第2話相対する強魔士

ミューフクール国立学園の建設を終え、間もなくしたある日の昼下がり。


ミューフクールの地に足を踏み入れた強魔士が一人、メヌルミ・ヌーハルは同僚となる人物のもとへと急いだ。


メヌルミが目的地に到着すると、円卓についていた男性が立ち上がり、会釈をしたかと思えば、小さなため息を吐いた。

「ご苦労さん、メヌ。あの頃から変わらないね、キミは。赤が好きすぎるよ、本当に。調子はどうだい?鈍ってないだろうね」

「余計なお世話だっつぅーの!轟いてないってぇ~のかい?私の話は」

「いやいや、そう言うことじゃないさ。外側そっち戦争はなしは、内側こちらと戦況が違うのも相俟って、噂の流れ方も変わるんですよ」

「随分と余裕だねぇ、二流のくせに」

「何とでも言っていればいいよ。それより、了承するんだね?このはなしに」

向かい合う彼は、澄ました顔のまま、本題にはいる。

「そうじゃなきゃ来てねぇよ!こんなとこに。面白くなりそうじゃない?の代わりになる奴を見極めるってぇのはさぁ~!面白い話には乗るだろっ!悔しいからじゃないのか?に一度たりとも勝てなかったのがさぁ、だから乗ったんだろこの話に」

幼い子供のように無邪気な笑みを浮かべ饒舌に話すメヌルミ。

「フフッ、変わらずにバカだよ。あいつに心酔する嫌いじゃない烈炎姫の強魔士、メヌ──メヌルミ・ヌーハルッッ!」


両者の豪快な笑い声が小さく冷えきった室内に響き渡り続けた。


メヌルミ・ヌーハルと彼は、雇い主であるミューフクール国立学園の長のもとへと向かった。

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