第279話 エンジェルとロイヤルのおっぱいとキスの後は回し蹴り
「ふ、ふふふふ、私なんてお酒の力を借りてようやくできたのに、さすがね、エルジェラ皇女。でも、負けないわ」
「アルーシャ姫。もう、勝敗ではないと思います。もう、いいではありませんか」
「そうね、戦うべき相手はここに居るのだからね」
俺を挟んで、何を好敵手同士が共通の敵と戦うために共闘するみたいな会話してんだよ。
「エルジェラ皇女……コスモスちゃんは……」
「大丈夫です。グッスリ眠っています」
「そう……なら……多少激しい夜になっても起きないということね?」
「ええ。……ふふふ、なんだか照れますね」
「そうね。私も初めてが二人一緒にってなるとは思わなかったけど……ヴェルト君……これから行うことに関しては、絶対にノーカウントにはさせないからね…………」
「ヴェルト様、どうか私たちに……」
「昨日の続きよ………おかわりなら、いくらでもしていいから……この瞬間だけは、ね?」
「ヴェルト様……不束者ですが、よろしくお願いします。どうぞお好きなだけ私たちを召し上がってください」
もう、二人の感覚がブッ壊れすぎて、俺もブッ壊れそうだ。
「…………お前ら、一体なに……」
一体ナニをしようとしていると言おうとした瞬間に、両サイドからの同時攻撃を食らった。
「君に兄さんのような鈍感空耳キャラ路線は無理よ。変化球なしの剛速球で……お……おおお、おそ、襲っちゃうんらから!」
「どうか今宵は、お情けを……ヴェルト様と契を交わさせてください」
って、二人は急にゴソゴソしだした。
「ちょっ、テメェら! おい!」
「君も、コスモスちゃんを起こさないように、ゆっくり、ね」
「ヴェルト様、失礼します! よいしょっ。ヴェルト様……手を、こちらへ」
どんどん顔から蒸気を発生させながら、エルジェラが俺の右手を掴んで、自分の背中を通して回り込ませるように、自分の右胸に俺の手を置かせっ! っ! っ!
「ヴェルト様…………わかりますか?」
「エルジェラ、あ、あの、いや、おま」
「心臓は左胸にあるのに、右胸からでも分かってしまうくらい、鼓動が大きく早まっています」
「………あ」
「……この胸はコスモスとヴェルト様のもの……どうか、お好きなように……」
手が吸い込まれるように、そして離れねえ。エルジェラの心臓どころか、俺の鼓動まで聞こえてくる。
服の上からでも分かる、柔らかさ、弾力、そして温かさ。
エルジェラは恥ずかしそうにしながらも、それでもニッコリと俺に笑顔を見せ続けた。
「やはりです。先ほどヴェルト様に胸を押し付けた時から……私の中で込み上げてくるものや、懐かしい思いが……ヴェルト様、もっと強く……」
「い、ひゃ、あ、あにょ」
おっぱ! 二年ぶりの、お、お、おっぱ、おっぱ、おっぱらりぁ!
柔らかい! ナニコレクッションマクラ!? なんじゃこれはぁ!?
「もどかしいです……あの、脱ぎますので……その直に……」
エルジェラさん、ここはお風呂ではありませんけど、ナンデヌイデルノデスカ!?
美術館ですか?! 芸術じゃねえのか!? 分かんねえけど、世界遺産!
いや、これは美術じゃねえ。お菓子? ぷるん? 震えるプリン?!
「ヴェルト君、こっちも見なさい! もういっかい、キスするから。んんっ!」
「ふぁむっ!?」
エルジェラの胸を堪能しながら、俺は隣から首を掴まれて、了承する間もなく、もう一度唇を塞がれた。
今度は、さっきまでの口内を舐るようなものじゃない。チロチロとぎこちなく、お互いの舌を軽く接触させるようなキス。
「ふふ、セカンドキッスよ」
「お………おお」
数秒の無呼吸の後に顔を離したアルーシャは、トロンとした顔でしなだれかかった。
「ヴェルト様、もっと……もてあそんでくださいませ」
「ッ!」
「…………ヴェルトさま…………ん、体の芯まで、痺れてしまいます」
エルジェラが俺の右手に手を重ね合わせて軽く上下左右に動かした。
だが、俺が何かを言う前に、少しムッとした顔のアルーシャが、また俺の首を振り向かせて、唇を重ねてきた。
「サードよ。ふふ、んん、ん、これで、フォース。フィフスき……ん、すき……すき! キス好き! キスキ! でも、もっと、君が好き!」
「ん、アル、シャ、ん」
「ん、きみから、も、してくれないの? 私一人で、食べちゃうの? モグモグひとりじめ? もっと」
幸せそうに微笑みながら、何度も何度も呼吸の度に口を離し、酸素を吸い込んだら、また重ねてくる。逃れようとする舌の動きを逃がさないかのように追いかけ、絡みつき、頭が変になっていく。
「ぷはっ……ヴェルトくん……私、大きさでは負けるけど、形には自信があるの」
「ッ!?」
俺と混ざり合った唾液で口元を怪しく濡らして微笑むアルーシャは、上着を投げ捨て、そしてゆっくりとシャツのボタンを外して、王道の白い高級感漂う刺繍の施されたブラを見せ……
「フロントホックなのだけれど……君が外してくれないかしら?」
「え、な、ナンダソレハ?」
「あら、女の子とキスしたりイチャイチャしたり乳房を揉んだり舐められたりりの経験がある君でも、女の子のブラを外したことは無いのね。君の初めて、私が奪っちゃったわね♪」
フ、フロントホックって、前にホックがあるから外しやすいと思うんですけど、人に外させるとはこの女は一体……
「ほ、ほら、ココよ、ね、片手でも外せるわ」
「ふぁああああああああああ!?」
右手がエルジェラの胸でふさがってるけど左手が空いているので問題なしということで、俺とアルーシャの共同作業でアルーシャの……お……おぉ……思わず綺麗だと言ってしまいそうに……
「どう?」
「きれい……って、わ、言っちまっ……!?」
「言質取ったわ! 君のものよ! さぁ! さあ! 食べ比べ味比べよ!」
コスモスが寝ているのをいいことに、俺たちは何を…………
「まさかの………エンジェルビッチとロイヤルビッチに戸惑ッん!」
「んっ! ん~~、ん! ぷはっ。ふふ。そんな風に言って、私たちを怒らせて、場をウヤムヤにしよう作戦には誤魔化されないわ」
「あ、ヴェルト様……♥」
俺は、どこかの国の王様なのだろうか?
それとも成功した成金野郎か?
美人の女を両脇に侍らせて、二人の生乳を揉み比べ食べ比べ、口直しにキスされる。
「ヴェルトくん……そろそろ……」
「ヴェルト様、火照りが止まりません……」
ああ……もう、アレだ……ムリだ……これはもう……ムリだ……俺だって男だ……
「ヴェルト君……生まれ変わっても好きよ…………大好き」
「ヴェルト様………私は、あなたのエルジェラです」
ああ、もう……もういいか……ここまでされて、俺ももう……フォルナ……ウラ……ッ!!!!????
「あっ………」
「………あっ………」
その時、俺の目の前に、いや、俺たちの目の前に、無表情の顔で目を丸くしている、銀髪の魔族のお姫様が立っていた。
「ウラ…………」
「えっ? あ、きゃっ!」
「まあ、ウラさん。どうされたのですか?」
のほほんと落ち着いているのは、エルジェラだけ。
アルーシャは酔っ払いながらも、正気に戻ったかのように半裸になった自分の姿をシーツで隠した。
「その…………明日以降のことについて………話そうと…………」
呆然としたまま立ち尽くすウラは、言葉がうまく出てきていないようだ。
俺も言葉が何も思いつかねえ。っていうか、なんだ? 愛人を連れ込んでいるところを妻に見られたような感覚って、こういうもんなのか?
「………すまん………エルジェラ……邪魔をした………」
震えた肩と唇でそう呟くと、ウラはすぐに俺たちに背を向けた。
そして…………
「すまん……本当に……私は、お前のことを覚えていないが……色々と勝手に勘違いしていた……」
それは、俺に向けた言葉なのか、自分に言い聞かせた言葉なのか分からないが、ただウラはそう呟いて、俺を突き放すように言葉を放った。
「すまん。………もう二度とお前の前に現れない」
これは、なんかまずい!
「って、ちょ、待っ―――――――ッ!」
「私に近づくなッ! ゲス男め!」
俺は即座に立ち上がってウラを捕まえようとした瞬間、なんか後ろ廻し蹴りが頭部にクリティカルヒットし、そこで俺は意識を完全に失った。
朝になったら、『しばらく一人になりたい。探さないでください』と書き置きだけ残して、ウラの姿がスモーキーアイランドから完全に消えていた。
誰も気づかず、ウラの家出を許してしまい、泣き崩れるロイヤルガードたちを見ながら、俺たちの間に気まずい雰囲気が流れていた。
発情アルーシャは二日酔いでブッ倒れていたが、自分が暴走したせいだと、かなりの責任を感じたようだ。
そして、さっそく先生との約束を破っちまった俺は、かなりの勢いで凹んでいた。
廻し蹴りをされた直後に、一瞬だけチラッと見えた、ウラの泣き顔がいつまでも頭の中にこびりついていた。
記憶を失っているとはいえ、ウラの目の前で他の女二人の乳揉んでキスしているシーンと遭遇させちまって……
俺は……
言い訳できねえほどのクズ野郎じゃねえかあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
――第八章 完――
これにて、第八章完です。さて、次章はウラの章になります。ゲスクズ現場を目撃されたヴェルトはどうするか? 第八章では転生組たちの絆、娘、新たな弟を得た所で、こんなことになりましたが、引き続きよろしくお願いします!
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