鼓膜騒音

日常

午後3時30分、私は歩き出す。



地面は今日も硬く、靴の中まで人工物が響く。

自然が多い様に見えてそうではない。

大抵が私の知らない誰かが決めて配置した人工物だろう。

道の脇に植えられた紫陽花を見て、今日の動きを考える。



違うどこかに行きたいとは思わない、きっと順応してるのだ。

私は突然狭さを感じて空を見上げる。

光の屈折を記憶に収め、人間の眼球の精度を思い知る。



天気が良い、空気に熱が流れている。

私はいつもの道を歩き進める。



数分歩くと住宅街の中に突然、神社の様なところがある。

程よく木に囲まれた鳥居が置かれているが、何を祀って居るのかは知らない。

人が出入りするところも見たことないが、ただ、自然に呑まれてない様子を見る限り手を掛けている人がいるのであろう。

ここは日が落ちると不気味に変わる。

少し前まで私は決まって0時頃ここに迷い込んでいた。



人気のない住宅街を目的地を目指し歩く。

何故人が居ないのだろう、きっともうみんな目的地に着いているのであろう。

少し切なくなるが、私の時間はこれからなのだ。



住宅街を抜け広い通りを歩いていると、犬がいる。

飼い主と散歩をしている様だ。

行くところを決めて貰えるなんて楽で良いなと羨ましくなりながらも、知らない犬の感情なんてどうでも良い。



私の横を人工物の塊が素早く通り過ぎて行く、塊の後ろ姿を見ながら無心でその方向に歩いて行く。



急勾配を登り切る。



今日もまた、ギラギラ煩い箱が待っていた。

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鼓膜騒音 @aren1234

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