08話 人魚族!?
『助けていただいてありがとうございます!わたしは人魚族のリヴィアと言います。』
『姫様。少し落ち着いてください』
『でも、でも・・・』
水色の髪をなびかせた元気一杯の女の子がお礼を言ってきた。
物語に出てくる人魚そのものだ。そしてこの子は人魚族の姫みたいだ。
落ち着く様に人魚の姫を窘めたのは男性の人魚族だ。
「いえ、襲われていた様でしたので。俺はアデルと言います。4人は俺の仲間でレイカ、カノン、シズネ、ドランです。」
『みなさんもありがとうございます!おかげで犠牲者が出ずにすみました。よかったら人魚族の集落にいらしてください、おもてなしします!!』
折角のお誘いなので甘える事にする。
人魚族の集落は海の中なのかと思って不安だったのだがそんな事はなく浜辺に近い大きな洞窟の中だった。
人魚族の特性としてみんな擬人化が使える様なのだ。
これには俺たちはかなり脅かされた。
集落に着くと石のテーブルに案内される。今からさっきのサーペントを使った料理が出るみたいだ。
リヴィアさんにサーペントをもらっていいか聞かれたのだ。
俺たち5人とリヴィア、そして先程リヴィアを窘めたジンと呼ばれる男の人魚族が向かい合っている。
少し間を置いてリヴィアさんが再度礼を言ってくる。
『先程は本当にありがとうございました。人魚族の代表としてアデル様方に何かお礼をしたいのですが・・・』
うーん、確かに助けたがお礼と言われると困ってしまう。大層な夢はあるのに欲はあまり無いのだ。
「それなら今後も友好的な関係でいたいかな」
俺の夢の為には友好的な関係が望ましい。
『あのよろしいでしょうか?』
ジンと呼ばれる30歳くらいの人魚族が会話に入ってきた。俺はどうぞと言って先を促す。
『有難うございます。アデル様とレイカ様は人族とお見受けしますが他の方は違うご様子、なぜご一緒にいるのですか?』
まあごもっともな質問だ。人族と他の種族が一緒に居たら不自然だもんなぁ。
隠す必要も感じないので俺がこの世界に来てからの事を話す。
ジンさんは目を見開いてびっくりしているがリヴィアさんは『素敵です』とか言っている。
「というわけです!」
『なるほど、それで皆さんがご一緒だったのですね。姫様。私どもはアデル様方に救われた身、それに途轍もない力をお持ちです。友好関係を結ばせていただくのが良いかと愚考致します』
よかった!最初は難癖つけられるのかと思ったけど話のわかるいい人だ。
話がいい方向に向かい安心していると姫様が思ってもみなかった事を言ってきた。
『アデル様!!!!わたしはアデル様の眷属になります!』
え!?なぜ?
『姫様!それでは人魚族はどうするのですかぁぁ!?』
『これからはジンが人魚族の長です!わたしはアデル様について行きます。これは人魚族を守る事にもなるはずです!』
話がすごい事になった、人魚族と友好的になれれば良いなと思っていたがリヴィアさんが眷属になってついてくると言いだしたのだ。これにはジンさんも頭を抱えている。少し同情するな・・・
ジンさんは説得していたが、既に諦めている。
『私が止めても無駄でしょう。皆には私から説明しておきます』
こうしてすんなりリヴィアと人魚族が眷属になる事が決まった。
話がまとまったタイミングで料理が運ばれてくる。
久しぶりに味のする料理だ!!塩味だが・・・それでも美味い。
料理と同時に果物で作った酒も出てきた。
久しぶりだったので物凄くこちらも美味い、酔う事はなかったがみんなで騒いで宴会の様になってしまった。
こちらにきてゆっくりする事が無かったが久し振りに心休まる時間だった。
翌朝ジンさんが人魚族を集め、話の顛末を告げる。
意外なのは、「まあ姫様だしとか、姫様にも遂に春が来たか」とか否定的な意見が無いのだ。これには少し安心した。
『ではアデル様!お願いします!!』
昨日の段階で眷属化とスキル付与も話していたのでスムーズだ。
「眷属化、スキル付与!」
スキル使用と同時にみんなと同様光だす。光が収まると先程よりリヴィアが大人びて見える。
水色の髪も少し伸び、スタイルも抜群だ。
遅れて周りの人魚族も光りだした。収まるのを待ってステータスを確認する。
名前 リヴィア
種族 海神
影響値 1310万
属性 アデルの眷属
スキル 海淵世界
身体強化、空間収納、思考加速、自動治癒、魔力感知、魔力衣、飛行術、擬人化、水系統の全ての魔法を応用可能。
因みに他の人魚族も進化はしていないが強化はされている。
今ならサーペントにも攻撃は通るだろう。ジンさんだけ進化している様だ。
ジンさんは“海王”になっていた。
今ならジンさん一人で3匹のサーペントを倒せるだろう。
次はリヴィアに頼まれていた武器を作成する。
軽い武器がいいと言われていたので今回のイメージは“水”と“細剣”だ。
ゲームとかだとレイピアと呼ぶ事が多いかもしれない。
『
すき透る様な水色の細剣だ。
リヴィアに手渡すとその場でくるくる回って喜んでいる。
みんな明るい性格をしているがリヴィアは特に明るく元気だ。
天真爛漫とはリヴィアの様な子の事を言うのだろう。
「アデル様ありがとう!!大事に使うね!」
大分打ち解けて口調が軽くなった、これが本来の口調みたいだ。
姫の時は種族の代表として頑張っていたのだろう。
「気に入ってよかったよ」
俺がデレデレしていると、レイカたちが俺を睨んでくる。
「よ、よし!これでいいな。村も心配だし帰ろうか!」
必死に話を変えようと帰る事を告げる。レイカは未だ納得はしていない様だが気にしたら負けである、気づかないフリをする。
帰りはドランに乗って帰る事も考えたが、村の人達が怖がるので普通に帰る事にした。リヴィアは既に3人娘と打ち解けてキャピキャピしてる。
俺はドランと会話しながら歩いている。
すると目の前に異世界らしい光景が現れる。
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