第5話 体育祭に向けて
ロングホームルームの時間、先生から体育祭についての話が出た。
「あと1ヶ月くらいで体育祭が始まるので、出場競技を決めていきたいと思います。必ず1人1つの競技に出るように。じゃ、
「えー、何でウチがー」
「お前運動得意だろ?」
「関係ないわ!」
「先生は種目書いて行くから、九十九は立候補者を書いていってくれ」
「しゃーないなー」
ウチはしゃーなしで先生の手伝いをし始めた。
クラスのみんなとワイワイしながら参加する競技を決め行く。
毎年競技は若干変わる。
玉入れや騎馬戦、尻尾取り、障害物競走、仮装&借り物競争、大玉転がし、ムカデ競争など様々である。
クラス対抗の大縄跳びとリレーは毎年行なっている。
女子校の体育祭ではあるが、結構盛り上がる。
これから体育の時間は個人練習、クラス対抗競技の練習がメインになる。
「よっしゃ、これで決まりやな!」
ウチは全部に参加したかったんやけど、流石にダメみたいやし。
決まったんは、尻尾取り、騎馬戦、ムカデ競争となった。
騎馬戦とムカデ競争は
いつもの3人組+茉桜という感じだ。
体育の時間。
体操着に着替えて体育館に向かう。
授業が始まると、練習する人、適当な所に座ってお喋りを始める人、様々だ。
「
いつものように腕に巻きついてくる
「騎馬戦の練習からする?」
「そやな」
「黒内さんを呼んでこないと」
「叶彩〜行ってきてよ、最近仲良いみたいだし」
「はいはい」
体育館の端っこにちょこんと座っている茉桜の方に歩いて行って話しかける。
なんか学校で話すの緊張するな。
いつも放課後会うだけやし。
放課後...。アカン、思い出してしまうわ。
「見過ぎよ、キスしてほしいのかしら?」
「え!?全然見てへんし、してほしくもない!」
「ふふ、残念」
アカン、ウチは無意識に茉桜の唇を見てしまっていたみたいや。
思い出したせいや。
「それより、練習するしこっち来てよ」
座っている茉桜は何も言わずウチに向かって手を伸ばしてきた。
なんや、立たせて欲しいって事か。
ウチは茉桜の手を握り、立たせてあげる。
なんか、茉桜といるとペースが狂うというか、茉桜ってなんか独特の雰囲気があるな。
学校で見てる茉桜は物静かな美少女やのに、2人きりになったり、エッチな事をする時はなんか、大人びるというか、言いなりになってしまうんよな。
立たせた後はすぐに手を離す。
「ありがとう、叶彩」
「別に」
一緒に朱音と紫織が待っている場所に向かう。
「連れてきたで」
「ん〜、ありがとう叶彩」
「黒内さん、みんなで騎馬戦の練習からしようか」
「ええ、よろしく」
「まず、誰が上に行くかやな」
朱音、紫織、茉桜はだいたい身長は同じくらいだ、ウチだけ頭一個出てる感じやな。
「まあ、誰でもいいんじゃないかな」
「そだね〜、叶彩行く?」
「やりたい!」
「だと思ったよ」
「ね〜」
「ふふ、嬉しそうね」
「うん!やっぱ上乗って取りまくる方が楽しいやろ!」
そんなこんなでウチが上に乗ることになったのだが、朱音がへばってダメだった。
なので、朱音を上にしてウチが前で後ろ2人が茉桜と紫織になった。
その後の練習は安定感を出す為に工夫したり、動く時の注意点など確認して、体育の授業が終わった。
帰り道、4人で帰っていた。
朱音と紫織も少しやけど、茉桜と打ち解けてきたみたいや。
「叶彩〜、騎馬戦ごめんね。あたし力が無くて」
「気にしんでいいよ」
「言ってくれたらいつでもあたしの上に乗せてあげるからね〜」
「なんやそれ」
紫織はその会話を聞いて何やらメモを取りながらいつも通りニヤニヤしている。
「茉桜は思ったより運動神経いいんやな」
「ふふ、ありがとう」
「そういえば叶彩、いつから名前呼びになったんだい?」
「ほんとだ〜」
「まあ、いろいろあって」
「いろいろ?」
「な〜んか怪しい〜」
「なんもないって」
「まあ、そうゆう事にしとこうか」
その後家が1番近い茉桜とバイバイして、3人で帰った。
何日か騎馬戦の練習をして、次はムカデ競争の練習だ。
ムカデ競争の順番は前から朱音、紫織、茉桜、ウチになった。
当日は木の棒が用意されて、そこに紐が結んであってその紐を足首に結ぶらしい。
今はそんなもの用意されていないので、とりあえず並んで一緒に歩くって練習をしている。
ウチと朱音と紫織はゲラゲラと笑いながら練習している。
茉桜も小さく笑っている、つまらないわけではないようだ。
少し気になったので聞いてみる。
ムカデ競争の練習中に茉桜にだけ聞こえるよう小さな声で耳元で「茉桜、楽しい?」と聞くと茉桜がビクっとした。
「ビックリするじゃない」
「ん〜どうしたの?」
「何でもないわよ、気にしないで」
それ以降は特に何も無く、体育の授業を終えた。
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