第三十二章 仮面の男ソミン
第三十二章 仮面の男ソミン
スターネーシヴァラ国では兵士たちの
「ソミン、ハルシャ王子の
サクセーナ大臣がいつものように部屋にソミンを呼び出して尋ねた。部屋にはカンドゥ
「町の大通りを祭司が
「ハルシャ王子を
「
ソミンがそう報告すると、サクセーナ大臣は
「あまり
サクセーナ大臣は言った。
「申し訳ありません。」
ソミンは
「良い、下がれ。」
サクセーナ大臣は切り捨てるように言った。ソミンは見くびられた気がして腹が立った。けれど
ソミンが王宮にある自分の
「ソミン
兵士はソミンに気づいた。この兵士はソミンによってハルシャ王子
「入れ。」
ソミンは
「何か有力な手がかりは見つかったか?」
ソミンは
「申し訳ありません。ソミン
ソミンは
「ハルシャ王子のお命を狙った五人の男の
ソミンはあからさまにイライラして
「申し訳ありません。その件に関しても何も
ソミンのイライラは
「チャカ
ソミンは報告の
「まだ
「し、しかし、王宮の中で探していない部屋といえば大臣やその他の役人がラージャ王からいただいているお部屋だけで、王宮意外では祭司の方々がすんでいる西の
チャカは口ごもりながら言った。
「言ったはずだ。シラミつぶしに探せと。」
ソミンはまたイライラしながら言いました。チャカはしどろもどろした。
「え、でも…。」
「おしゃべりの家は
チャカは
「ソミン
「
ソミンは
「いいえ。」
「他に報告することがなければ
「はい。」
チャカは泣きそうな顔をして
一人になるとソミンは頭を抱えた。また明日サクセーナ大臣に捜索の成果を報告しに行かなければならないかと思うと、気が重くなった。ハルシャ王子の行方を知る新しい手がかりはなく、そのハルシャ王子を襲った五人の警備兵の捜索は
一方のチャカもとぼとぼと
その上、大臣たちの部屋を
チャカは翌日、ソミンに言われたとおり、おしゃべりの家と西の
おしゃべりの家については、何とか
西の
大臣たちの部屋の
国務大臣のサクセーナ大臣のところはすんなり終わった。事前に
問題は他の大臣だった。四人の大臣たちは
「ご苦労様です、チャカ
今まで財務大臣の部屋の
「ああ、君もご
チャカは疲れ切っていながらも
「あと一部屋で全部終わりですよね?」
「え!?あと一部屋!?もう全部終わったと思ったけど?」
「いいえ、あと一部屋残っています。」
若い兵士は言った。
「ええと、西の
チャカは指を
「ほら、やっぱり
「あっ。」
チャカはようやく思い出した。
「ラージャ王が大臣たちと会議するお部屋ですよ?僕は
若い兵士は目を
「そうか。まだ
チャカは困ったように言った。
「大丈夫です。僕がその分働きます。」
若い兵士は力強く言った。
「本当?」
「はい、もちろん。あ、チャカ
若い兵士が指を指して言った。そこには黒い
「これか。」
「そうです。」
チャカは扉のドアノブに手をかけた。
「あっ、
チャカが言った。
「え?」
「ほら。」
チャカはカチャカチャとドアノブを回したが、扉は開かなかった。
「そんなあ。」
若い兵士は残念そうに言った。
「鍵がかけられてるってことは誰もいないってことだ。調べる
「鍵が見つかると良いですね。」
若い兵士が目を輝かせてそう言うとチャカは物好きな奴だと言いたげな視線を送った。
その日、疲れ切っていながらもチャカはソミンのところに報告しに来た。
「ソミン
ボロボロになって事務室に入って来たチャカにソミンは
「どうであった?」
「誰も見つかりませんでした。」
チャカは答えた。
「
「はい、でも…」
「何だ?何かあったのか?」
チャカが
「
チャカは言った。ソミンは意味ありげな驚いた表情を浮かべた。けれど
「
「ああ、そうだったんですか。」
チャカはあの物好きな若い兵士が残念がるだろうなと思った。
「それより、
「え?何ともありませんけど。何でですか?」
ソミンがちょっと言うのを
「実は、
「ええええっ!」
チャカは声をあげた。
「私もつい先ほど知らされた。『抜き打ちの
「危ないところだったじゃないですか!?」
「ああ。だから
ソミンは冷たくあしらうように言った。チャカは
「ソミン
チャカはずっと思っていた不平をこぼした。
「本当にそう思うか?」
ソミンの声は冷たい響きがあった。チャカは
「今この城にラージャ王がおられない。その間にハルシャ王子が何者かに王宮で襲われた。それが
チャカは
「ラージャ王は
チャカの頭にある人物の顔が浮かび上がった。恐る恐るその人物の名を口にした。
「サクセーナ国務大臣?」
「そうだ。」
「でもまさか・・・。」
チャカは
「スターネーシヴァラ国王の
ソミンはそう言って
「これは兵士の
ソミンは声を落として言った。チャカは全身の毛が
「ラージャ王がお戻りになるまで、城の第一権力者はサクセーナ大臣だ。しかも、国務大臣という立場を利用して兵も動かすことができる。今手出しするのは
ソミンはいつになく
「わ、私にはそんな
「それは知っている。だからこそ優秀な武官や文官、兵士を差し置いてお前をハルシャ王子
「そんな!」
チャカは泣きそうな声を出した。今まで目立たず、
「もしもの時は頼んだぞ。分かったらもう行け。私はサクセーナ大臣の会議に出席しなければならない。」
ソミンが言った。チャカは思いつめた顔をして一礼すると事務室から出て行った。
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