴよ!」


「ふぅ〜ん?そうなんだ!」


俺はこっそり彼女のスマホのカメラを立ち上げ、一枚撮った。

そして今度はそれをホーム画面に・・・

そして俺のスマホから彼女へLINEを・・・

彼女がスマホを取ってそして俺を睨みつけた。


「いつの間に撮ったの?油断も隙もあったもんじゃないわね!もうロック掛けて番号教えないからね。」


「わかったよ!でも、俺のスマホもロックかけるからね!」

本当は俺のスマホにロックをかけるのが目的だった。

これで心置きなくお宝映像を集められる。

こころの中で俺はガッツポーズを決めた。


暫くすると・・・

彼女は疲れたのかソファーで横になってた。

もうイタズラが出来ないのが残念だか、彼女の寝顔を見ながらあるオマジナイを呟いた。


「木村文乃にな〜れ! 木村文乃にな〜れ!」


寝ていると思っていた彼女はぱっちりと目を開け、「無理、絶対に無理!」と呟いた。


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魔法の呪文 アオヤ @aoyashou

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