パンケーキ、パンケーキ♪

第8話

「歌も歌い終えたし、リコーダーも吹いた。今日はここまでだね。明日は午後から行こうか。お弁当のデザートということで」

「そうしましょう。またね、有理紗」

「またね、テトラ!」

脚見せて良かった。これで、有理紗と過ごす時間や場所が増える。明日はパンケーキとやらを食べに行く。どんなのだろう?楽しみ。今日も流されないように海藻を巻き付けて寝る。お休みなさい。


今日も5時に起床。パンケーキが楽しみで早起き。いや、いつもこの時間に起きているけども。でも、ワクワクでもっと早く起きたかと思ったほどだ。今日も何事もなく起きられて良かった。仲間は流されたり、食べられたりという噂を聞いたことがあるから。寝ている間が少し怖かったりするのだ。今日も無事、有理紗と会える。

 パンケーキどんなものだろう、そればかり考えそうになるから、歌おう。朝の歌の稽古は欠かさずにやってきている習慣なのだから。2時間は瞬く間に過ぎていく。有理紗がやってくる。今日も歌を合図に私を呼んでくれる。

「~♫」

「~♫」

「おはよう、テトラ!」

「おはよう、有理紗」

「テトラ、悪いけど、お店まだ開いてないから開くまで、歌の練習しよう」

「いいよ。料理の用意に時間がかかるのよね。生でないものは大変なのでしょうね。料理してみたいな」

「テトラさえよければ、今度、私の家で何かお菓子作ってみる?」

「作ってみたい!!」

「わかった。じゃあ、お母さんに言っておくね。じゃあ、歌の練習しよう」

「しよう!パンケーキ♪パンケーキ♪ふわふわ♪ふわふわ♪」

「パンケーキの歌うたっている(笑)」

「だって~楽しみなんだもん~♫」

「楽しみなことまで歌で(笑)」

「パンケーキ♪パンケーキ♪」

「もう、オリジナル曲、作曲する時になってるよ~」

「パンケーキ♪パンケーキ♪パパんがパン♪」

テトラは結局ずっと、パンケーキの歌を歌っていた。


「そろそろ開店時間に近くなってきたから、歌終わりにしよ」

「いよいよ、パンケーキ!?やった~!!」

「いつもクールなテトラがこんなにもはしゃいでいる……ふふっ」

「だって……パンケーキもそうだけど……有理紗と出かけることができるから」

「テトラ……」

「ほら、有理紗、早く行こう一番乗りで行く気持ちで!!」

「そうだね! 人気の店だから行列できてるかも!!」

「すぐ、食べられないの!?」

「他にも人がたくさんいたら待つことになるかも」

「有理紗を待つことに比べたら大した時間じゃなさそうね」

「私、遅刻したことないよ~」

「違う違う。私がまだかまだかって有理紗が来るまでの時間の話よ」

「ずっと私のこと考えてくれてるのね」

「そうよ。だから大好きな有理紗といれば待ち時間だってあっという間ね」

「でも、なるべく待ち時間を短くする為に、走って行こう」

「待ってよ、有理紗。私が脚生えたの最近よ? まだ慣れないことさせないで。歩くのだってまだ慣れていないんだから」

「あぁ、そうだった、ごめんごめん。もっと早くに出れば良かったね」

「いやいや、私が夢中になってパンケーキの歌を歌っていたからね」

「私も覚えちゃったよ~。パンケーキ♪パンケーキ♪パパんがパン♪」


2人は手を繋いで、歩いてパンケーキ屋に向かった。

行列はできておらず、すぐに入店できた。

「すぐに入店できたね、テトラ」

「そうだね、ゆっくり歌も歌えたし、パンケーキも早く食べられるしで良い事尽くしね」

「いらっしゃいませ、ご注文お決まりになりましたらお呼びください。お冷です」

「ありがとうございます」

店員がメニューとお冷を置いて、奥に引っ込んでいく。

「氷を入れたお水をくれるの?」

「そうだよ、違う飲み物は注文しないといけないけどね。さぁ、テトラ何のパンケーキ食べたい? ジュースも頼んでいいよ」

「パンケーキにも色々あるのね……わぁ、気になるのがいっぱいある。ジュースもどうしよう。飲み物のことよね?」

「そうだよ。オススメはオレンジジュースかな。甘くて美味しいよ」

「じゃあ、ジュースはそのオレンジジュースっていうのにしよう。パンケーキは……まだ悩んでる。この生クリームたっぷりっていうのも美味しそうだし、苺ジャムたっぷりっていうのも美味しそう」

「たしか、苺ジャムってトッピングできたと思うから、生クリームたっぷりを頼むと良いよ」

「本当!? 両方食べられるの!? じゃあ、生クリームたっぷりのにする!!」

「わかった。私もそれにして、トッピングにマンゴージャムつけよう」

「マンゴーも美味しそう!! 味見させて!!」

「いいよ~。すみません~!!注文お願いしたいのですが~!!」

「はい、ただいま伺います!!……ご注文どうぞ」

「生クリームたっぷりパンケーキ2つに、それぞれ苺ジャムとマンゴージャムのトッピング、飲み物はオレンジジュース2つお願いします」

「かしこまりました。生クリームたっぷりパンケーキ2つに、苺ジャムとマンゴージャムのトッピングですね。出来上がりまでお待ちくださいませ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

渚の一時 シィータソルト @Shixi_taSolt

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ