スピリチュアル・ラヴ

エリー.ファー

スピリチュアル・ラヴ

 幽霊というものがある。

 しかし、それは多くの人の目には映らない。

 私も幽霊を見ることはできない。

 しかし。

 見える、と言っている。

 そういうことである。

 私の仕事は幽霊が見えているように振舞うことだ。本来は、見えている人こそ、このような仕事というものはやるべきだろう。けれど、見えている人はとにかく少なく、見ることのできる者を欲している人々は数えきれないほど多い。そうなれば、近くにいてあげる、存在してあげる、というのもまた優しさの一つと言えるのではないだろうか。

 私の仕事は人に優しくすることである。なんとか望みをつなげたい人々の手を払い、突き飛ばすなどできるわけがないのだ。その行動は、人間という生き物の否定と同義である。

 こういう言い方が重要となる。

 ほら。

 私は今日も自分のお金の稼ぎ方にちゃんとした言い訳を付けたすことに成功したのである。

 心を洗って、脳を洗う、そういうことをしているうちに、幽霊が見えるように

なる。私ではない。私の周りにいる人たちが、ということである。

 探しているのだ。多くの人間を。同志を。

 自分と同じように迷っている者たちを仲間と呼びたいのだ。

 そのために幽霊という言葉を使うのである。分からないし、確認できないし、認識できない。

 都合がいいということではない。分かりやすいということである。

 機能を持っている単語に、実際に稼働させるように働きかけて社会の中に入れ込むのが私の仕事である。これは法律以上に相手を制限して人を助けるものである。私はその制限の度合いによって報酬を手にしては、その制限の外で優雅に暮らすのだ。

 知識は浅い方がいい。広くあるとなおよい。

 人間など知識の深堀度合いになったら、評価のしようもないのだ。零が一であることさえ示せれば大抵の人間はすぐに尊敬してくる。幽霊が見えることと全く因果関係はないのに、そこに尊敬を込めてくる。気持ちの悪い話である。頭が悪いことがばれる前に、相手を認めて逃亡することの利点があるというのか。あるわけがない。

 知ったかぶりの延長に幽霊がいれば、その価値を認めだすのも時間の問題である。

 私にとって幽霊というのはパートナーである。道具ではないのだ。

 幽霊というものが存在するとか、存在しないとか、そんな問題に興味もないが尊敬はしているし、感謝はしている。もっと言うのであれば、最初に、この幽霊という概念を作り出した存在に会ってみたいというのが本音である。そこにどのような目的があり、どのような発想があったのか、聞いてみたい。そして、今の時代にあった装置があるとしたらどのようなものであるのかを一緒に考えてみたいところである。きっと面白いものを発見、もしくは作り出すことができるだろう。

 スピリチュアルは良い言葉だ。

 私は大好きだ。

 きっと、世界で一番好きだろう。

 嫌味ではない。これは本当だ。

 きっと、私が死んだら幽霊で金儲けした罰だとか、幽霊と仲良くなりすぎて連れていかれてしまったとか、色々と言われるのだろうと思う。

 私は死ぬのだ。

 幽霊になるのではない。

 私は希望を求めていない。

 真実を求めているのだ。

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