第四十二章 帰って来た裏切者
第四十二章 帰って来た裏切者
「放してください!」
クリパールは
「
警備兵は言った。その声は偶然にもチャカと立ち話をしていたジェイ
「クリパール殿?」
ジェイ
「二人ともお放ししろ!こちらは祭司のクリパール殿だ。」
二人の警備兵は
「二人の
ジェイ
「いいえ、そんなことはどうでもいいんです!それより、早く王宮に行って知らせなければいけないことがあるんです!」
クリパールはせっかちに言った。一刻も早くシャシャーンカ王の
「ラージャ王のことですか?」
ジェイ
「ラージャ王のことでしたらもう知らせが来ています。それにカルナスヴァルナ国がこのスターネーシヴァラ国に攻めて来ようとしていることも。」
「どうしてそれを…」
クリパールはそう尋ねてからそうだと思い出した。カルナスヴァルナ城の
「シンハ様!」
クリパールは思わず
「シンハ殿?」
しかしジェイ
「シンハ様がお帰りになって皆に知らせたのではないのですか?」
クリパールは尋ねた。
「いいえ、知らせてくださったのはアジタ
ジェイ
「そうですか。シンハ様はお戻りではないのですね。」
クリパールは
「クリパール殿、それはどういう意味ですか?」
ジェイ
「アジタ
クリパールは静かにそう言った。ジェイ
「先ほど王宮で会議が終わったところです。スバル
ジェイ
「チャカ、私はクリパール殿を西の
「分かりました。」
チャカが返事をした。チャカもルハーニも傷ついてボロボロになったクリパールの姿に
「西の
ルハーニの
「祭司の方々の
ジェイ
「祭司の
シェーシャが尋ねた。クリパールは
「さあ、どうでしょう。祭司の決まりごとは私には分かりかねます。」
ジェイ
その時だった。馬の
「シンハ様?」
クリパールは自信なさ気に言った。無理もないことだった。シンハは目を
手や足には小さな
「クリパール、帰っていたのですね。無事で良かった。」
シンハは
「シンハ様もご無事で何よりです。」
クリパールはあまりにも変わり果てたシンハの
「クリパール、戻ってきたのはあなた一人ですか?」
シンハはまた
「はい。」
クリパールは正直に答えた。
「そうですか。」
シンハは残念そうにする
「太陽は東から昇り、西に沈む。影は日を
シンハは詩を口ずさむように言った。誰もまさかシンハが術を使おうとしているとは思わなかった。
「我、汝らの影を捕らえた。」
シンハがそうつぶやいた瞬間、クリパールは恐る恐るシンハの足元を見た。シンハはジェイ
「二匹を逃がして!」
クリパールはルハーニに向かって言った。ルハーニがクールマとシェーシャに逃げるように言う前に二匹はルハーニの
「クリパール、ジェイは動けない。」
シンハはそう言って影から足をどけた。影は開放されたはずなのに二人の足どころか、体は石になったように
「名は何と言う?」
「チャカです。」
チャカは
「チャカは動けない。」
チャカも石のように動けなくなった。シンハはルハーニに近づいた。
「名は何と言う?」
ルハーニは答えなかった。シンハはまだ足元をジタバタ走っている
「あの
ルハーニはシンハを
「子供になにができる。」
シンハはそうつぶやいた。
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