第6話 戦乱の惑星 6
ローグはオレに、所属を尋ねて来た。
オレは今現在、所属の部隊はない。
サトナカ准将の直属であるから、特殊班と言うことになる。
だが、特殊班は身分を明かすことが出来ないから、表向きは、軍の内務調査部所属と名乗ることになっている。
だから、ローグにも、そう伝えた。
軍の機密事項だから、相手が誰であれ、漏らすわけにはいかない。
オレは嘘をついているという意識は捨てていた。
もし、ローグにそれがバレたら、彼女の身に危険がおよぶかもしれないのだ。
だがそれも、いらぬ心配だった事が、後からわかった。
ローグはオレに、笑って言った。
「わたしも特務課配属よ」
小声だが、しっかりとオレの耳に届いた。
「どうして」
オレはあっさりと秘密を漏らしてしまうローグに、唖然とした。
ーどうして秘密を漏らすのかー
今度は脳に直接響いてきた。
この能力は、テレパシーとか、怪しい能力では無い。
脳内の無線で通話できるのだ。
もちろん暗号化対応だし、セキュリティーは万全だった。
ーわたしはあなたの仲間よー
オレは脳内のデータを漁ってみた。
チップの方も洗いざらい探ってみた。
どうしても、彼女が自分以上のデータを持っているのが、我慢できなかった。
そうしたら、一つだけ有った。
仲間のデータが残されていた。
オレはそれに対して、検索をかけた。
データ量が多かったので、全てを読むよりも、目的の言葉だけ検索すれば、それで目的は足りる。
オレはローグの名前を検索した。
1件だけヒットした。
サトナカ准将麾下、特殊班所属、階級が大尉となっている。
性別は、女性であった。
本当にオレの仲間だった。
彼女は嘲笑したのだろうか。
なんだか薄く笑ったような気がした。
オレは、彼女に対する評価を変えなければならなかった。
この女、オレを試した?
それに気が付かなかったオレも迂闊だったが、それにしても、あまり良い趣味じゃ無い。
言ってもしょうがない。
それに、これが任務時だったら、オレは間違いなく命を落としていたろうな。
その事に気が付いた時には、さすがのオレも背筋が凍る思いだった。
それ故に、彼女の無機質なロボット面が、笑ったように見えたのだ。
悔しいと思う反面、この、ローグに対する興味が、フツフツと沸き起こってきた。
オレは、自分でも時々、偏執的、もしくは変態なのでは無いかと思うくらい、変わった性格の女性に惹かれる。
違った価値観、違った考え方、そういうものに、酷く惹きつけられる。
オレのような仕事では、非常に危険なのだ。
だけれども、男女の間では、当たり前なのでは無いかとも思う。
男女だけでは無い。同性同士でも、違った価値観を持つ相手は、惹きつけられるし、側に置いておくと、凄く参考になる意見が聞ける。
こういう相手は凄く貴重なのだと、昔、誰かに叩き込まれた記憶が残っている。
脳内に存在するのでは無く、身体に染みついている感触がある。
オレはローグにも、そういったものを期待できそうだと感じた。
もちろん、男女のそれとは、まったく別であるが。
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