第四十八章 ナリニーの正体
第四十八章 ナリニーの
ソミンは西の
「シンハ殿ですか?」
ソミンが低く、
「ええ、そうです。確か、ソミンと呼ばれていましたね。両手を見えるところに出してください。ソミン
シンハが勝ち誇った笑顔を浮かべて言った。シンハはさっきアニルが『ソミン
「あなたには私が安全に城の外に出られるようについてきてもらいます。」
シンハが言った。ソミンは
「私を
ソミンが言った。
「さあ。試せば分かるでしょう。」
シンハは
「お仲間はどうするのです?おいて行かれるので?」
ソミンはシンハの
「あの五人はカルナスヴァルナ兵です。絶対に口を割りません。」
シンハは自信たっぷりに言った。
「ではあともう一方は?」
ソミンが鋭く言った。サクセーナ大臣の裏切りの
「誰のことを言っているのか分かりませんが、それはあなたの
シンハは落ちつた
「ソミンは私の後について来る。」
シンハはソミンの
「では行きましょうか。」
シンハはそう言ってソミンの前を歩いた。二、三歩、歩いたところで、シンハは
「
ソミンは勝ち
「
ソミンはシンハに
「シェーシャ、この化け物は一体何なんじゃ?それにその
クールマがルハーニの肩に乗って、同じくルハーニの肩に乗っているシェーシャに尋ねた。
「この緑色の
シェーシャがそう答えた。クールマは自分のことを
「
シェーシャは続けて言った。
「ずいぶん詳しいのう。」
クールマが
「これは
シェーシャはそう説明した。
ルハーニは二匹の会話をいつものように聞き流していたが、アニルとプータマリ
「足音じゃ。」
クールマが言った。ルハーニたちも気づいた。中庭へ向かっている足音に間違いはなかったが、
「ソミン
ゆっくりとした
「足音は二人ですね。」
アニルが言った。足音がする方を見ていると、ソミンがシンハの背中に
「シンハ!」
プータマリ司書長が声を上げた。アニルとルハーニも驚いた顔をした。ラーケーシュの
「
ソミンが
「シンハ、ここへ。」
アニルがよどみのない声で言った。シンハは
「この
アニルは池の中の黄色の
「お前が
アニルが
「シェーシャ、
アニルが言った。
「分かった。
シェーシャが言った。
「分かりました。」
アニルが
「メガネ、ルハーニ、アニル、シンハの順で
シェーシャが言った。プータマリ司書長は名乗っていなかったばっかりにメガネなどと呼ばれてしまった。失礼だと思いながらもシェーシャの言葉に
「まず一人目はこうだ。シュー、シュー、シュー。」
シェーシャが手本を見せた。
「シュー、シュー、シュー。」
プータマリ司書長が
「そうだ。二人目はシャー、シャー、シャー。」
「シャー、シャー、シャー。」
ルハーニが
「三人目はシュルルルルル。」
「シュルルルルル。」
アニルが
「四人目はキャシャアアアアア。」
シェーシャを含めて誰もが心配そうにシンハを見めた。シンハの後ろではソミンが
「キャシャアアアアア。」
シンハもしぶしぶ
「そのまま続けるんだ。」
シェーシャが言った。四人の声は合わさると、不思議なことに一つの声になった。その声はこう言っていた。
『蛇よ、蛇よ、黄色の蛇。今夜は満月。月は二つもいらぬ。グルグルと
黄色の輪はまた蛇の
「
シェーシャが
「おかしな
アニルはシンハにそう
すべての魔物を放り込むと、水の中をぐるぐる回っていた蛇は回るのを止め、ゆっくりと黄色い
「
シェーシャが言った。全員が
「早く水から出した方が良い。また動き出すかもしれない。」
シェーシャがアニルに言った。アニルは黄色い
池から上がる
「ナリニー!」
ハルシャ王子が前に進み出た。ナリニーはハルシャ王子を見つけると
「良かった、ナリニー!生きていたんだね!」
ハルシャ王子が
「ハルシャ王子もご無事で何よりですわ!」
ナリニーがいつも通りの優しい声で言うと、ハルシャ王子はナリニーに飛びついた。
「一体どういうことだ?」
その
「魔物に襲われたのでは?」
プータマリ司書長も言った。
「さては、人間ではないな?」
再びソミンに剣を突きつけられているシンハが言った。スバル医薬長とプータマリ司書長はシンハに鋭い視線を投げた。アニルはシンハの方を見もしなかったが、良く
「ナリニー、これ以上隠しておくことはできない。本当のことを言ったらどうだ?」
アニルが
「分かりましたわ、アニル様。皆様に本当のことをお話します。」
ナリニーはそう言ってもう一度ハルシャ王子を見た。
「実は、私はその池に咲いている
ナリニーが池を指して言った。全員が池の中に咲いている
「もともとは形を持たず、
ナリニーが言った。全員ナリニーの正体を知って驚いた。特にスバル医薬長とプータマリ司書長は驚きを隠せない様子だった。
「全く気づかなかった。この城に人外のものがいたとは…。」
スバル医薬長が言った。
「私も気づきませんでした。
プータマリ司書長が言った。
「アニル、お前はいつから知っていたのだ?」
そう尋ねたのはスバル医薬長でもプータマリ司書長でもなく、シンハだった。
「
シンハが
「いいえ、最初からです。
アニルがそう言うと、三人の祭司たちはアニルの方を見て固まった。
「どういうことです?」
プータマリ司書長が黒縁メガネの奥の目を大きく見開いて尋ねた。
「三人である取り決めをしたのです。
シンハは
「なぜそんなことを?」
スバル医薬長が尋ねた。
「
シンハは
「シンハ。」
アニルが名前を呼んだ。シンハはアニルの顔を見た。アニルはその
「アジタ祭司長が選んだのはあなただったのですよ。」
「さあ、裏切り者を連れて行きましょうか。」
アニルはやるせなく言った。
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