レベッカを探せ 4 〜キング一家の旅 6
「へぇ~…こいつらか?『ノマード王国』行の船に乗りたいって連中は?」
まるで海賊のようなトリコーンハットをかぶり、ダブダブの白シャツに膝まであるロングブーツの中にトラウザーを押し込んだ男が目の前に立っていた。
年の頃は40代頃と見える男は巨大な帆船を背後に、俺たちを値踏みするかの如く、じろじろと無遠慮に見渡してくる。
全く…仮にも王族である俺を不躾にじろじろと見やがって、気味が悪い。
「ええ、どうです?船長。この3人を『ノマード王国』のある西の大陸まで一緒に乗せやって下さいよ。船代は払えませんが、どんな汚れ仕事まで喜んで手伝うって言ってますぜ?」
俺がヤキを入れて船を見つけさせた船員が船長の隣に立ち、とんでもないことを言っている。
何だって?汚れ仕事だと?
アイツ…今までの恨みでも晴らすつもりであんなことを船長に言ってやがるのか?
「ふむ…成程。汚れ仕事も引き受けると言っておるのか。それはなかなか良いかもしれないな…」
「はぁっ?!」
「え?!」
「何だとっ?!」
あまりの発言に俺たちは同時にハモってしまった。
この船長…一体何言ってやがるんだ?まさか、俺たちにとんでもない仕事をさせようと考えているんじゃあるまいな?
「な、なぁ…ランスや…あの船長、よく見れば何やら怪しい格好だと思わぬか?」
ロリコン親父がクズ兄貴に向かって小声で囁いている。
「あ、父さんもそう思う?実は僕もさっきからそう思っていたんだよね?」
「ああ、そうだ。あの船長…もしかしたらもしかするとアレかもしれんぞ」
「うん。まさにその通り。どう見てもアレにしか見えないよ」
こいつら…俺の存在を無視して、隣でコソコソと2人だけで話をしやがって…。
しかも何がアレだ?アレなんて言葉を濁さずにはっきり言えばいいじゃないか。
大体この2人はビビりだから、まるで海賊のようだとは恐ろしくて口に出せないのだろう。
「よし、品定めは終了だ。そこのお前は他の2人よりも使えそうだな。まぁ例え使えなくても人数は多いに越したことは無いからな。よし、それじゃ俺の船に案内しよう!3人ともついて来いっ!」
まるで海賊のような船長が俺たちを顎で指図しすると、ずんずん港を歩き始めた。
「何っ?!この船ではないのかっ?!」
慌てて後を追いかけながら船長に声を掛けた。
てっきり背後に停泊している船がこの怪しい海賊もどき船長の船だとばかり思っていたのに?!
「はぁ?何とぼけたことを抜かしているのだ?俺たちの船はあんな代物ではないぞ?」
船長はこちらを見ることも無く、大きな声で笑う。
その反応…つまり、この船長の船はもっとすごいと言う事なのだろう。
これは今から船を見るのが楽しみだ。
そして俺は…いや、俺たちは案内された船を見て…言葉を失うことになる―。
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