第14話 売りやすい作品かどうか
小説としての完成度はもちろんですが、もう一つ、ある意味でそれ以上に重要な事柄があります。
それが、『売りやすいかどうか』です。
ライトノベルは『商品』です。ユーザー(読者)に買ってもらい、利益を出すのが根本です。ですから、内容が判りやすい、伝えやすい作品は有利となります。
ヒット作を例に説明すると、
例えば、電撃文庫で銀賞を授かった『ロウきゅーぶ』。
アニメにもなったのでご存知の方も多いかと思います。あらすじとしては、小学生の少女五人を高校生がコーチする――その中で成長やラブコメも展開していく、非常に伝えやすい内容です。
またタイトルも覚えやすく、五人の少女が登場するため、「どんな娘たちなんだろう?」「可愛い娘いるかな?」など、読む前に想像の余地を与えることにも繋がっています
他の例として、ファンタジア文庫大賞の『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』
ゲーム世界に行ったけど母親と一緒に冒険することになった――と、よくあるゲーム世界に転移した上で、母親も一緒という意外性を組み合わせたパターンです。
ゲーム世界を舞台とする作品は多々ありますが、そこへ意外性のあるものを入れることで未知の物語を作り出しています。
この二つの共通するのは、読んでいて面白いだけではなく、『読みたくなるようなあらすじ、キャッチコピー』かどうかですね。
ネットで作品を見かけた時、あるいは書店で本を見かけた時、大抵の人は数秒から数十秒でライトノベルコーナーを確認し終わると思います。
「あ、今月はこんなの出てる」「こんな作品があるのか」と思うことはあっても、きっと三十分も一時間も滞在しないでしょう。
時間が物凄くある場合や、目的があって立ち寄った場合を除き、多くの人は『数秒から数十秒で目を引く作品かあるか判断する。そうなると、帯びやタイトルに書かれたものが重要となります。
『その作品は、誰が、何をするのか』
それががはっきりと分かるものが、受賞作へ、ひいてはヒット作へと繋がるのです。
先の例で言うと、『ロウきゅーぶ』の場合、初めて書店で一巻が出た時には、「どういう意味のタイトル!? 何か可愛い表紙だ、買ってみよう!」と私は思いました。あの時の感情は、今でも覚えています。
『全体攻撃のお母さん~』の場合も、初めてそのタイトルを知ったとき、「ん!? どういう内容だ?」と思いました。
最終選考で大事なのは、それです。『人目を引き、興味を抱きやすい作品』であるかどうか。
文章力やキャラ、ストーリーなどが同レベルの場合、当然少しでも『売りやすい作品』が選ばれるわけですね。
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