見てよ
ヨル
気づかれないように、気づいてほしかった
貴女への想いを綴った小説は、私の知らないところで、私の知らない人達に読まれ続けている。
貴女もまた、知らないままで。
こんな功績を残しても、貴女にとっては覚えてもいない過去の出来事だろう。
私でさえも、10年以上経った過去を美化して、ネタに使っているのかと思うと切なくなってくるものだ。
どんなに有名になろうと、貴女が見てくれなければ満たされないみたいだ。
私たちは大人になったから、きっと余計なことを考えるのに必死で、おまけに臆病になっている。
それでも私は、今も昔も貴女のために小説を書いている。
昔みたいに貴女が私の小説を一番に読んでくれたなら。
休みの夜に、もうすっかり更けた夜に、どうしても貴女と関わりたくて、ものすごく寂しくなる。
いつまで続くかわからない残りの人生のうち、あとどれくらいこういう日があるのだろう。
貴女との思い出を、忘れないでいたい。
私の初恋が、貴女であったことをずっと考えていたい。
過去に、貴女に、永遠に支配されて生きていたい。
貴方が今の私を創ったのだから、貴方もまた、私を忘れないでほしい。
貴方から借りたエプロンのお話、貴方からもらった香水のお話。
私の小説となったその一ページを切り取って、SNSに貼り付けるの。
24時間の間だけ表示されるそれは、貴方にしか見れない設定にした。
10分も経たないくらいで、恥ずかしくなって削除した。
貴方は未読だった。
こんなことも、貴方は知らないままだ。
こうしてまた貴方のお話が生まれていく。
見てよ ヨル @0317asa
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