artificial intelligence world.
草薙 華器
第1話 opening.
"西暦4009年6月1日 月曜日。
今日、私は、過去の遺物からメッセージボックスのメッセージメモリーらしき円盤形の物体を見つけた。
過去の遺物とは、私の家から10キロメートルぐらい南下した所にある大昔の遺跡のことである。
そこで、メッセージボックスも見つけた。
最初、私は、それがメッセージボックスだとは知らなかった。
遺跡で破損のない長方形の硬い箱を見つけた。
あまりにも硬い箱なので中に大切な物でも入っているのかも?と思い家に持ち帰ったのだ。
そして、crystalに見せた。
crystalは、直ぐに解析をして、それが過去の遺物で、過去の映像を記録したものを見る装置だと教えてくれた。
でも、crystalは、この本体だけでは、過去の映像は、見れないと言った。
そして、映像を映し出すモニターと呼ばれる物と過去の映像を記憶してある円盤形のメモリーディスクが必要であることを教えてくれた。
私は、日記を書いていた手を止めて考えた。
そう言えば、メッセージボックスを見つけたのは、何ヵ月前の出来事だったけ?
机の上の本棚から何冊か、過去の日記帳を取り出す。
パラパラとページを捲りそれらしき日記を探した。
あった。
これだ。
日記には、目を輝かした私の顔が書いてある。
遺跡から見つけた箱の中に何が入っているのか?
ワクワクが止まらなかった。
でも、それが過去の映像を見る装置だっと教えられ、落胆した。
crystalから教わった過去の歴史は、西暦2000年後期に第三次世界大戦が勃発して、最終的に人類は、核兵器を使用したと。
核兵器により人類の70%が滅んだと。
残された人類は、再建を試みたが、核兵器の影響で、一気に地球上の砂漠化が進み人類は、戦後1年で、滅亡したと。
そして、今から100年前、突然、人類は、現れ、第四次世界大戦を始めたと。
人類は、第四次世界大戦で再度、大打撃を受け、今は、闇みに姿を消しひっそりと生きていると。
そんな酷い過去の映像等見たくもなかった。
宝箱が、ただのガラクタに変わり、私が、落胆しているのを見て、crystalが、教えてくれた。
私が、見つけた硬い箱は、西暦2000年の前期の品物。
第三次世界大戦前の人類の映像が見れると。
私が知っている地球は、第三次世界大戦により砂漠と成り果ててしまった地球だけだ。
その前の地球は、どんな感じなのだろう?
西暦2000年の地層は、今の地層よりも100メートル位地下にある。
過去の遺跡は、すべて、地上から地下へと繋がっている。
過去の人類は、100メートルを超える建物をどのように造り上げたのだろうか?
crystalに聞けば教えてくれるかな?
落胆していた私は、crystalのお陰で新たな楽しみを見つけた。
大昔の地球が見れる。
私が、見ている遺跡が、遺跡ではない時代の映像。
私は、直ぐにcrystalに聞いた。
モニターとは、どのような形体をしていて、どのくらいの大きさの物なのか。色は、何色なのか。
円盤形のメモリーディスクの大きさも聞いた。
その時に、聞いた寸法が日記に書いてある。
机の引出しから物差しを取り出し、持ち帰った円盤形のメモリーディスクの直径を図る。
日記に書いてある寸法と同じだ。
メモリーディスクは、全部で9枚見つけた。
うち1枚には亀裂が入っている。
crystalが、キズや破損している物は、過去の映像が見れないと教えてくれた。
完全体の物でもデータにダメージを受けていると見れない可能性がある事も。
亀裂のメモリーディスクを除く8枚のうち何枚から過去の映像を見れるのだろうか?
あとは、モニターだ。
メモリーディスクを手に取り眺める。
今日、歩いた遺跡の内部を思い出す。
思い出しながらcrystalの声が頭の中で再生された。
「モニター、メモリーディスク、メッセージボックスは、それらが揃っていないと機能しないから同じ場所にある可能性が高い。」
同じ場所…
此処から10メートル位南下した場所。
砂漠だけの世界にポツンと鉄筋コンクリートの小さな遺跡ある。
砂山から長方形の小さな建物が生えている。
1つだけ扉があった。
その扉を開けると直ぐに地下に続く階段があった。
階段の奥は、真っ暗だ。
リュックから投光ドローンを取り出し目の前に放つ。投光ドローンは、自在に動き、直ぐに私の脳波とペアリングした。
投光ドローンに搭載されたナノ光学で開発された次世代ライトが建物の輪郭に合わせて光を放つ。
光放距離は、50メートルだ。
暗闇が、一瞬で明るい空間になった。
ナノ光学で開発された次世代ライトは、微生物を元に創られていて、輪郭(外構)に合わせて光を発する。
だから部屋の隅々まで均一の光で照らし出される。
光の強弱も10段階で調整できる仕様になっている。
大昔のライトは、円形で1点だけを照らす物だったらしい。
crystalが教えてくれたが、想像がつかない。
階段を下りて行くとすこし広い場所に出た。
階段がクランクしている。
クランクしながらそれを何回か繰り返したときに突然それは、現れた。
「扉だ。」
少し広い空間で階段がクランクして下に続いている。
今までと同じだが、今まで壁であったところに扉が突然、現れた。
ドアノブを回してみる。
ドアノブは、回るが、扉は、開かない。
投光ドローンをスキャンモードに切り替え、扉全体をスキャンする。
直ぐに映像が送られて来た。
なるほど。
このドアノブに付いてるこれが、サムターンだな。
これを回せば扉は、開く造りになっているのか。
サムターンを回してみる。
ガッチャッ!
鈍い音がした。
開いたのかない?
扉を開いた。
投光ドローンが開かれた扉から中に入って行く。
投光ドローンが建屋全体の輪郭を捉え投光の範囲を拡大して、建屋内全体を照らし出した。
中央にスペースがあり両サイドにドアが均等に幾つもある空間だ。
私も中に入った。
私の背後で扉が閉まるのを感じ振り返り扉を押さえた。
間に合った…
扉があと1cmで閉まるところだった。
先程、送られて来た映像には、閉められた扉は、自動に施錠されるオートロック機能が付いていた。
そして、サムターンと反対側から扉を開けるには、金属の鍵かチップが埋め込まれたカードキーが必要であると。
扉が閉まってしまったら、鍵がなければ開けられない。
イコール、私は、閉じ込められる事になる。
でも、オートロック機能には、電源が必要であることも解っていた。
過去の遺物は、電力供給されていない。
でも、過去の遺物だ。何が起きるかわからない。
扉を階段室側に押し開け、足で扉を押さえて、リュックの中からオールマイティーを出した。
オールマイティーは、なんでも便利グッズだ。
形は、過去の昆虫を参考にしているらしい。
色々なタイプがあるが、私のオールマイティーは、脚が8本、眼が8個の昆虫だ、眼が無眼タイプもあったが、眼が8個の方がカッコ良く見えた。
この昆虫の名前なんだったけ?
crystalが教えてくれたけど…
思い出せない。
私は、ヨドルの電源をONにした。
直ぐに私の脳波とペアリングした。
ヨドルとは、私が名付けたこのオールマイティーの名前だ。8つと言う意味だ。
ヨドルは、私の手に糸を付けそして糸を伸ばして身体を降下させ床に着地した。
着地と同時に私に付いていた糸は、ヨドルの身体に回収された。
ヨドルが扉を眺めている。
私の脳波を読み取って最小力の扉の解放パターンを考えているのだろう。
扉の底辺の中央辺りに移動した。
扉と床の隙間に下半身を入れている。
「完了。.」
ヨドルから合図が送られて来た。
私は、扉を押さえていた足を放した。
扉は、ヨドルによって、解放されたままだ。
「OK.」
私は、指でOKサインを作りヨドルに向かって見せた。
「…」
ヨドルは、スリーブ状態になった。
私は、広い空間に並ぶドアを1つづつ開けた。
開くものもあれば、固く閉ざされたものもあった。
開いたドアの先にあるのは、ほとんどの部屋が、砂だ。
砂で覆い尽くされ、行く手を阻まれる。
当たり前だ。
ここは砂漠の下だ。
砂漠は、砂でできている。
遺跡のほとんどが砂に侵食させている。
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