第490話 大乱闘
BB弾みたいなもんか? 結構硬いな。まあ、確かに遊びのオモチャにしても、人に向けて撃ちまくっていいもんじゃねえな。
「な、あ、えっ? どういうことだ?」
「お、俺の愛銃がーっ!」
「げえ、マガジンまで、ってどこ行くんだ! とととっと、飛んでった!」
「これは、磁力発生装置か? 武器だけが引き寄せられてる!」
ほ~、サブマシンガンなんて前世の映画ぐらいでしか見たことねえが、結構弾が入ってるな。これだけで四十連発撃てそうだな。
それに、こっちは、ドラムマガジンか。いいね~、面白い。
「へ~、ヴェルトくん、ふっきれたんだ?」
「コスモスに泣かれちゃーな……ついでに言えば、紋章眼が暴走でもしたらとんでもねーことになるからな」
「ふ~~ん、ま、僕はチビちゃんはどうでもいいけど、でも、今は憂さ晴らしに付き合いたいかな?」
会場中から没収したサブマシンガンを両手に構え、余った分は空中に浮かせて、自動でトリガーを引く。
BB弾を撃ち終わったら回収して、マガジンに詰め直して繰り返す。
「そんじゃ、いくぜ、赤ヘル軍団。ふわふわエンドレスショットッ!」
「「「「「ぐわっぎゃあああああああああああああああっ!」」」」」
正に俺の気分次第でいくらでも続く銃撃戦の始まりだ。
「うそっ! な、なんで、銃が浮いてるの? あいつ、一体何者!」
「にゃっは、どうなってるの!」
「姫様、あの者は一体! アッシュ姫とのパフォーマンスに出ていましたが………」
おおおお、我ながら恐ろしい技だ。
しかも、その気になれば、銃を自由に飛行させて、テロリスト軍団を追尾させて後ろからだったり真正面からだったり、至近距離から撃ちまくる。あんまり逃げ回られるようなら、テロリスト共自身を浮かせて止めて処刑する。
「くはははははははははは! オラオラオラ、逃げろ逃げろ逃げろーっ! おもちゃで遊んでおもちゃに殺される、本望な人生だろうが! つか、防弾チョッキ着てるんだからそこまで痛くもねーだろうが」
これは、良い子は絶対真似しちゃいけない技だな♪
「あ~あ、いいな~、ヴェルトくん、僕も遊ぼうかな?」
「貴様らかッ! 複雑怪奇な現象を利用して、我らの革命を邪魔するのは!」
「ん?」
そして、そんな時、な~んか「俺は強い」的な口調でステージの上にテロ集団の一人が登ってきやがった。
まあ、無視で。
「にゃっは! あんたは……確か、『ネオカンフー道場』に居た!」
「……お久しぶりです、アッシュ姫」
フルフェイスの赤ヘルのグラス部分を上に上げて目と鼻だけを晒した男。な~んか、アッシュとかいうのと知り合いみたいだけど、無視。
「どうしてあんたが!」
「アッシュ姫。私もレッド・サブカルチャーの思想に賛同したまでですよ」
「そんな、にゃっは分からないよ! 精神と忍耐をにゃっは鍛えるネオカンフーを、どうしてこんなことに?」
「私は、生まれる時代も世界も間違えたからです」
「えっ?」
「スーツなんかに頼らずに鍛え上げた、この肉体! 拳! そして技術に力! それを試す場もなく、ただただ修練の日々! 試合も所詮は相手に怪我をさせぬような寸止め。私は、自分の力を試したい! 試す場が欲しかった! 政府は戦争が終われば、すぐに格闘術もルールを厳重に定めて、今ではお遊戯にしかならない見世物と化している! それが私には許せないのです!」
無視。
「この、肉体こそが全てを掴むための最大の武器にして道具となる。さあ、そこの男二人よ! 何者かは知らないが、私が本気の拳を人に叩き込めばどうなるかを、試させてもらおうかッ!」
「にゃっは待って!」
「待ちませぬ! ホアチャアアアアアアアッ!」
あ~、可哀想に。俺に向かってくれば、優しく、ふわふわ技で失神させてやったのに。
そっち行っちゃったか………
「うるさくない?」
「へぶほおおおおおおおおおおおおおっ!」
ジャレンガがその場で右手のギプスでそのまま、誰だか知らん男の頭をヘルメットごと叩き割った。
「ほごおおおお、ひっぎゃあああああ、ぐっ、わああああ!」
ヘルメットで助かったんだろうが、割れてるよ。頭からも血が溢れて、すげ~痛そう。
「えっ、にゃ、にゃっは?」
「ひいいい! ななな、なんでしか、あの人!」
「嘘でしょ! ヘルメットごと叩き割るなんて、なんてパワーなの! スーツも着てないのに!」
いや、パワーとか、もうこの世界の基準で図るのはやめろ。もうさ、そいつは別格だから。
「ねえ、拳の威力試させてって、人を殴ったこともないのに何でそんなに自信満々なの? なんで? 教えてよ。さもないと、頭だけじゃなくて、腕も潰しちゃうよ? あっ、踏んじゃった」
「ぴぎゃああああああああああああああああ!」
「にしても、人間に近い生物とはいえ、骨脆くない? あっ、左腕も折っちゃった」
「へぶりゃああああああああああああっ!」
あ~あ、可哀想に………
「ぱっぱ、ぱっぱー! あのひと、いたそう! レン君止めたげて!」
「ん? コスモス、レン君って………ジャレンガのことか? なんだ、その可愛い呼び方は」
「おい、貴様ら、よくもーーーーっ!」
って、次から次へとなんだ~?
この会場には各国の首脳的なのが集まってるとかって噂だったのに、どんだけ警備が雑魚くてザルなんだよと言わんばかりに警備網を突破した赤ヘル軍団か次々とステージに上がってきやがった。
「くそ、もうちょっとで占領で来たってのに、邪魔しやがって!」
「どこの国のもんだ! 見たこともねえ服装しやがって!」
「だが、このままじゃ終わらねえ。せめて、姫を一人でも捕まえて人質にしてやる!」
邪魔。
「ふわふわパニック」
「「「ふぎゃあああああああああああああああっ!」」」
「月散」
「「「どわああああああああああああああああっ!」」」
なんだ、この脆すぎる連中は。
「な、に、なんなのよ、どうなってるのよ! 手品?」
「あらあら、こんなことになるなんて」
「本当に、何者なのかしら? あなたたちも本当に知らなくって?」
むしろ、電磁パルスとか余計なことしないほうが良かったんじゃねえか? 自分たちも未来武器使えなくなってんじゃねえかよ。それで、俺とジャレンガ相手とかって………
「おい、どうすんだよ、なんだよこの化物たちは!」
「もうすぐ、電磁パルスの効力も切れる。ほかの政府高官は? 国王は?」
「ダメだ、さっきの混乱で誰も人質に取れねえ。みんな、もう逃走の準備してる!」
「幹部連は!」
「もう、ここは見限ってるよ。次の作戦に移るって!」
「ぐっ、ぐぬぬぬぬぬぬん、な、なら!」
おっ、可哀想なぐらい追い詰められた、逃げるタイミングも逃した赤ヘル軍団たちの空気が変わった。
どこか、覚悟が決まったかのような空気を感じる。
「なら、どうせ捕まるんなら好き放題してやる! 死ぬ前に一度でもいいから……ヴィーナス8のおっぱい触ってやる!」
そう来たか!
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