I'm Crazy for U
霜月このは
プロローグ(1)
ライムで濡れた人差し指に塩を乗せる。ぬるっとした舌がそれをさらっていく。
「ちょっと、何すんの」
「ごめんごめん、間違えた」
言い訳にもならない台詞を吐きながら、
「足腰立たなくなっても知らないからね」
「大丈夫だって」
周りを見渡せば、私の他のメンバーは、ほとんど、とろんとした目をしている。同じペースで飲んでいるというのに、アルコールの耐性はなぜこうも違うのか。
私は大学一年生で初めてお酒を飲んだときから、同期の誰よりも強くて、みんなが早口になったり顔を赤くしたりするのを、いつも冷静に眺めていた。
楽しめないわけじゃないけど、アルコールに強すぎるのも考えものだ。大体酔っ払いの世話をするはめになるし、何より酔おうと思うとコスパが悪いのだ。
「
「えー、やめてよー」
いい感じにできあがった柚月と実希がじゃれている。実希のおっぱいは推定Fカップはあるので、仕方ない。あの柔らかそうなおっぱいは、ヘテロの私でも触りたくなる。
「
「美夜こそ、どうなの」
亜弓と
ここは別にクラブとか居酒屋とかでもなんでもなく、私の住んでいる賃貸マンションの一室だった。大学生の一人暮らしのくせに、無駄に広いファミリー向けマンションに住んでいるから、私の部屋はいつもみんなの溜まり場になる。
キッチンもお風呂も、みんなの実家と変わらないサイズだし、部屋もリビングの他に二部屋ある。だから泊まったり、みんなでご飯を作って食べたり、こんなふうに飲んだりし放題というわけだ。
つくづく、いいご身分だと思う。ただ勉強をしていれば、それだけで許されて、働かずに遊んでいられる。それが時々つらくなることもあるけれど、私たちは確かに青春を謳歌していた。
「しかし、実希が帰ってきて安心したよ。
柚月がそんな聞き捨てならないことを言う。
「えー、柚月が寂しがってたんじゃん。失礼な」
今日は、交換留学から帰ってきた実希の、無事の帰還をお祝いする会だった。実希は五人分のショットグラスと、帰りに旅行で寄ったメキシコ土産のテキーラを持ってきた。他のメンバーもそれぞれ、おつまみやらお酒やらを持ち寄って、私の家でどんちゃん騒ぎをしようというわけだった。
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