第二十九章 森の主
第二十九章 森の
ハルシャ王子たちはリュックの中から旅の食料を取り出して食べた。
真夜中のこと、ハルシャ王子は突然
そして、ふと左の方に目をやると、ハルシャ王子の
ハルシャ王子は恐ろしくなって声を上げようとしたが、声は出なかった。それどころか
ハルシャ王子は何とかルハーニたちに助けを求めようと、顔や手を動かそうとしたり、声を出そうとしたりした。けれどさっきと同じように体に力が入らず、声も出なかった。
もがき苦しみ、意識が
「この
トラは人の言葉を話した。ハルシャ王子はさっきまで
「とんでもない連れがいるな。
トラは低い声でつぶやいた。トラはルハーニたちの
「眠れ、王子。私はこの森の
トラは大きな手足をしまい、
ハルシャ王子はゆっくりとトラから目を離し、再び横になった。そして目をつぶると、眠るまでの少しの間考えた。もし、さっきトラが助けてくれなければどうなっていたかと。首にはまだ
翌朝、目が覚めるとトラの姿はなかった。ルハーニは昨夜うなされていたことなどまるで覚えていないようだった。クールマとシェーシャもいつも通りで、ハルシャ王子とルハーニがうなされていたことさえ気づいていないようだった。ハルシャ王子はルハーニと二匹に昨夜のことを話そうか迷った。けれど誰も気づいていないところを見ると、夢だったのではないかとも思えた。ハルシャ王子は何も言わないことにした。
ハルシャ王子たちは朝から歩き続け、ついに森の出口に
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