転生した世界はゲームみたいで案外楽しめそうだ

@kanikama0719

第1話

俺の生きるこの世界は本当につまらない。こんな世界でずっと生きるくらいなら死んだ方がマシなんじゃとも思ったことがある。よくある死んで転生して魔法なりドラゴンなりあるいわゆる異世界とやらに行きたいとか考えていた。あの事件が起きるまでは・・・


 俺は日本に生きる高校生「仁」。高校生活が始まってから3ヶ月が経った。友達とも仲良くなって充実した学園生活を行っていた。いつも通りギリギリ遅刻寸前で学校に着いた俺は友人と他愛もない話で盛り上がっていた。

「そういえばドラゴンストーリー進んでる?」

「もう全クリしたよ。簡単だった。」

「まじかよ。。。さすがゲーマーだな。まだ発売されて一週間しか経ってないぜ。」

今話してるやつは高校に入って初めてできた友人の「龍」。入学式の時に意気投合し仲良くなっていつも最新ゲームやアニメの話をしている。龍は世界的にも有名なeスポーツ選手らしくてゲームのことなら何でも聞ける頼りになるやつだ。俺もゲームは好きだし新タイトルはいつも事前登録して楽しみしているほどのゲーマーだったりする。予鈴のチャイムとともに担任のスサキが教室に入ってきた。ホームルームが始まりいつも通りダラダラとつまらない話を続けていた次の瞬間。

「ドゴォォォォォォン!!!!!」

大きな音とともに俺たちの意識はプツリと切れた。


 ふと気がつくと俺は知らないところにいた。全体に霧のようなものがかかっており薄暗い。そんな中を歩いていると、ポツンと佇んでいる一つの看板が見えた。

「右方向に進めばあなたが望む世界。左方向に進めば元の世界。君はどちらに進む?」

元の世界に不満しかなかった俺はもちろん右に進むことにした。三分ほど進んだ時扉が現れた。アニメとかゲームだとこの扉を開くといきなり上空で落ちていくみたいなお決まりのパターンを考えていた俺はそーっとその扉を開いた。すると応接間のような空間があり男性と女性が椅子に座っていた。

「どうぞお入りになって!」

優しい声で女性が俺に話しかけてきた。俺は言われるがままに対面の椅子に座った。

「初めまして。神です。まあ君のいた世界の神様とは親戚みたい立場でね。」

ん?今なんて言った?神?神様?俺は今この男が言ったことが理解できなかった。というか神様って俺らみたいに家族がいる感じなんだ。初めて知ったわ。その男は続けて話し始めた。

「君は元の世界ではなく望む世界を選んだよね。その世界の神が僕ってことさ。あぁ紹介が遅れたね。隣に座ってるのが私の妻。いわゆる天使だね。」

「よろしくね!」

うん何となく想像はついてたけどやっぱりそうなのか。でも思っていたような姿ではないんだな。もっと神々しかったり翼があったりするのかと思ったけど割と俺らと変わらない感じ。

「さて、本題に入ろうと思うんだけどいいかな?」

「はい。」

「君は残念ながら高校のホームルーム中にお亡くなりになった。若いのにかわいそうだね。そう思った君の世界の神様がチャンスを与えたかったらしくてさ。君ゲームが好きなんだって?それならちょうどいい世界がある。それが僕ん世界!レーバテイン!」

「この世界は君のいた世界のゲームが実現したところとでも行っておけばいいかしら。魔法だとかドラゴンだとか。あなたにはうってつけの世界だと思わない?」

「それはつまり俺は新しい世界に転生するってことですか?」

「そう!話が早くて助かるよ。あと一つ重要なこと言い忘れてた。元の世界で同じ時期に亡くなった人を一人だけパートナーとしてこの世界に呼べるけどこの中に誰か知り合いいる?」

そう言って神様はリストを見せてくれた。

「そんな都合よく知り合いがいるわけ、、、ってまじかよ。この龍って名前のやつはもしかして俺と同じクラスだった人ですか?」

「そうだよ。そのこにするかい?この子はすでに天国に行こうとしているから呼び戻すなら早い方がいいよ。」

こいつも同じようにゲームが好きだった。そしたら一緒に転生しても怒んないだろう。

「お願いします!」

「よしわかった。そしたらこれから転生の手続きに入るね。能力とかはあっちに着いてから自分で決めてもらうとして顔とかなんか変えたいものある?」

「そう言われても、、、特にはないです。あ、ちょっとだけカッコよくしてもらおうかなw」

「わかった。じゃあ顔面偏差値だけ上げとくね!じゃあせっかくの新しい命存分に楽しんでくれたまえ!」

神様がそういうと次第にモヤがかかり始めた。俺は転生の瞬間を今か今かと楽しみにしていた。モヤが晴れた瞬間俺は度肝を抜いた。巨大な龍が空を飛び大地には見たこともない木々が生い茂っている。水は七色に輝き世界は昔いたところよりも鮮やかに輝いて見えた。


 俺は転生したんだ。


ぼんやりとそんなことを考えていたら後ろからポンポンと足を突く何か。柔らかくてふさふさした毛がある。後ろを振り返るとそこには猫のような生き物がいた。

「え?何だこいつ。こっちの世界のモンスターなのか?俺倒し方とか知らねーんだけど。」

「お前、仁か?」

頭の中に声が聞こえた。それは紛れもない龍の声だった。

「え、、、龍なのか?」

「おう。なんか天国に行くって話だったと思うんだが気づいたらこんな知らん世界にいたんだが。」

「あ、すまん。俺がお前をパートナーとして呼び出しちまったんだ。なんか転生しないかって誘われてさ。龍ゲーマーだったじゃん?こっちの世界でもそのスキルが役に立つんじゃないかって思ってさ。」

「全く自分勝手なやつだな。でもまあ仕方ないか。この世界もさっさと攻略しちまおうぜ。」

龍はそういうと四つある足をうまく使いながら歩みを進め始めた。俺たちの本当の冒険が幕を挙げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る