第21話 序盤でやってはいけないこと
前の記事で『序盤が大事』ということは述べました。
とはいえ、どんな書き方でもOK、というわけではありません。
どんなシーンにも守るべきセオリーがあります。
序盤においては、悪手と言えるのは、『いきなり世界観を長々と書いている』パターンですね。
例として、
『○○王国が△△して~□□帝国が●●して~』
『▲▲平原において□□帝国が◎◎騎士団を率いて◆◆合戦において~』
など、そのような文章が十行も二十行も続いているパターンです。
これは普通にアウトです。
つまらない歴史の教科書みたいで、よほど文章力に長けた人か、あるいはすでに別作品を刊行していて、世界観が読者も分かっている場合を除き、避けるべきです。
それと、『不快な主人公』のパターン。
他人に悪態をつく。乱暴を行う。悪事と呼ばれる行為をする。
基本的にはアウトです。
前の記事で主人公の日常や性格を書いて、とありましたが、外道な主人公の場合は。説明に段階が必要です。
まず、主人公が外道に走るまでの経緯を描写。(元々は優しかったが、ひどい人間に非人道的なことをされたなど)外道な主人公は、『なぜ』そうなるのに至ったか、最低限の説明が必要です。
でないと、読者はただ「嫌な奴」「自分勝手な奴」と悪印象を懐いて、ストーリーが動き出してもあまりスムーズに読み進められません。
第一印象は現実はすごく重要ですが、それは物語においても同じです。
読者は基本、『最初に主人公に抱いたイメージ』を元に、読み進めていきます。
わかりやすい例で言えば、『このすば』でしょうか。
このすばでは、主人公のカズマは死んで女神のもとへ行きます。
そこでトラックに跳ねられて死んだと最初は思いこんでいるのですが、女神から「あなた、トラクターに轢かれて死んだと思い込んでショック死したのよ」と言われて愕然とします。
それはそうですよんr。
トラックではなく、速度の遅い乗り物、トラクター。さらには轢かれておかず、『勘違いでショック死』したという、なさけない理由です。
ここで読者は、「この主人公はちょっとアホだ」と認識をすると思います。
十代相応の少年らしい行動も思考もしますが、アレな部分もあるので、読者としては「こういうリアクションになるのかな」と少し期待も出来ます。
その後、カズマは女神を異世界に向かう巻き添えに選び、色々とゲスな言動もします。
が、そもそもアホな人だと冒頭で示されてしるので、どこか憎めません。
所々で苦労人器質、優しい部分も見せるので、愛嬌のある主人公として成り立っています。
もし、トラクターの下りがなかったら主人公のカズマに対する第一印象は変わっていたでしょう。
その後の、「女神を巻き添えに異世界に向かう」という展開も、ただの嫌な奴か、変わった奴、という印象に変わっていたと思います。
そのため第一印象はとても大切です。
『主人公がどんな人物か』、早い段階で描写しておくと、読者の理解が深まります。
また『舞台の説明』ですが、『このすば』では冒頭で女神が異世界に行く前に、「今からあなたにはこんな世界が~」と一通り説明してくれます。
そこから読者は、「レベルや冒険者がある世界なんだな」とすんなり入ってこれます。
女神がどんな性格か(自分の仕事はきっちりとする)、読者にさりげなく説明しているシーンでもあるので、ヒロインの説明と舞台説明、両立させているシーンと言えます。
これも、もしなかったとしたら、本作の印象は変わっていたでしょう。
以上のように、主要人物と舞台の説明をしっかりと描写する。
もし作品の欠点探しをする場合、まずこの部分を見直してみてください。
そして『商業作品と読み比べてみる』
これを行ってください。
きっと商業作品は、あるいは簡潔にわかりやすく説明していると思います。
次回、評価シートについての話になります。
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