ハヤク
@Natori_Tubaki
わたシは蝶
わたシは蝶と呼ばれる生き物、自分で自分は蝶だなんて思ったことはないけれど、人はわたシを蝶という。
だからきっとそうなんだろう。
一度だけ、葉っぱに落ちてきた水に映った自分を見たことがある、醜い緑のぶよぶよがこちらを見ていて怖くなった。子供の時のことだ。
よくよく考えるとあれが自分だったのかもしれないと思う。
しかし今の自分はそれとは似ても似つかない美しい羽を持った生き物だ、もしかしたらあれは水の中にいた別の生き物なのかもしれない、それか今の自分だと思っているこの姿が実は何か別の生き物なのかもしれない。
しかしそれを確かめる方法はない。
だから気にしない。
そんなの気にしている暇はない。
今わたシは差し迫った死に対して抗わなければいけないのだ。
子孫を残さなければ、そうだ、私が生まれたあそこなら育つのに難は無い、安全だ。
そうと決まれば行かなくては。
早く。
疾く。
速く。
はやく。
ハヤク @Natori_Tubaki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ハヤクの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます