第17話
ブレンダとその一味が警備員に連行されて行った後、ビビアンはおずおずとライオスに尋ねた。
「あ、あの...ブレンダはこの後どうなるんでしょうか...」
「障害未遂、婦女暴行未遂、犯罪教唆、まぁただでは済まんな」
「で、ですよね...」
「ビビアンが落ち込む必要は無い。これも全て自業自得なんだからな」
「そ、それはそうなんですけど...」
「昨日の今日でこの体たらくなんだ。少しでも温情を掛けてゆっくり処分しようと思っていた俺が甘かった...済まない、ビビアン...やっぱり害虫はすぐに駆除するべきだったな...怖い目に合わせて申し訳ない...」
頭を下げるライオスにビビアンが慌てる。
「ら、ライ! あ、頭を上げて下さい! お、王族が軽々しく頭を下げてはなりません!」
するとライオスは弾かれたように頭を上げて、
「フフフッ! 大分自然に俺のことを『ライ』と呼び捨て出来るようになって来たな。良し良し。いい傾向だ」
そう言ってとても良い笑顔を浮かべた。
「あぅ...」
ビビアンはまたも茹で蛸のように真っ赤になった。
「ちなみに、ビビアン。俺はこれからお前の家に行ってあの害虫どもを使用人含めて駆除して来るが、なにか希望はあるか?」
「あ、あの...出来ればお手柔らかにお願いします...」
するとライオスはため息を吐いて、
「ハァッ...あんな酷い目に合わされたってのに...ビビアンは優しいな...分かった。家から全員追い出すだけで勘弁してやろう。もっとも家を出て平民として暮らして行けるとも思えないし、獄中の娘ともども悲惨な運命が待っているだろうがな」
「あ、あの...家族はどうでもいいんですが...使用人の中にエマ以外にも私に良くしてくれた人達が居るんです...その人達が路頭に迷うことが無いようにして頂けると嬉しいです...」
「ほう、それは誰だ?」
「庭師のトムと御者のシドです」
「分かった。その二人以外は全員解雇するとしよう。紹介状も書かん」
貴族の家を解雇されて紹介状も書いて貰えないとなれば、まともな貴族の家で雇われることはないだろう。再就職に苦労しそうだ。自業自得だから仕方ないが。
「屋敷は信頼の置ける代官を置いて管理させることにしよう。さっき言ってた二人も引き続き雇うことにする」
「あ、あの...私が屋敷に戻るんじゃダメなんでしょうか...」
「今はまだダメだ」
「どうしてですか?」
「今に分かる」
そう言ってライオスは意味深に微笑んだ。
ビビアンは首を捻りながらも従うしかなかった。
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