悪友で親友で俺の大切な幼馴染(♀)

ロタ

俺の悪友で親友で大切な幼馴染

放課後、次々と生徒達が帰る中、俺、檜山当夜ひやま とうやも駐輪場から自分の自転車を引いて帰ろうとしていた。

そんな時、首と背中に急な重みが加わった。

「とーや♪」

振り向かなくても分かる。

後ろから幼馴染である深山日向みやま ひなたが抱き着いているのだ。

俺は深く溜め息を吐き、顔だけ後ろに向けると、イタズラを成功させた悪ガキのような笑みを浮かべる幼馴染がくっついていた。

「ひな、いつも言ってるけど、幼馴染とはいえ、距離はちゃんと保って欲しいんだけど?」

「え〜、幼馴染だから良いじゃんよ〜」

「え〜じゃないよ

大体、お前彼氏いるだろうが…

無闇に他の男と親しげにしてると関係が悪化するだろう」

日向は俺の首に巻き付けた腕を解き、バツの悪そうな顔で明後日の方向を見ていた。

「あー、彼氏ね

うん、そうだね〜」

「お前、まさか、また別れたのか?」

「えへへ、まぁね

でも、今度は半月も持ったから良い方じゃない?」

「まぁ、俺には関係無いし、どーでもいいんですがね

今度はなんで別れたわけ?」

「とーやと親しげに話してるのが気に食わないらしくってね」

「うわっ、完全に飛び火だ」

俺は日向に引きながらも心の中ではホッとしていた。

下手したら一生付き合いがある可能性がある訳なので、幼馴染が変な男とくっ付くのは看過出来ないのだ。

確かに日向は可愛い。

白い肌にショートの髪が若干赤味がかって瞳も綺麗なブルーだ。

日向は唇を尖らせ、髪をくるくるとイジりながら文句を垂れる。

「大体、僕の交友関係にケチをつける男なんてこっちから願い下げなんだ」

正直、その条件なら俺も入るが、藪蛇になるのて言わないで置いた。

「だから、また二人で一緒に帰ろうぜ♪」

「へいへい、どうせおんなじ方向だから帰ってあげますよ」

「えへへ、とーややっさしーね」

そう言うと、日向は俺の腕に身体を巻き付ける。

高校生にしては少し大きな胸が俺の腕に当たっていた。

「日向さんよ〜、腕に巻き付くのはいいが、今から自転車で帰るんだし、どうせなら後ろに乗って下さい」

「おっと、そうだね

それじゃあ、とーやくんお家まで頼むよ」

そう言うと日向は手を放し、自由になった俺は自転車に乗り、それ確認した日向は後ろに乗って俺の腰に腕を巻き付けた。

「それじゃあ、レッツゴー」

「はいよ」

日向の号令と共に俺は自転車を漕ぎ始めた。

「とーやが僕と付き合ってくれれば良いのに…(ボソ)」

日向が言った事は俺にもちゃんと届いていた。

でも、俺はそれに答える事は無い。

日向には返しきれない恩がある。

だから、日向には絶対に幸せになって欲しいのだ。

俺みたいな奴よりももっと相応しい奴がいるはずなんだから…

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