第19話 接触
【タイトル】
第19話 接触
【公開状態】
公開済
【作成日時】
2022-02-02 14:44:35(+09:00)
【公開日時】
2022-02-02 14:44:35(+09:00)
【更新日時】
2022-02-02 14:44:35(+09:00)
【文字数】
2,998文字
【本文(119行)】
「ローグ、あれがサントスだ」
オレはローグに念を押すように言った。
ローグはオレよりも先に気が付いていたようで、少しだけウンザリしたような表情を見せた。
「わかっているわよ、ゼロ」
「アンタ、たまに信じられない事を言うわね」
オレはローグの言葉に、少しだけムッとしたが、表情には出さないようにした。
感情が顔に出ないように訓練されているのだ。
だが、ローグにはお見通しのようだ。
「ゼロ、顔が引き攣っているわよ」
「そんなに警戒しなくても大丈夫よ、私がついているんだもの」
そう言って、ローグはオレの腕に抱き着くようにして、身体をすり寄せてきた。
まるで恋人同士のような仕草に、オレは少しだけ恥ずかしくなって、ローグを突き放した。
「なにしているんだ?」
「別に、いいじゃない、こういうのだって」
ローグは悪びれる様子もなく、ケラケラと笑って見せた。
まったく、この女は図々しい。
オレはそう思ったが、ローグのこの図々しさが、この作戦を成功させる鍵となるような気がした。
オレはローグに、サントスへの接触を任せる事にした。
「ローグ、頼んだぞ」
「了解よ」
ローグはそう言うと、サントスの前に躍り出た。
「ちょっと、あなた!」
ローグの声が通路に響き渡る。
サントスは立ち止まって、ローグを振り返った。
「なんだね、君は?」
サントスはローグの顔を見て、少し驚いたようだ。
「君、たしか、ローグだろう?」
「そうよ、私の事を知っているの?」
ローグは少し驚いたように、サントスに尋ねた。
「ああ、私はサントスだ。君とは同期だっただろう?」
「そうだったわね。久しぶりね」
ローグはそう言って、サントスの肩を叩いた。
「元気だったかい?」
「ええ、まあね」
サントスは少し戸惑っているようだった。
ローグは構わずに、サントスに話しかけた。
「ところで、これからどこへ行くの?」
「これから、ちょっと一杯やってくるんだ」
「そう、一杯って、どこで?」
「基地の近くのバーだよ」
「へえ、そう。私もそこへ行くところだったのよ」
ローグは嘘をついているようには見えなかった。
サントスはローグの言葉に少し驚いたようだったが、すぐに笑顔を見せた。
「そうかい、奇遇だな。一緒に行こうじゃないか」
「ええ、そうしましょう」
ローグはサントスの腕に抱き着くようにして、バーへと向かった。
オレは少し離れたところから、二人の様子を見ていた。
ローグは本当に楽しそうだ。
まるで、昔の恋人にでも会ったかのような笑顔を見せている。
オレは少しだけ嫉妬した。
だが、ローグのこの笑顔が、作戦を成功させる鍵となるような気がした。
オレは二人の後をつけて、バーへと向かった。
バーは基地から少し離れたところにある、薄汚れた小さな店だった。
店内は薄暗く、カウンター席とテーブル席がいくつかあるだけの、殺風景な内装だった。
客はまばらで、カウンター席には数人の男が酒を飲んでいた。
テーブル席には誰もいなかった。
ローグとサントスはカウンター席に座ると、酒を注文した。
オレは少し離れたテーブル席に座って、二人の様子を窺った。
二人は楽しそうに話をしていた。
ローグはサントスのグラスに酒を注ぎながら、巧みにサントスの懐に入り込んでいく。
サントスはローグに警戒している様子はなかった。
むしろ、ローグに心を許しているようだった。
ローグはサントスから、組織の情報を得ようとしていた。
だが、サントスはなかなか口を割らなかった。
ローグは焦る様子もなく、じっくりとサントスを酔わせていった。
サントスは次第に饒舌になり、ローグに組織の情報を話し始めた。
組織の目的は、マルス帝国の転覆だった。
彼らは、マルス帝国の政府中枢部にハッキングを仕掛けて、政府の機能を麻痺させようとしていた。
そして、その混乱に乗じて、マルス帝国を乗っ取ろうとしていた。
組織のメンバーは、元軍人や情報機関のエージェントなど、精鋭揃いだった。
彼らは、高度な戦闘技術と情報収集能力を持っていた。
組織のリーダーは、謎の人物で、その正体は誰も知らなかった。
サントスも、リーダーの顔を見たことはなかった。
リーダーは、常に影で組織を操っていた。
ローグはサントスから、組織のアジトの場所を聞き出した。
アジトは、基地から遠く離れた、山岳地帯にある廃墟だった。
ローグはサントスから、組織のメンバーの情報も聞き出した。
メンバーは、全員で30人ほどだった。
彼らは、アジトに集まって、作戦会議を開いていた。
ローグはサントスから、組織の次の計画を聞き出した。
彼らは、近いうちに、マルス帝国の首都を攻撃する計画だった。
首都には、マルス帝国の政府中枢部が集まっている。
彼らは、首都を攻撃することで、マルス帝国の政府機能を完全に麻痺させようとしていた。
ローグはサントスから、組織の資金源を聞き出した。
彼らは、マルス帝国の機密情報を盗み出して、敵国に売り渡していた。
その資金で、武器や装備を調達していた。
ローグはサントスから、組織の連絡手段を聞き出した。
彼らは、特殊な暗号を使って、互いに連絡を取り合っていた。
その暗号は、解読することが不可能だった。
ローグはサントスから、組織の弱点も聞き出した。
彼らは、リーダーの正体を知らないため、リーダーが捕まれば、組織は崩壊する可能性があった。
ローグはサントスから、組織のすべてを聞き出した。
サントスは、ローグにすべてを話してしまった。
ローグはサントスに、別れを告げた。
「そろそろ、帰らないと」
「ああ、そうだな」
サントスは酔っ払っていて、ローグの言葉の意味を理解していなかった。
ローグはサントスに背を向けると、バーを出て行った。
オレはローグの後を追った。
二人はバーを出て、人気のない路地裏に入った。
ローグはそこで、サントスに銃口を向けた。
「サントス、あなたを逮捕する」
サントスは驚いて、ローグに銃を向けた。
「ローグ、裏切ったのか?」
「裏切ったんじゃないわ。最初から、あなたたちを騙していたのよ」
ローグは冷酷な表情で言った。
サントスはローグに銃を撃った。
だが、ローグはサントスの銃弾をかわすと、サントスに銃を撃ち込んだ。
サントスは胸を撃たれて、その場に倒れた。
ローグはサントスの死体を確認すると、その場を立ち去った。
オレはローグの後を追った。
二人は基地に戻ると、サトナカ准将に任務の成功を報告した。
サトナカ准将は二人を褒め称えた。
「よくやった、二人とも。君たちは、マルス帝国の英雄だ」
ローグはサトナカ准将に笑顔を見せた。
オレはローグの笑顔を見て、少しだけゾッとした。
ローグは冷酷な女だった。
だが、オレはローグのことが嫌いではなかった。
ローグは、オレの心を揺さぶる女だった。
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