【続編あり】「センパイ、遊んでください!!」【完結】
ひよこ🐣
「センパイ、おはようございます!」
「………ん…っ」
ピピピピピピッ、とわたしの頭上で頭に鳴り響く携帯のアラームの音。
布団の中に入らながらモゾモゾと携帯を手探りで探す。が、なかなか見つからない。
おい携帯どこだよ。
「……………ッチ。……くそ…」
女らしからぬそんな言葉を口にしながら私は携帯を何とか手に取る事に成功した。まだ寝ぼけ眼なまま携帯の電源を入れて時間を確認する。
「…………あれ?」
時刻は7:41。
いつも起きている時間は7:00。40分程も時間が過ぎている事になっている。
なぜ? と首を傾げて私はハッ、と息を飲んだ。
昨日の夜、あまりにも眠過ぎて少しだけいつもよりも遅めにアラームを設定したのだ。
その際にきっと間違えて7:40分に設定したのだろう。
アラームを設定する時なんて上下に指をスライドさせればいいだけだからミスってしまったのだろう。眠かったし。
…っていうか!!
「センパイ待たせちゃうじゃんん!!!」
そう叫んで私はベッドから飛び降り、急いで制服に着替える。
着慣れた制服に身を包み、私はバッグを持つ。中身は眠過ぎて変えられなかったため、昨日のままだ。しかしそんな事を気にしている時間はない。
部屋を出て、ドタドタと階段を降りる。
「あれ?
「ママ!! ボケるのはもう少し先にしてもらえるかな?!」
私はもうボケてしまったママにそう言い、洗面所へ駆け込む。
バシャバシャと顔を洗ってもふもふのタオルで拭き、歯を磨く(本来ならうがいをしてご飯を食べ、それから歯を磨くのだが今回はご飯抜きのためうがいは省く)。
歯を磨きながら自分の顔のチェック。
睡眠時間はしっかりと取れていたおかげか顔色は良い。二重の調子もいいしクマもない。不幸中の幸いという訳か。
私はガラガラとうがいをして歯磨きを終わらせ、髪を整える。
本来ならゆるふわカールにする所だが、残念ながら今日は寝癖を直すだけになりそうだ。
「優良〜、ご飯は?」
「今日は抜きにする!」
「でも食べないとお腹持たないでしょ? ほら、ゼリー飲料。持っていったら?」
「母上、神か。ありがとう!」
寝癖を直している私を横目にママはバッグの中にゼリー飲料をひとつ入れてくれる。あれでおにぎり一個分。ないよりはマシである。
寝癖を直し終わり、私はバッグを片手に靴を履く。
「それじゃママ! 行ってくるね!」
「うん、行ってらっしゃい」
私はそう言って靴を履き終える。
起きてここまでの時間、約20分。もう時刻は8時になってしまう。
学校まで遠くはないがいつも7:50分程に家を出てセンパイと登校している為、10分もオーバーしてしまっている。
センパイ…いないだろうなぁ、と内心泣きながらドアを開ける。
「おはようございます、結城さん」
「え…っ!」
「今日は10分遅刻ですね。寝坊でもしましたか?」
「センパイ…! えっ、なんで? 先に行ったんじゃ…」
「おや? 僕がそんなに酷い人に見えますか?」
「悲しいです、しくしく」と言っているセンパイとは正反対に私はハッ、と我に返る。
「そうだ! センパイ! 急ぎましょう! もう10分もオーバーしてますよ!」
「ふふ。そうですね、急ぎましょうか」
センパイはどうしてこうも余裕そうなのか。
そんな事を思いながら私は学校まで全速力で走り、遅刻ギリギリでなんとか間に合ったのだった。
もちろんセンパイも走っていたが私の先で、しかも私の事を気にかける余裕があったため、きっとセンパイ一人で行けば遅刻ギリギリレはなかったであろう(そもそも私と登校する日課がなければ走る必要もなかったのだが)。
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