第99話 遺跡探索(2)

 投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

 

 ~~~~~~~~~~~~


「あれは、まさか!」

「そういう事」


 実物を見た事があるのだろう。

 瀬莉も最下層奥にある透明な球体が見えた事で分かった様だ。

 ここの空間が、一体何だったのかが。


「瀬莉、今すぐ階段まで下がって隠れてて」

「一人で対処するつもりなのかい!?危険だ!!」


 この後に何が起きるのか知っている。

 故に、瀬莉は一人でどうにかしようと考えている私を止める様に言ってくる。

 だが、適任者が私しか居ない訳で瀬莉がこの場に一緒に居ても危険なだけなのだ。


「守れる保証が無いの。瀬莉だって何が起きるのか知ってるでしょ?お願いだから私の言う事に従って。瀬莉を死なせたくないの」


 一切の冗談抜きに、瀬莉の命の保証は無い。

 瀬莉もそれを理解している。

 自分が居た所で何も出来ない。

 居ても私の負担になるだけ。

 自分が居るのは邪魔でしかないと。


「分かった。頑張ってくれ」


 瀬莉は、全て任せる事に酷く負い目を感じながらも私の言葉に頷いてくれ最下層の入り口から出ていき身を隠してくれた。


 良かった。

 ここが入り口が閉じないタイプで。

 そうじゃなかったら、マジでヤバかった。

 これで、安心して事に望めるよ。


 内心でこの事にホッと安堵した私は、最下層をスタスタと歩きながら周りを眺める。

 最下層だが、これが中々に広い。

 パッと見た感じ四方三十m位、高さは二十m位だろうか?

 目測なので、かなり誤差があるだうが最下層はそれ位の広さをしておりレンガ造りの様に大小様々な四角い岩を敷き詰めて形成され奥には祭壇みたいな台座に透明な球体が祀られ?ている。


「さて、多分そろそろ反応すると思うんだけど」


 周りを眺めながら、中心辺りまできた所で歩みを止めて地面へと視線を移す。

 そして、視線を移して直ぐにアカリの予想通り反応が起きた。


「きた」


 地面が白く輝き眩く光り出す。

 そして、数秒もすると地面から数百、数千もの光る粒子が噴き出す様に現れ一ヶ所に集まっていく。


 本当に目茶苦茶見覚えのある光景だよ。


 光の粒子が集まり大きくなっていく。

 三m、四m、五mと大きくなり今では十mはありそうな大きさまで集まっていた。


「デカイなぁ」


 それを眺めながら私は、ただ一言そう呟いた。

 同時に、これは少し厄介そうだなと内心思った。

 まぁ、実際にやってみないと本当に厄介かどうかは分からないが。

 そして、そんな事を思っている間に目の前の粒子が更に変化を遂げる。

 光輝いていた粒子が輝きを失い光が消えると、そこには全く異なる存在が佇んでいた。


「コイツが」


 頭部から胸元までを覆うのは赤黒い色をした特徴的なボリュームのあるたてがみ。

 その身体は、黒灰色の毛皮に覆われており毛皮越しでも並みの攻撃では通じなさそうな隆起する筋肉をしている。

 何より特徴的なのが、剣の様な鋭く太い口から飛び出す程の巨大な牙。

 四本の巨木の様な足には鉄さえ容易く切り裂きそうな太く長く鋭い爪。

 人の胴並みの太さがありそうな尻尾。

 そこに居たのは、十mを越える大きさをしたライオンの様な姿の魔物だった。


「グルルルル!!」


 ライオンの様な魔物は、目の前にいる私を見て唸り声をあげている。

 その姿は、不愉快そうでありいつ襲い掛かってきてもおかしくない。

 それに対して私は、後方に数m程ジャンプして後退。

 目の前の相手を警戒しながら軽く構える。

 何せ、久し振りの強そうな魔物との戦闘。

 一つ間違えば、即座に命を失う可能性があるのだ。

 警戒して当然である。


「ゴアアアアーーーー!!!!」

「こいや!ライオンモドキ!!!」


 アカリとライオンモドキの戦闘が始まった。


 ※※※※※


 結論から言うと恐らくというか、ほぼ確実にこの空間はダンジョンだと思う。

 何故なのかだが、最下層の透明な球体を見た時に思った。

「え?あれってダンジョンコアじゃね?」って。

 思った通りここはダンジョンで間違いなさそうでありその証拠に、アルタナのダンジョンと同じく光の粒子が集まってボスモンスターを生み出してみせた。

 多分だが、あの魔力溜まりはダンジョンが生まれる前段階。

 それが、私が飛行のために使用した魔力に溜まってた魔力が反応して暴走。

 結果、不完全ではあるがダンジョンが生まれたって感じだと思う。

 ダンジョンについて資料で軽く読んだだけの私の予想でしかないので間違ってる可能性は高いが。

 まぁ、今はそんな事は置いといて目の前の問題に集中するとしよう。


「ガアアアアアーーーー!!!!」


 戦闘の初撃はライオンモドキの右前足の振り下ろし。

 成人男性の胴体を軽く越える太さの前足が高速で私を狙って振るわれる。

 俊敏性がかなり高いのだろう。

 僅か数秒の間に間合いを詰め攻撃を仕掛けてきた。

 反応するのに少しでも遅れ様ものなら足に生えている鋭い爪に身体を裂かれる事だろう。

 だが、そう簡単に攻撃を喰らうつもりはない。


「ふっ!」


 吸血鬼の動体視力なら問題無く反応可能。

 私は、右へと軽く跳んで振り下ろしを回避。

 そして、回避と同時に地面を跳躍。


「オラッ!!」


 お返しとライオンモドキの顎を全力で蹴りあげた。

 手応えはあった。

 しかし、強靭な顎と分厚い毛皮によって蹴りの衝撃はライオンモドキの脳を揺らすには至らず効果無し。


「グルルアアアア!!!」

「!?ヤバっ!!」


 逆にお返しと地面に着地した私に向けて今度は左前足の爪で攻撃をしてきた。

 後方へとバックステップして回避。

 そして、更に数度後方へとバックステップして距離を取ると部分強化を脚へと施し右方向からライオンモドキの背後の死角に回り込む。

 瞬時に死角に回り込んだ事で、ライオンモドキが背後の私に気付く前に少しでも情報を得る為に鑑定を掛ける。


「鑑定」


 ────

 名前:なし

 種族:ウガル

 状態:通常

 LV:1/60

 HP:630/630

 MP:235/235

 筋力:635

 耐久:525

 敏捷:610

 魔法:205

 ─スキル─

【堅牢Lv1】【強腕Lv1】【気配感知Lv1】

【土属性魔法Lv1】【魔力制御Lv1】【伝心Lv1】

【波衝Lv1】

 ─称号─

 なし

 ────


 …………うん、強くない?

 え?

 ここって、出来たばかりのダンジョンだよね?

 何で、こんなに強いん?

 ………あ、気配感知。


 私は、スキルの中に気配感知があると気付いてステータス画面からライオンモドキもといウガルへと視線を移す。


「グルルル!!」


 案の定、気配感知で背後に回り込んでいたのはバレていた。

 唸り声をあげるウガルの周囲に幾つもの巨大な岩塊が生み出される。


「グルアアアア!!」


 そして、ウガルが吠えると周囲の岩塊が反応し私に向けて高速で飛来してきた。

 軽く時速百kmは越えてそうな速度で飛来してくる岩塊。

 直撃すればダメージを受ける事だろう。


「よっ、ほっと」


 まぁ、当たればの話だが。

 距離があれば時速百kmを越えていようが、今の私の動体視力なら軽く捉えられる。

 ホイホイと軽く岩塊を回避。

 ついでと最後の岩塊を右手で鷲掴み飛来する勢いを殺さない様に片足を軸にして左回転。


「ほらよっと!!」


 身体強化、右腕に部分強化を施し全力で岩塊をウガルに投げ返した。

 投げ返される等思いもしなかった事だろう。

 かなり強引だったので飛来の勢いは幾分殺してしまったが、私が全力で投擲した岩塊は一直線に高速で飛んでいき…………


「ガア"ア"ア"ッ!!」


 ウガルの顔面に衝突。

 岩塊は、高速でウガルに衝突した事で衝突と同時にバラバラに砕け散った。

 砕けた岩塊から衝突の威力が強かった事が分かる。


「グルルルル!!」


 しかし、岩塊を顔面から受け止めたウガル自体は一切のダメージを受けていなかった。

 流石、耐久値500越えである。


 今度は、私から仕掛けるか。


 ウガルが、次の攻撃に動き出す前に先に攻撃を仕掛ける。

 軽く前傾姿勢を取ると同時に、瞬時に脚へと部分強化を施し放たれた矢の如く駆け抜けウガルとの間合いを詰める。


 打撃が効きづらいなら斬撃で!


 間合いを詰めると同時に収納から武器を取り出す。

 選んだ武器は、ヒドラ毒の塗られた剣。

 人間相手なら、切り傷から僅かに毒が入っただけで確死する猛毒。

 それが、大型の魔物であるウガルにどれだけ効くのか分からない。

 だが、毒耐性は無いので何かしら効果は現れるはず。

 猛毒で動きが鈍ったりでもしてくれたら戦闘が有利になるのでこの剣を選んだって訳だ。


「シッ!」


 剣に魔力を込めると、ウガルの前足を横薙ぎに切る。

 毛皮を切り裂き肉まで刃が届いたと思った。


「マジか」


 しかし、剣はウガルの肉まで届いておらずろくに毛皮すら切り裂けていなかった。

 せいぜい、毛を軽く切った程度。

 全くダメージを与えられなかった。


「ガアアア!!」

「チッ!」


 ウガルが右前足を振り下ろしてくるのをバックステップで回避する。

 しかし、逃すかとウガルが間合いを詰め続けて左前足を振り抜いてきた。

 上体を深く屈める。

 直後、私の身体スレスレを野太い前足がゴウッと音をたてながら通過していった。

 即座に、上体を起こしてウガルに目を向ける。

 瞬間、右腕でガードを作った。


「くッ!」


 直後、ガードした右腕にズドンッ!と音を鳴らしながら重い衝撃が襲ってくる。

 ウガルが、左前足を振り抜くだけでなく振り戻しで前足の甲をぶつけてきたのだ。


「ゴアアアア!!」


 前足を振り抜かれ吹き飛ばされる。

 何とか空中で体勢を直して吹き飛んだ先の壁を全力で蹴った。


『ドガアアアァァァーーーーンッ!!!!』


 全力で壁を蹴り跳んだ私は、弾丸の如くウガルへと高速で迫る。

 左拳を握り締め振りかぶる。


「ぶっ飛べえ!!」


 勢いをフルに乗せ全力でウガルを殴った。

 本当は、利き手の右手で殴りたかったが剣を握ってたので仕方なく左手。

 しかし、蹴り跳んだ勢いが乗った事で威力は格段にアップ。


「ガア"ア"ア"!!」


 ウガルは、私の一撃に耐えきれず殴り飛ばされ派手に横転。

 隙を晒したウガルに追撃を与えるべく私は空力を発動。

 足場を蹴り勢いを乗せて右手に握る剣をウガルの胴体に深々と突き刺した。


「グガア"ア"ア"ーーーー!!!!」

『バキンッ!!』


 ウガルの悲鳴が最下層に響き渡る。

 悲鳴に胴体に突き刺した剣を握りながら明確なダメージを与えられた事にアカリは喜ぶ。

 だがアカリは、先程悲鳴以外に何か硬い物が折れる様な音が聞こえた気がした。

 何か剣を握ってる筈の手元の感覚が変な事に気がする。

 まさか、と視線を手元へと移す。


「嘘でしょ!?」


 自身の手元を見て驚愕の声をあげた。

 それは何故か?


「折れた」


 剣が折れたからだ。

 それも、剣の鍔の付近から綺麗にポッキリと。


「マジかって!?うおッ!!」

「ガアアアーーー!!!」


 ウガルが身を捩り襲い掛かるのをバックステップで回避して距離を取ると折れて使えなくなった剣を収納へ仕舞いこんだ。


 折れたもんは仕方ない。

 私の使い方が悪かったんだし。


 ウガルを見ると私を睨みながら身体を仰け反らせるのが見えた。


「何をし「ガアアアアアアアァァァァァァーーーーー!!!!!」ッ!!?」


 ウガルの咆哮。


『ズガアアアァァァァーーーーーン!!!!』


 次の瞬間、ウガルの向かいの壁が砲撃でも受けたかの様に轟音を響かせながら粉々に崩壊。

 更に、ウガルから崩壊した壁まで地面の岩が真っ直ぐに砕け散っていた。


「ぐぅ"ッ!!」


 それだけじゃない。

 咆哮が聞こえた直後、砕け散る地面を見て私は咄嗟に真横に回避しようとした。

 しかし、身を投げる様に真横に跳んだものの僅かに間に合いそうになくて霧化した。

 なのに、何故か霧化が無理矢理解除。

 何かとんでもない衝撃に吹き飛ばされ地面に叩き付けられたのだ。

 私は、即座に起きあがり体勢を整える。

 そして、何が今起きたのか考えた。


 何が起きたの。

 それに、何で霧化が。


 咆哮直後の謎の破壊現象。

 そして、強制的な霧化の解除。


 攻撃……されたんだよね?


 見えない攻撃。

 超スピードや風属性魔法なら見えない攻撃も可能だろう。

 しかし、ウガルは俊敏性は高いが見える速度だし土属性魔法は使用可能だが風属性魔法は使えない。

 なので、超スピードも風属性魔法も違う。

 他に可能性があるとしたら、用途不明の伝心と波衝というスキル。

 恐らく、伝心は支援系統のスキル。

 だとすれば、消去法で波衝のスキルとなる。


 波衝…………攻撃系のスキルなのかな?

 名前からして、衝撃に関する攻撃?

 …………衝撃かぁ。

 霧化解除された直後にとんでもな衝撃を受けたね。

 このスキルで正解かな?

 だとしたら、霧化が解けたのもこれが原因?

 霧が攻撃に飲まれたとか?

 けど、前にもってッ!!?


 考えてる間にウガルが仰け反り再び先の攻撃をしようとしてるのが見えた。

 多分、後一秒もしたら放たれる。

 だが、それだけあれば十分間に合う。

 地面を跳躍して攻撃範囲内から逃れた。


「ガアアアアアアアァァァァァァーーーーー!!!!!」


 再び響き渡るウガルの咆哮。


『ズガアアアァァァァーーーーーン!!!!』


 直後、轟音を響かせ眼下の地面と背後の壁が粉々に砕け散った。


「なるほどね。衝撃波か」


 今度は、キチンと攻撃を見れた。

 おかげで、確信が持てた。

 波衝のスキルは、衝撃を放つスキルで間違いなさそうだ。


 う~~ん。

 霧化の解除は霧が全てこの衝撃波に吹き飛ばされたからかな?

 けど、ヒドラ戦の時も似た感じでブレスに飲まれたよね?

 あ~~~けど確か、あの時は飲まれたとはいっても半分位だったっけ?

 ん~~~確証が持てん。

 考えるのは今度で良いや。


 霧化について考えるのは諦め戦闘に思考を戻す。

 謎の攻撃のタネさえ分かれば問題ない。

 スキル構成からして、ウガルの攻撃手段もこれで全てだろうから初見技もないと思う。

 これで後は、油断せずに全力でウガルを殺すだけだ。

 身体強化を施しウガルに向けて駆け出す。


「グルル!ガアアア!!」


 迫る私に向けてウガルが、岩塊を生み出し放ってくるが全て軽く回避。


「ガアアアッ!?グルア"ァ"ァ"ァ」

「やっと効いてきたか」


 追撃を放とうとしたのだろうが、やっと猛毒が効いてきたのかウガルがふらつき隙を晒す。

 勿論、隙を見逃すつもりはない。

 岩塊のお返しに炎槍を十発程プレゼントする。


「炎槍」

「ガア"ア"ア"ァ"ァ"ァァーーーー!!!!」


 ウガルは、炎槍を身体に幾つも喰らい身体を刺され焼かれる苦しみに耐えられず悲痛な鳴き声をあげる。


「おら!おかわりだ喰らえ!!」

「グル"ル"ア"ア"ア"ア"ア"アアアーーーー!!!!」


 私は、更に十発の炎槍をプレゼントした。

 身体を突き刺され肉体を焼かれるのはさぞ苦しい事だろう。

 私も身体を刺され、焼かれる地獄の様な苦しみは良く理解出来る。

 まさしく、生き地獄と呼ぶに相応しい苦しみだ。

 けど、生き地獄ではなく殺すのが目的なのでこれで終わりではない。


「黒血鎖」


 血液支配+黒血を発動。

 先端が尖った黒い血液の鎖を十本作り出す。

 そして、黒い血液の鎖を猛毒と炎槍のダメージで動けず隙を晒しているウガルに向けて放つ。


「グアアア!」

「避けたか」


 隙を晒しているとはいえ、流石はダンジョンのボスモンスター。

 迫る鎖に気付いて即座に反応して避けた。

 まぁ、意味ないが。


「黒血剣」


 十本の黒血剣を作り出しウガルに向けて放つ。


「ガア"ア"ア"ァ"ァ"ァァーーー!!!」


 回避先に黒血剣を放ち狙い通り全てウガルの身体に突き刺さり動きが止まり再び大きく隙を晒す。

 その隙に十本の鎖は、ウガルに向けて真っ直ぐ飛んでいき胴体にグルグルに巻きつくと先端が地面へと深々と突き刺さる。

 それを確認した私は自身の手元にある鎖を力一杯引き絞りウガルを締め付けると動けない様に手元の鎖にも刺の杭を作り出し地面に突き刺した。

 これで、ウガルは身体を鎖に捕らわれ一歩も動けない。


「捕まえた。これで動けないね」

「グルルアアアアーーーー!!!!」


 とはいえ、捕まえても暴れられては杭が地面から抜ける可能性もある。

 現に今もウガルが抜け出そうと暴れており鎖がギチギチと音を鳴らしているので鎖が千切れなくても杭が抜ける可能性は高い。


「大人しくしろ!!」


 なので、ウガルの両前足を蹴り砕いた。

 身体強化と脚の部分強化を施した本気の蹴りだ。

 それはもう軽快にポキリとへし折れ前足は本来曲がらない内向きに曲がっていた。

 そして、そんな方向に前足が曲がっていればどうなるか。


「グガア"ア"ア"ァ"ァ"ァァーーー!!!」


 前足の踏ん張りが効かなくなり体重を支えられず前のめりに倒れ込む。

 そして、倒れて体重がもろに前足の骨折部分に掛かり更に怪我が悪化。

 今では肉を突き破り折れた骨が見えていた。

 目茶苦茶痛そうだ。

 だが、これでウガルは一歩もその場を動く事が出来なくなった。


「それじゃあ、トドメを刺すか」


 私は、そんなウガルを眺めながら片手を軽く掲げる。

 すると、掌から五cm程の大きさの黒色の血液の玉が六つ生み出された。


「ほいっと」


 それを、私はポイっと放り投げると血液玉は空中でフワフワと滞空。

 次には空中をスイスイと移動しウガルの周辺を囲んだ。

 それを確認した私は、血液支配を発動。


「じゃあね」


 血液玉が膨張。

 次の瞬間、膨張した血液玉から数十もの鋭く長い刺が突き出しウガルの全身を串刺しにした。


「ガ、ア"、ア"…ァ"」


 猛毒を受け、突き刺され、身体を焼かれても生きれる生命力があったとしても頭部含め全身を百を越える数貫かれては生きられる筈もなくウガルは小さく呻き声を一つあげると死に絶えた。


「死んだね」


 鑑定を掛けてウガルが確実に死んだのを確かめる。


「終わったぁ~~」


 アカリとウガルとの戦闘はアカリの勝利で終わった。

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