レベッカ一行の世界漫遊の旅 4 (母を求めて?千里? 3)

「あの、やはりサミュエル王子をいつまで1人きりにしておくわけには行かないので、一度地上に戻りたいのですけど…」


言いながらチラリとミラージュを見た。

私は外界に降りたいけれども、ここはミラージュの故郷であるドラゴンの国。ひょっとするとまだ残りたい気持ちのほうが強いかもしれない。


「そうですね。一応お祖父様とお父様には会えたのですから外界に戻りましょうか?」


ミラージュの言葉に驚いた。


「えっ?!嘘でしょう?ミラージュッ!私に気を使う必要は1つも無いのよ?」


「私はお2人の行く場所なら何処へでもついていくだけですからお気遣いなく」


ナージャさんが口を挟んできた。


「ねぇ、ミラージュ。ここは貴女の故郷なのよ?しかも生まれて初めてお祖父様とお父様に会えたのよ?それなのに、もう外界に降りていいの?もしかして私に気を使ってそんな事を言ってるんじゃないの?私とナージャさんは先に外界に降りているから、ミラージュはここに4〜5日滞在したらどう?私達は貴女が戻ってくるまで待っているから」


私はミラージュに最低でも数日間はここに残って貰いたかった。何故ならミラージュパパが恨めしそうに私を睨みつけているのだから!


「まぁ?何を仰っているのですか?私に取って血の繋がりなんて些細なもの。レベッカ様との関係と比べても、比較する価値もありません。私は片時もレベッカ様から離れないと心に決めているのですから」


すると…。


ピクリ


ミラージュパパの肩が動き、口元に笑みを浮かべてはいるものの眉がますます上がっていく。


こ、怖い…。

子供のような外見をしているけれども…この人は…520歳のドラゴンなのだから!

いくら私でもドラゴンに目をつけられればたまったものではない。

私には分かる。この人には…とんでもな力を秘めているということが。


「あ、あのね…。ミラージュ…」


すると…。


「いいではないか、ミラージュ。レベッカ様と一緒に下界に降りたいのなら降りれば良い。セネカ、お前も異論はないだろう?」


長老様がミラージュパパを見た。


いやぁぁあああっ!な、何て事を長老様は言うのだろう!


「…わかりました。父がそう言うのなら…。こちらも同意するしか無いでしょう。ただし…1つ、条件がある」


ミラージュパパは腕組みすると言った。


「条件?一体どんな条件なんですの?」


ミラージュは尋ねた。


するとミラージュパパはとんでもない事を言ってきた。


「この私も、娘の旅に同行させて頂く!それならミラージュがここを出ていくのを認めようっ!」


「「「ええええ〜っ!!!」」」


私とミラージュ、ナージャさんの驚きの声が空に響き渡った―。



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